「悪魔の兵器」地雷の恐怖を減らせ――ノーベル平和賞受賞大統領も期待、コロンビアに伝えるカンボジアの経験

2017年3月30日

反政府軍が地雷を埋めた傾斜地。農地として除去が必要

50余年にわたり続いてきた反政府組織との紛争に終止符を打とうとしているコロンビア。2016年10月には、和平への取り組みを評価されたサントス大統領が、ノーベル平和賞を受賞し世界の注目を集めました。
しかし明るい話題が続く同国にも、約半世紀に及んだ紛争による影響は色濃く残り、解決しなければならない課題が存在します。

約700万人といわれる国内避難民も、その課題の一つ。
人々が故郷に戻り生活を再開することを妨げているのは、内戦中に多数埋設された悪魔の兵器と呼ばれる「地雷」です。

JICAは、コロンビアの人々が安全な土地と平和な生活を取り戻せるよう、コロンビアで地雷除去活動の支援に取り組もうとしています。

カンボジアからコロンビアへ−−地雷対策の知見と経験の橋を架ける 

地雷除去の方法などCMACが技術協力する予定

コロンビア同様、国内紛争による地雷被害が深刻だったカンボジアで、JICAは1999年から、「カンボジア地雷除去センター(CMAC)」(注1)を支援しています。地雷対策を行うカンボジアの政府機関であるCMACは、軍やNGOと共に国内の地雷除去活動を進め、1999年には1154人だった同国の地雷・不発弾被災者数を、2015年には111人にまで減少させました。

また、その活動は国内にとどまらず、「南南協力」という関係をJICAの協力により構築し、同様に地雷や不発弾の問題を抱える国々を支援。コロンビアにおいて、地雷対策を担っている「大統領府対人地雷総合対策局(DAICMA)」からも、CMACの知見を共有してほしいという要望がJICAに伝えられました。(注2)

人道的地雷除去に向け地雷探知犬の育成も始まる

コロンビア政府からの信頼は、「世界一の地雷対策組織である」とサントス大統領が表すほど厚く、最前線で働く人々からも「地雷探知犬の知見を共有してほしい」と具体的な要請を始め、その知見と経験に大きな期待が寄せられています。

首都ボゴタのセミナーで、熱のこもったプレゼンテーションを行うCMACのメンバーたち

2月下旬から3月1日にかけて、JICAとCMACのメンバーはコロンビアを訪問。地雷原や訓練所などの視察を行い、今後の支援の方向性を探りました。

首都ボゴタでコロンビアの地雷対策関係者を対象に開催されたセミナーでは、CMAC副長官オム・プムロ氏が、「カンボジアでも紛争後、異なる武装勢力の元戦闘員が地雷除去員となり、CMACの下、一緒に地雷除去活動を行った経験があります。地雷の影響を受けているコミュニティと関係を構築できなければ、地雷の調査・除去活動は推進できません。

地雷対策はコミュニティの回復・信頼構築・和解促進等と密接に結びついているのです」と語り、CMACが支援する意義を伝えるとともに、コミュニティとの関係性の重要さを訴えました。

コロンビアにおける地雷対策はまだ始まったばかりですが、JICAは人々が地雷被害に怯えることなく、安全な土地で安心した生活が送れるよう、コロンビア・カンボジア両国の絆をさらに深め、CMACと共にコロンビアの平和と安定を支援していきます。

【画像】

JICA中村明社会基盤・平和構築部部長(左端)、小向絵理国際協力専門員(前列右から2人目)。DAICMAのメンバーが着用する紺色の制服は、軍事作戦ではなく文民として地雷除去に従事している証。水色のシャツを着用しているのはカンボジアCMACからの参加者(プムロ副長官[後列左淵])。

注1:紛争終結後20年が経過した今でも地雷や不発弾が多く残るカンボジアで、これまで日本は地雷探査機などの機材供与を行い、地雷対策を担う政府機関「カンボジア地雷対策センター」(CMAC)に対して人材育成などを支援。CMACの知見は、アンゴラやラオス、イラクなど第三国への南南協力にも生かされています。

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注2:2010年にもJICAはCMACと共にコロンビアで「対人地雷総合アクション大統領プログラム強化」を行ったが、当時はまだ国内紛争が続き、地雷や不発弾の除去活動の本格的展開が難しく2011年8月に協力は終了