国内市場唯一のソーシャルボンド「JICA債」に注目高まる

2017年6月15日

DEALWATCH AWARDS 2016の表彰式

JICAは、開発途上国における有償資金協力事業の資金の一部に充てるため、2008年から債券(JICA債)を発行しています。投資を通じて、社会課題の解決を目指す取り組みが国内外で関心を呼ぶなか、JICAは2016年に国内市場初のソーシャルボンド(社会貢献債)を発行し、2017年3月にはトムソン・ロイター・マーケッツ社の「DEALWATCH AWARDS 2016」(注)の社債部門で、JICAが「Bond Issuer of the Year」を授賞しました。JICA債をめぐる動向が資本市場関係者のみならず、メディアや一般の人からも注目されてきています。

投資家がJICA債への投資を対外的に表明する動きも 

JICA債などによって調達された資金がJICAの事業に活用される。写真はインドのデリーメトロ(写真:久野真一/JICA)

ソーシャルボンドとは、国際資本市場協会(International Capital Market Association:ICMA)が公表している次の2つの条件を満たす債券です。1つ目は、調達資金が社会開発のための事業に活用されること、そして2つ目は、「資金使途」「事業評価・選定プロセス」「資金管理」「レポーティング」についての情報開示がされていることです。

JICA債は2016年8月、第三者機関(株式会社日本総合研究所 創発戦略センター)から、ソーシャルボンドの特性に従っているというセカンド・オピニオン(レビュー)を取得しました。

JICAの事業内容や目的への「共感」を理由にJICA債に投資する動きは以前よりありましたが、2016年9月に日本国内市場初のソーシャルボンドとして発行されたことで、「投資意義への共感」はより広い層の間でさらに広がっています。

ソーシャルボンドの発行をきっかけとして、地方公共団体や金融機関などの投資家のなかには「JICA債への投資」を対外的に表明する動きもあります。

関連リンク:

SDGsへの貢献やJICAの役割そのものにも期待 

投資家にJICA債の資金が使われている現場を視察してもらうツアーを実施(写真はミャンマー)

JICA債の発行は、2016年12月に策定された日本政府の「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」で、具体的施策として盛り込まれました。

実施指針では、国内の民間資金を成長市場である開発途上国のために動員するとされており、その具体的施策としてはJICA債が唯一の対象となっています。

2017年3月、日本の発行体として初めてソーシャルボンドを発行した実績が評価され、トムソン・ロイター・マーケッツ社による「DEALWATCH AWARDS 2016」でJICAは、「Bond Issuer of the Year」(社債部門)を受賞しました。受賞理由では、開発途上国への協力を通じ、持続可能な社会づくりに貢献するJICAの役割そのものも評価されました。

JICAの前田徹理事は、2017年5月に行われた授賞式で「これからも、投資家の方々の社会貢献の思いを開発途上国の発展に結びつけるため、ソーシャルボンドを継続的に発行していきたい」と述べました。

(注)
日本関連の資本市場の育成・拡大に資することを目的に1995 年に設置された賞。「本邦市場が世界の主要市場としてさらに発展していく」という観点から、発行市場における適正なプライシング、流通市場に移行した後の価格形成、資本市場の発展への貢献や創意・工夫などを考慮し選定。