20年ぶりの地方選挙に合わせ、ネパールで現地の新聞・テレビの記者らを対象に選挙報道セミナー

2017年6月19日

多くの有権者が投票所前に列を作った5月14日の投票

ネパールでは、2006年の内戦終結後、2015年の新憲法制定を経て、民主化への動きが進んでいます。5月14日には1回目の地方選挙の投票が行われ、2回目の地方選投票が6月28日に予定されています(注)。

地方選挙の実施は20年ぶりで、半数以上の有権者にとっては、地元の代表を生まれて初めて自ら選出する機会。公正な選挙報道によって有権者が正しい情報を得ることを通じ、民主的な選挙の実施を支援するため、JICAは2回にわたり現地のジャーナリスト向けに「公正な選挙報道セミナー」を開催しました。

民主的な選挙に欠かせないメディアの役割

選挙時のメディアと報道の役割を語る橋本専門員

選挙のとき、有権者が政党や候補者の政策を知り、自分たちの暮らしが向かうべき方向を考えるには、正しい情報の獲得が欠かせません。メディアは選挙時、有権者にその情報を提供する重要な役割を担っています。

ネパール統計局の調べによると、ネパールには約5,000もの新聞と約400の放送局があります。しかし、セミナーにかかわったJICAの橋本敬市国際協力専門員によると、少数の主要メディア以外は、政党と結びついているか、政府が仲介する広告収入をあてにしたもので、取材すらせずに情報を切り貼りしている新聞も多いのが実情です。

橋本専門員は、選挙報道におけるメディアの役割には、重要な点が2つあるといいます。

1つは、提供する情報が「公正」「公平」「正確」であること。もう1つは、投票行動に影響を及ぼさないことを前提に、選挙の争点になる課題についての各政党・候補の政策を、報道機関としての切り口で有権者に伝えることです。

2回のセミナーは、こうしたメディアの役割について理解を広げるため、開催しました。

具体的な連載記事や番組の企画案をチームで検討

具体的にどのような連載・番組を制作するのか真剣に協議する参加者

1回目のセミナーは2月、首都カトマンズと、2つの地方都市で開催。120人の参加者に、日本の公共放送局であるNHKが一般的にどのような選挙報道を行っているかを紹介しました。

4月21日の2回目のセミナーでは、5月に迫った地方選にトピックをしぼり、首都の新聞社・テレビ局のチームごとに、具体的にどのような連載記事や番組を作るのかを話し合いました。

また、NHK国際放送局長経験者2人と、主要メディアの編集長らとの意見交換会も実施しました。

橋本専門員はセミナーについて、「選挙の課題を身近な問題に落とし込んで取材
・報道するのは、まだ難しいが、有権者に判断材料を提供するという意識づくりの第一歩にはなったと思う」と話しています。

ネパールでは、地方選の後、州選挙を経て、来年1月までの間に新憲法に基づく初の国会議員選挙も実施される予定です。JICAでは、引き続き、選挙支援をはじめネパールの民主化への道をサポートしていく方針です。

(注)
当初は地方選挙をわけて実施することは計画されていなかったが、地域により3回にわけることになった。6月16日現在も、1回目の地方選の結果は一部で確定していないが、投票、開票とも大きな混乱は伝えられていない。