パキスタンで太陽光発電の普及が加速—高い日射量、電力買い取りも制度化

2017年6月22日

太陽光発電の設備の状況を確認する技術者

「未来のエネルギー」をテーマにしたアスタナ国際博覧会(アスタナ万博)が6月、カザフスタンの首都アスタナで開幕しました。日本館の出展テーマは「Smart Mix with Technology 〜オールジャパンの経験と挑戦〜」。省エネルギーの推進や新エネルギーの導入などの取り組みが世界に発信されます。

JICAも各国で、この分野の支援に取り組んでいますが、パキスタンでの取り組みが、現地での太陽光発電の普及・定着を加速させています。

電力供給が追い付かず計画停電が恒常化 

パキスタンは、輸入される石油やガスなどの化石燃料に依存し、電力需要に対応してきました。しかし、発電量は需要に追いつかず、長時間の計画停電が恒常化していました。

一方でパキスタンは東南アジアや南アジアのなかでも日射量がトップレベルとみられています。南部のバルチスタン州やシンド州、パンジャブ州南部での1日あたりの日射量は1平方メートル当たり4.5 〜7.0キロワット時で、これは沖縄県の同約4.5キロワット時を上回っています(注)。

JICAは、日本の「クールアースパートナーシップ」の一環として創設された環境プログラム無償資金協力として、2010年から「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」を実施。首都イスラマバードにある政府の技術委員会・計画委員会の敷地内に発電容量356キロワットの太陽光発電システム一式を供与し、技術者の育成を支援してきました。

パキスタン初、余剰電力を他の事業所や家庭へ供給

パキスタン技術委員会の敷地内に設置された太陽光発電のシステム

それまでのパキスタンの太陽光発電は、いずれも設備を設置した施設内で電力を使う小型のシステムでした(独立型)。一方、この計画では、パキスタンの電力事情の改善を図るため、余った電力を送電網を通して他の事業所や家庭へ供給する初のシステム(系統連系型)を目指しました。

事業は2012年に完了しましたが、大きな成果は事業終了後に現れてきました。2015年9月に太陽光発電の余剰電力買い取り制度が導入され、2016年には、このシステムと首都圏配電公社との間で売電契約が締結されました。これは、政府の計画委員会と技術委員会が、太陽光事業に関する発信や視察の受け入れを積極的に行い、パキスタン国内で太陽光発電への関心が高まった成果とみられています。また、技術委員会によると、パンジャブ州での複数の太陽光発電事業の開始などにも結びつきました。

高い関心、JICA所長が関係者の会議で取り組み説明

JICAの取り組みを説明する東城所長

太陽光発電への関心が集まるなか、エネルギー関係者らが集まり、4月に首都イスラマバードで開催された「第2回再生可能エネルギーと電力インフラ投資会議」で、東城康裕JICAパキスタン事務所長がこの分野でのJICAの取り組みを発表しました。東城所長は「パキスタンで太陽光発電が普及することは、当国で社会問題となっている電力不足の解消に資するだけでなく、気候変動という地球規模課題解決に向けても着実な貢献が期待される」と発表し、政府関係者からは感謝の言葉が伝えられるともに、他の参加者からも大きな拍手を受けました。

(注)
出典:「パキスタン国再生可能エネルギー活用に係る情報収集・確認調査最終報告書(要約)」(JICA、日本工営株式会社)掲載のパキスタン水・電力省作成の「Renewable Energy Policy of Pakistan 2006」データ

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