タジキスタンに中央アジア最大規模の給水施設、国境の町に24時間安全な水

2017年6月29日

1,800立方メートルの高架水槽、20時間の停電でも断水しなかった

中央アジアのタジキスタンは、中国、ウズベキスタン、アフガニスタン、キルギスと国境を接し、日本の40%ほどの面積に約870万人が暮らす国です。このタジキスタンの国境の町に、日本の協力により中央アジア最大規模の給水施設が建設され、従来の4倍の給水エリアで、24時間、安全な水が使えるようになりました。また、同時に導入された水道料金制度の改革で、住民に節水意識も広がっています。

こうした実績が評価され、このほど、「土木技術と社会の発展に大きく寄与した画期的なプロジェクト」として、公益社団法人土木学会の平成28年度「土木学会賞 技術賞 IIグループ」を受賞しました。

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ピアンジ町周辺のすべての家庭で水くみの負担なくなる

各戸の給水栓から水をくめるようになり、水くみの負担が解消

タジキスタン東南部、アフガニスタンとの国境地域にあるハトロン州ピアンジ県のピアンジ町と周辺の6つの村では従来、70〜40年前に建設された古い給水システムを使用していました。しかも、その水道を使えるのは地域内の27%の人に過ぎず、そのほかの人は衛生的とは言えない浅井戸などの水を使っていました。

JICAはこの地域で、水源となる地下水をくみ上げる井戸、中央アジア最大規模の容量1,800立方平方メートルの大容量高架水槽、この水槽からの送水設備、各家庭への給配水施設など、水源から各家庭までの給水施設の総合的な整備を支援。従来の4倍となる4,800戸の家庭で、24時間、蛇口をひねれば安全な水を得られるようになりました。

生活に必要な水をくむために遠くまで出向き、重たい水を運ばなければならなかった多くの女性たちの生活が大きく変化し始めています。

「使った分を支払う」に転換で節水意識が芽吹く

竣工式には首相が駆けつけるほどタジキスタン政府も力を入れている

今回のプロジェクトでは、施設の整備だけではなく、料金制度も同時に改革されました。

タジキスタンで従量制を導入しているのは、首都ドゥシャンベと、第2の都市ホジェンドの2地域のみで、全国的に定額制が主流です。しかし、このプロジェクトでは、各戸に水道メーターが取り付けられ、従来、使用量にかかわらず定額だった水道料金が、使った量に応じた料金を課す「従量制」に転換されたのです。

新制度に対応するため、本プロジェクトでは給水施設の整備と並行して、新しい料金制度へ移行するためのシステムづくりを支援。運営・管理を担うピアンジ県上下水道公社のスタッフの育成や料金徴収方法の確立、住民への制度変更についての説明などを支援しました。

昨年11月から従量制での料金徴収が始まったこの地域では、各戸の使用水量の平均が大幅に減少。水資源の大切さに気付くきっかけともなり、住民に節水の意識が芽生えています。

タジキスタン政府は、今回の給水施設整備や事業運営を「モデル事業」と位置づけ、全国に広げていきたいと考えています。2017年4月からはJICAによる技術協力プロジェクト「ピアンジ県・ハマドニ県上下水道公社給水事業運営能力強化プロジェクト」も開始され、今後、水道公社が自律的な経営のもとで事業運営をするための能力向上を図ります。

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