ASEANから新聞記者が来日、都市問題への取り組みなどを取材

2017年7月7日

東京メトロ研修施設では模擬駅や実際の研修風景を取材

今年8月8日に設立50周年を迎えるASEAN。加盟10ヵ国の新聞記者10人が、6月18日から7月1日まで日本を訪れ、「東南アジアの課題に貢献する日本の技術と経験」をテーマに視察・取材しました。海外メディアの招へいは、JICAが1995年から年に1回、日本とJICA事業への理解を深めてもらうことを目的に実施しているプログラムです。

都市問題や防災への取り組みに高い関心

緊張感のあるトラブル対応の研修

成長著しいASEANの多くの国が現在、都市問題に直面しています。今回のプログラムでは、水道施設や清掃工場(ごみ処理場)など日本の技術が生かされている施設や、宮城県東松島市における東日本大震災からの復興の様子など、課題解決のヒントとなる取り組みを取材しました。

都市化に伴う問題の一つ、交通渋滞は、ASEANの国々でも共通の悩みです。6月20日には、都市交通運営を知るため、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)の総合研修訓練センターを訪問。東京を走る地下鉄13路線のうち9路線の運行を担う東京メトロが、同社スタッフの育成・能力向上の研修のため、2016年4月に開設した施設です。

東京五輪に向けた駅施設の改装についても多くの質問があった

一行は、東京メトロの事業概要、同センターの役割などについて説明を受けた後、研修施設や、トラブル発生時の緊急対応など実際に行われている研修を見学し、いかにして安全・安心な定時運行が実現されているかを取材しました。

ASEANには、シンガポールやタイのように地下鉄がすでに運行されている国もあれば、ベトナムのように日本が地下鉄の建設を支援中の国もあります。そのため記者たちの関心は高く、研修の頻度やレベル設定、鉄道以外の事業展開の可能性など、幅広い質問がありました。

日本・JICAとのつながり伝える記事を 

清掃工場も視察し、ごみ処理・管理やリサイクルについて説明を受けた

ミャンマー「ザ・ボイス(The Voice)」紙のティン・オウン・チョー記者は、ヤンゴンなど大都市ではごみの管理・処理や豪雨時の洪水などが問題になっていると指摘し、日本で取材したことをベースに、政府の今後の政策に生かされるような記事をまとめたいと言います。

「日本はミャンマーの政治体制の変化などに左右されることなく支援を継続してくれた国の一つ。今後も技術面の支援が必要と感じていて、両国政府の協力の下、持続的な支援が段階的に実施されることが国民にとっても大きな意味を持つ」と語りました。

東松島市の現場視察には、地元メディアの取材も

シンガポール「ザ・ストレーツ・タイムズ(The Straits Times)」紙のカリッサ・ヨン記者は、シンガポールが1998年に「援助卒業国」(注)となったことを踏まえ、「今後はASEANのほかの国の開発を支援するプログラム策定で日本と協力していけたら」と話しました。

さまざまな分野の日本の取り組みを目の当たりにした記者たちは、プログラム中はもちろん帰国後にも、その技術や経験を伝える記事を発信します。その記事が、各国が抱える課題の解決が前進するきっかけになることが期待されます。

(注)経済開発協力機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が作成している援助受取国リストから外れて3年経過すると、援助卒業国と見なされる。

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