「雇用確保」や「誰一人取り残さない」ためのビジネスモデルとは?−SDGs達成へ企業とJICAが一緒に議論

2017年8月17日

SDGs達成のイノベーションを考える参加者

企業とJICAの協力で持続可能な開発目標(SDGs)達成のためのイノベーションを生み出そうと、SDGs推進を目指す企業のネットワークとJICA合同のワークショップが7月27日、JICA市ヶ谷ビルで開かれました。企業約60社、JICAから約40人が参加し、具体的なビジネスモデルを考えました。

開発途上国でのビジネス展開、難しいところをJICAが協力

ワークショップを共催したのは、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)(注1)のSDGs分科会。冒頭、分科会幹事の株式会社クレアンの冨田洋史氏が「SDGsに関心はあるが何をしていいかわからない、CSR(企業の社会的責任)関連の部署以外では理解が広がらない、との声をよく聞く。今回のような取り組みを通じて、解決のきっかけを探りたい」とあいさつしました。

インドネシアでは小規模農家向けの天候インデックス保険販売の準備が進められている。(写真提供:PT Sompo Insurance Indonesia)

企業と協力してSDGs達成を目指すため、JICAは2017年、従来の制度を拡充して、「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」(注2)を開始しました。ワークショップでは、以前からJICAと連携し、インドネシアなどで小規模農家向けの保険の事業を進めている損害保険ジャパン日本興亜株式会社の郷原健氏が、事業の概要やJICAと協力するポイントを解説しました。

同社が展開するのは、気温や降水量などが、事前に定めた一定の条件を満たした場合に定額の保険金を支払う「天候インデックス保険」。被害額の調査が不要で、支払いまでの期間が短いことが特徴といいます。JICAとの協力については、(1)事業の立ち上げに伴う資金負担を軽減できる、(2)地方や農村部の情報が得られる、(3)現地政府や関連機関との関係が構築できる、などが挙げられました。

グループで議論、「休暇100日制度」が最優秀賞に

グループに分かれての議論

続いて、4〜6人のグループに分かれ、SDGsのゴールに関連したビジネスモデルを議論。「『誰一人取り残さない』を追求する」グループでは、地方の一人暮らしの老人のサポート、「SDG17ゴールの構造を考える」グループでは雇用の確保を例に話し合い、「革新的か」「自社で取り組みたいか」などの視点で投票を行いました。最優秀賞には、国内、開発途上国双方での雇用対策としての「休暇100日制度」が選ばれました。これは、国際協力や社会貢献活動にも活用できる長期休暇を設け、休暇中の社員の代わりに別の会社の社員が働き、これを繰り返すことで失業を減らすとともに国内の雇用流動性も高めるという案です。

グループでまとめた案の発表

参加した不動産会社の男性社員(CSR担当)は「まったく違う仕事をしている人たちと活発に意見を交わすことができた。SDGsは企業活動そのものを社会課題の解決につなげられる仕組みだと思う」と話していました。

JICA企画部のSDGs推進班では、今後SDGsに関するより具体的な事業連携やイノベーションを検討するワークショップなどを計画していて、関心のある企業からの問い合わせも受け付けています。また、JICAとの協働を検討している企業からの問い合わせにも対応します。

(注1) 国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み。グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)は、2003年12月に日本におけるローカルネットワークとして発足。2017年7月23日現在、248企業・団体が加入している。

(注2) 開発途上国におけるSDGs達成に貢献するビジネスを計画している本邦法人からの提案に基づき、ビジネスモデルの開発、事業計画の策定、JICAとの協働事業の可能性について検討・確認を行う。「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」(2010年開始)が対象としていた貧困層の課題を含む、より広い途上国の課題解決に向けて、民間企業とのパートナーシップを加速させることを目指す。

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