中小企業の海外展開支援で地域金融機関と連携強化−37行と覚書結び、初の情報交換会開催

2017年8月28日

好事例や課題について話し合う参加者

優れた技術や製品を持つ中小企業の海外展開をサポートし、途上国の開発・発展と日本の地域活性化を図るため、JICAは2012年から中小企業海外展開支援事業(注1)に取り組んでいます。地元の企業情報に強い地域金融機関と現地事情を知るJICAの協力で事業の認知・関心をさらに高めてもらい、海外展開を後押しするため、JICAは昨年来、37の金融機関と連携の覚書を締結しました。8月3日にはJICA市ヶ谷ビルで、提携行とJICAとの初めての情報交換会を開催し、31行の担当者らが好事例や課題を共有しました。

協力機関60行以上、事業後の融資の実績も

地域金融機関とJICA国内機関との覚書は、2016年7月1日の八十二銀行とJICA駒ヶ根との提携以来、37行にのぼります。そのほか、覚書を締結せずとも連携が進んでいる金融機関も含めると、合わせて60行を超える金融機関との連携が進んでいます。

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JICAとの覚書を締結した地域金融機関

連携の結果、JICA事業の応募や採択につながっただけではなく、事業の実施中に連携金融機関が「つなぎ資金」を融資した例や、事業活用後、より本格的な海外展開を目指す中小企業に対して、そのための資金を融資した例もあります。例えば、ある廃棄物処理装置のメーカーは、事業の初期段階からJICAと連携している金融機関のサポートを受け、現地での機材製造のための必要経費と運転資金についてスムーズに融資を受けることができました。

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中小企業海外展開支援事業と連携のイメージ

顧客向けセミナー・相談100件などの実績も共有  

越川JICA副理事長による開会あいさつ

情報交換会には、提携行の海外事業の担当者32名が参加。冒頭、JICAの越川和彦副理事長が「JICAの中小企業海外展開支援事業を活用した中小企業のみなさんが、途上国に有望な市場を見つけ、その後の事業展開につなげることができれば、地元の経済にも大きな貢献となります。地場の企業をよくご存じの金融機関のみなさんとこの事業を実施できることには非常に意義があり、今後も連携を強化していきたいと考えています」とあいさつ。金融庁の加藤光伸地域銀行監督管理官も地方企業に対する金融機関による支援の重要性を強調しました。

その後、これまでの連携実績が共有されました。途上国の状況やJICAの中小企業海外展開支援事業について金融機関内で理解するための行内セミナー・勉強会が約20回、金融機関とJICAの共催による顧客向けセミナーが約30回、両者の連携による顧客向け個別相談が約100件がありました。

意見交換のセッションでは、今後の連携強化のあり方が議論され、金融機関が海外展開のコンサルティングを担う可能性などが話題になりました。一方で、行内で海外事業を担当する人員が少ないことや他機関の類似事業との違いの理解、実際の融資までの期間が長いなどの課題も指摘されました。

金融機関側は効果を実感、広がる協力の形

情報交換会に参加した金融機関からは「提携により、セミナーを共催したり、海外展開を検討している企業の情報を得られるようになったりした。現地の情報も得やすい」「JICAと提携して途上国をサポートしているということで、覚書がメディアで取り上げられるなどの広報効果もあった」などの声がありました。

連携している金融機関では、JICAの広報誌の配布やJICAボランティア募集のポスター掲示などの例も増え、協力の幅が広がっています。

(注1)JICAの中小企業海外展開支援事業は、中小企業からの提案を受け、開発途上国の経済社会開発につながる案件を採択し、途上国での事業化を目指す道のりを支援する。基礎調査、案件化調査、普及・実証事業があり、例年2回の公示を行っている(次回公示は9月を予定)。