「当たり前のことが当たり前でない」「首都と地方の格差に驚き」―北九州市の高校生6人がカンボジアで水道事業を視察

2017年9月6日

プノンペン都庁前で副知事らと集合写真

カンボジアの水道事業を支援している北九州市がこの夏休み、高校生に水道事業について理解を深めてもらおうと、3日間の国内研修と6日間の現地視察からなる「上下水道ユース人材理解促進研修」を企画しました。地方の高校生が国際協力の成果を自分たちの目で見て、発信していくという先駆的な取り組みであることから、JICAも共催しました。参加した高校生6人は、何を感じたでしょうか。

水道関係者の情熱は、僕らが部活へ注ぐ情熱に通じる

エク・ソン・チャン氏と記念撮影する高校生たち

北九州市上下水道局は、これまでJICAを通じて180人近い市職員をカンボジアへ派遣し、技術支援や人材育成などの協力を続けています。首都プノンペンは、エク・ソン・チャン前水道公社総裁(現工業・手工芸省長官)のリーダーシップのもと水道事業の改善に取り組み、無収水率(漏水や盗水などで料金が回収できない水の割合)が内戦直後(1993年)の72パーセントから2011年は6パーセントにまで向上し、「プノンペンの奇跡」と呼ばれています。

高校生たちはまず、プノンペンで水道事業の歴史などの説明を受けました。大川剛汰さん(1年)は「水道関係者に直接話を聞くなかで、僕たちが部活にそそぐような熱い情熱を持っていると感じました」と述べました。エク・ソン・チャン氏との面談について西野友博さん(2年)は「国際協力を受ける側に強いリーダーシップを持ったこのような方がいるのは、有効な支援につながるすごく大きな要因だと感じました」と語りました。また、守田彩乃さん(1年)は「北九州市とカンボジアがパートナーとしてともに歩んでいきたいという言葉に大きな感銘を受けた」と語っています。

60歳の女性が生まれて初めて水道水を直接口へ

現地の水道の水を飲む高校生たち

高校生たちは、上水道の新規開栓工事に立ち会い、3ヵ月前に水道が開通したばかりのプノンペン郊外の家庭を訪れ、60歳の女性が初めて水道水を直接、口にする場面を目の当たりにしました。

その女性は、水道水を直接、飲むことには抵抗があり、池の水を使用していたころからの習慣で水道水を沸かして飲んでいました。「しかし、私たちが直接水道水を飲んだということを伝えると、すぐにその場で初めてお水を直接飲んで、うれしそうに冷たくて美味しいと言ってくれました」と河津光さん(3年)は感動を話します。

感じたこと、自分たちなりに伝えていきたい

水道開栓の場面に立ち会った高校生たち

高校生たちは地方都市や農村地域の実態も目にしました。

松尾侑嬉音さん(1年)は「プノンペンとシェムリアップの格差に驚いた。これからは、シェムリアップのような都市の発展が不可欠だと思ったし、北九州市の持続的な支援が大切だとわかった」。

山内渚さん(1年)は「水をくむことに多大な時間と労力を要することから、現地の方は水道が使えるようになることを切望していた」「当然のごとく整っている設備や環境は、途上国では当たり前でないことを自分なりに伝えていきたい」と感想を伝えてくれました。

北九州市上下水道局の川嵜孝之さんは「日本では当たり前に水道を使うことができますが、海外に出ることで、それがいかに恵まれた環境かを実感してほしいとの思いがあってこの研修を企画しました。高校生には予想以上の驚きがあったようです。その思いを今後、同じ世代の若者たちにも発信していってほしい」と話しています。高校生たちは今後、市長訪問やタウンミーティングなどに参加する予定です。