天皇皇后両陛下が帰国した青年海外協力隊帰国隊員等とご懇談

2017年10月13日

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国した青年海外協力隊員と日系社会青年ボランティアの代表が9月14日、皇居で天皇皇后両陛下とご懇談の栄を賜りました。

今回両陛下にお目にかかったのはアジア、大洋州、アフリカ、中東、中南米の国々に派遣されていた青年海外協力隊員7人と日系社会青年ボランティア1人です。ご懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で北岡伸一理事長と面談しました。

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前列左から髙橋さん、小谷さん、北岡理事長、水谷さん、岡本さん、後列左から濱元さん、沖田さん、鬼丸さん、川崎さん、山本青年海外協力隊事務局長

■手工芸で新製品開発、品質向上に貢献

担当地域の生産者のご家庭にて(中央が小谷さん)

小谷枝薫(しのぶ)さん(職種=手工芸、29歳、埼玉県出身)は、キルギスの観光地として有名なイシククル湖周辺の農村で、一村一品(注1)の地域組合に配属されました。専門である手工芸のデザイン・技術を生かし、製品デザインの改良や羊毛フェルトなどを使った新製品の開発に協力するとともに、品質管理の徹底、向上に貢献しました。

(注1) 地域の特産物を生かした商品作りで、地域活性化を目指す大分県発祥の試み

■低栄養児ケアをていねいにフォローアップ

現地の母親たちへ、乳房・乳頭マッサージを指導

髙橋明希さん(職種=看護師、30歳、福岡県出身)は、東ティモールのアイレウ県保健局に配属され、山岳地帯にある村々を巡る診療サービスに現地の医者や看護師らと共に取り組みました。「低栄養児マップ」を作りその発見率を高めたほか、診察カードなどを用いてフォローアップ。1,000人を超える女性へ母乳体操や乳房・乳頭マッサージの啓発・指導なども行いました。

■日本の教育現場と交流し続けながら任地で活動

生徒に数学を教えている様子。授業の狙いも明確に伝えた

沖田裕一郎さん(職種=数学教育、29歳、山口県出身)は、現職教員特別参加制度(注2)を利用し、タンザニア東部プワニ州の中等学校で、数学の授業を担当しました。2週間に1度「タンザニア通信」を発行し、日本の教育現場と交流授業を行いました。さらに、黒板修復作業を配属先の3つの教室で実施しました。

■研究員の「学びたい」を引き出す工夫で、技術指導

配属先同僚にソフトウェア操作を指導

濱元翔太さん(職種=PCインストラクター、31歳、埼玉県出身)は、モザンビークの首都マプトから北に1,500キロ離れたリシンガ市の国立農業研究所で、IT機器の整備と維持管理の知識・手法を教授しました。同僚研究員が興味を持って自主的に取り組めることを大切にした支援で良好な関係を築き、IT能力が向上。所内ネットワークも構築しました。

■農家の大幅な収益増に貢献、帰国後は各地で写真展開催

農家グループの女性に米の栽培を指導

川崎芳勲(よしひろ)さん(職種=コミュニティー開発、27歳、兵庫県出身)は、ウガンダの首都カンパラ東部にある国際農業開発NGOで活動しました。頻繁な巡回指導により農家グループを育成。米の収量増に貢献すると共に、加工食品販売による女性の収入向上にも成果をあげました。帰国後は各地で写真展を開催し、隊員の活動経験の社会還元にも努めています。

■理学療法の支援に尽力、シリア難民への配慮も

現地の先生と共に知的障害のある人に就労支援

鬼丸武士さん(職種=理学療法士、29歳、福岡県出身)は、ヨルダン北部マフラックのリハビリ訓練センター兼特別支援学校で、理学療法士として活動しました。身体障害のある子どもへのリハビリを行ったほか、現地の特別支援教育の先生と共に知的障害のある卒業生の就労を支援。また、シリア難民が理学療法サービスを受けられるようにと、近隣病院との連携にも尽力しました。

■ユニークな授業で初等算数の学力向上

学内で行った算数実力テストの表彰式(右奥が水谷さん)

水谷文絵里(もえり)さん(職種=小学校教育、35歳、大阪府出身)は、パラオのコロール州にある公立小学校で授業を担当しながら、ほかのボランティアと共に、パラオ全体の初等算数における基礎学力向上に取り組みました。九九の替え歌や、じゃんけんを用いた四則計算のゲームなど、楽しみながら考える授業で生徒の理解向上を目指しました。

■日系人移住地で現地に寄り添った巡回診療

受診者たちに認知症予防について話す岡本さん

岡本洋美さん(職種=高齢者介護、37歳、兵庫県出身)は、日系社会青年ボランティアとして、ブラジルサンパウロ州にあるサンパウロ日伯援護協会に配属されました。日系人移住地で行う巡回診療に同行、診療を支援し、高齢者施設での認知症予防講座の開催や入居者との日本語対応など、バイタリティあふれる活動で現地の人々に寄り添いました。

ご懇談後、JICA本部で報告会が行われ、参加者は「両陛下とも広い分野の知識をお持ちで、熱心に報告を聞いてくださった」、「現地の活動を労う温かいお言葉をいただき、帰国後の励みとなった」などと感想を述べました。