日本のコメづくり発展の経験をキューバに

2017年11月13日

キューバと聞いて、何を思い浮かべますか? サトウキビや葉巻、あるいは野球でしょうか? キューバは1959年の革命以後、米国との関係悪化、旧ソ連への接近を経て、独特の社会主義政策を採ってきましたが、日本とは良好な関係を維持してきました。そのキューバの主食はコメ。JICAは2003年以来、戦後復興からの日本の経験を生かし、生産拡大を目指した支援を続けています。

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大分県の稲作農家で、日本の高い技術を知った研修員

農地拡大が進んでも技術の普及がネックに

キューバでは長年、国営の大規模農業が主流で、社会主義国間での農産物の輸出入に依存していましたが、1991年のソ連の崩壊によって大きな影響を受けました。その後、食料増産に向けて、政府は2007年に未利用国有農地の無償貸与を開始し、2015年までに161万ヘクタールが農業未経験者を含む約21万人に貸与されました。しかし、地域に適した農業技術を普及させる有効な仕組みがないため、生産量は伸び悩み、米の自給率も55パーセント(注1)にとどまっています。

このため、JICAはこれまでの協力の成果を生かし、2017年1月、全国8県を対象に農業技術を普及させるシステムづくりを目的とした「基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト」を開始しました。

戦後復興から続く日本の農業技術普及を学ぶ

千葉県農林総合研究センターで説明を受ける研修員

日本国内では、戦後間もない1946年に制定された農業改良助長法により、農業技術、効率的・安定的な農業経営、農村生活の改善を、国と都道府県が協力して支援してきました。

都道府県が設置する普及指導センターは全国に360ヵ所(注2)を数え、農家支援を行う都道府県の専門職員、普及指導員は約7,350人(注3)にのぼり、研究機関の成果や先進的な農家の例などを伝えてきました。加えて、農業協同組合の営農指導員も傘下の組合員を支援しています。

大分県での「農家民泊」受け入れ農家との記念撮影

キューバでの農業技術普及システムの構築を目指す今回のプロジェクトでは、こうした日本の経験や新たな取り組みも紹介します。その一環として、8月中旬から9月末にかけて、キューバ国立穀物研究所職員・普及員15人が研修のため、来日。日本の農業技術普及に関する制度やその歴史を学び、農村グリーンツーリズムの体験や農産物のブランド化の実例視察、農家に泊まる「農家民泊」も経験しました。

都道府県を通じた浸透の仕組みをキューバに 

PCM手法に取り組む穀物研究所の普及員

「日本の生活や文化を体感しながら、日本の農業技術の普及がどのように変遷してきたのかを学べたのは大きな収穫でした」と研修に参加した穀物研究所のユスレイ・コントレラス・ペレスさん。また、イブラヒム・カンティージョ・ペレスさんは「国が都道府県と協力して農業技術を現場に浸透させるという仕組みはキューバでもぜひ生かしたい」と話していました。

JICAはこの農業普及システム強化プロジェクトと並行して、優良米種子の生産拡大に向けた農業機材の供与なども進めています。

(注1)2014年、キューバ国家情報統計局
(注2)(注3)2017年、農林水産省