新幹線とともに鉄道ノウハウも海外輸出:インド鉄道職員が日本で研修

2017年11月14日

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JR貨物の隅田川駅視察時に駅事務所屋上で

インドの高速鉄道計画に日本の新幹線が採用されるニュースが注目を集めています。新幹線の技術とノウハウを活用して西部ムンバイとアーメダバード間(約500キロメートル)に高速鉄道が建設される計画です。日本はまた、デリー首都圏とムンバイを結ぶ貨物専用鉄道(約1,500キロメートル)の建設にも協力しており、この9月にはそのための電気機関車調達への協力も合意されました。こうしたなかJICAは、インド鉄道省の若手職員を対象に、日本の鉄道技術やサービスを広く学ぶ研修を2017年2月から行っています。2018年3月までに、300人が日本で研修を受ける計画です。

コンテナ輸送の導入経緯や運用を知る

「インドでは現在石炭の運送がメインで、これは50年前の日本の状況に似ています。日本の押し付けにならないようにしながら、さまざまなアドバイスができたら」とJR貨物の松田氏

貨物輸送もインドの鉄道の課題の一つとなっていることから、研修内容には貨物輸送に関するものも含まれています。ある日の研修は午前9時から、研修員たちの宿泊先でもあるJICA東京(東京都渋谷区)の会議室で、JR貨物の松田佳久海外事業室グループリーダー(GL)による「貨物鉄道の概要」についての講義から始まりました。

日本ではエネルギー政策の転換期に、石炭以外の物をいかに効率よく運ぶかを考えたのをきっかけに、コンテナが導入されました。そして積み下ろし時の人員削減や効率化によるコスト削減が功を奏し、日本の貨物鉄道の土台が完成したこと、また都市部では、貨物よりも通勤列車を優先したダイヤを組んでいることなど、日本の貨物輸送についての説明がなされました。研修員たちからは「ダイヤの設定方法はどのように行うのか」「繁忙期用の価格設定はあるか」「車両や線路などのメンテナンスはいつ行うのか」など、実務者の視点から具体的な質問が多く飛び交いました。

松田GLからは、「インドの貨物輸送の現状は、ダイヤ設定をせず、荷物が最大積載量に達したら運行します。運営側にとっては楽ですが、利用者にとっては到着時間がわからず、使いにくい。ダイヤの設定やコンテナ化など、新しい仕組みを取り入れていくのは大変なことだと思います。しかし、いまやっておかないと鉄道は利用者から見放されて手遅れになってしまいます」との説明があり、利用者の視点に立った運用への切り替えの重要性を指摘しました。

実務者の視点から次々と具体的な質問 

JR貨物の隅田川駅事務所での研修風景。「多く運んでいる品目」「駅で働いている人員数」「信号の切り替え方法は」など、さまざまな質問が飛び交いました

この日の午後は現場視察。研修員たちはJICA東京からJR貨物の隅田川駅(東京都荒川区)にバスで移動し、コンテナホームの見学や高橋厚駅長の説明を聞きました。研修員たちは着発線に止まる多くの貨物列車や、さまざまな企業のコンテナが並ぶコンテナホームを見学し、貨物鉄道の可能性についてあらためて考えました。

研修員たちはJICA東京への帰路は鉄道を利用。つくばエクスプレス、山手線、京王線を乗り継ぎ、一旅客者として日本の鉄道サービスを体験し、この日の研修は幕を閉じました。

2018年3月までに計約300人のインドの鉄道従事者を日本に招き、車両製造や線路工事といったハード面から、鉄道運用のノウハウや管理、利用者のことを考えた運営まで、幅広く学んでもらう計画です。

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(左)最前列車両に乗り込んだ「つくばエクスプレス」で食い入るように走行の様子を見つめる研修員たち、(右)多くの乗降客が効率よく通過可能な自動改札機に感心を示す研修員