警察官育成、農業、経済的自立:広がるJICAの女性支援

2018年3月1日

夫婦で一緒に育てたほうれん草を収穫するケニアの農家

女性も男性も誰もが能力を発揮でき、暮らしやすい社会を目指して、JICAは長年にわたり多くの分野で、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに向けた支援を続けています。暴力の被害を受けた女性の保護や、家庭やコミュニティにおける役割の見直し、女性の経済力向上などを後押しします。

3月8日は「国際女性の日」。世界中で女性の活躍に対する期待が高まっています。女性の役割に注目したJICAの取り組みを紹介します。

アフガニスタンの女性警察官の育成を支援

今年1月にトルコで開催されたワークショップに参加するアフガニスタンの女性警察官

アフガニスタンでは、女性の約87パーセントが、ドメスティック・バイオレンス(DV)や性暴力、セクシャル・ハラスメント、強制結婚等を含むさまざまな暴力を経験していると言われています。アフガニスタンの警察官のうち、女性が占める割合は現在約4パーセント程度にとどまり、今後、被害を受けた女性たちを保護し、適切に支援していくことができる女性警察官の育成が課題です。

JICAは、トルコで実施されているアフガニスタンの女性警察官の育成に向けた研修と連携して、「女性に対する暴力への対応能力の向上」に向けたワークショップを2014年から開催しています。

今年1月に実施した4回目のワークショップには、新人を含む女性警察官243人が参加し、被害に遭った女性への支援のあり方などについて学びました。これまで、このワークショップには約1,000名の女性警察官が参加しており、アフガニスタンの全女性警察官の約3割に相当する人数です。

「アフガニスタンの女性警察官自身の多くが、DVや性暴力、幼児婚などのさまざまな暴力を経験してきています。被害に遭った他の女性たちの助けになりたい、そんな強い思いをもって警察官を目指している女性たちも少なくありません」と、ワークショップで講師を務めるJICAの久保田真紀子国際協力専門員は述べ、心に傷を負う女性警察官へのサポートも重要だと強調します。

アフガニスタンでの女性警察官たちの活躍を後押ししていくためには、今後、男性警察官に対するジェンダー研修も実施していく必要があると久保田専門員は語ります。

夫婦で協力すれば農業収入も増加:アフリカで広がる意識改革

ジンバブエで開催されたアフリカ各国のSHEP関係者に向けたジェンダー研修

夫婦が農家共同経営者という意識を持てば、もっと稼ぐことができる。そんな視点からジェンダー平等と農村女性のエンパワーメントに取り組むのが、JICAがアフリカ各国で進める「作って売る」から「売るために作る」の農業を目指す「市場志向型農業振興(SHEP)アプローチ」。このなかで農業技術の研修などに加え、重要な活動となっているのがジェンダー・家計研修です。

農家は夫婦で研修に参加し、「財布を管理するのは夫」といった伝統的なジェンダーの役割を見直し、夫婦で家計管理や生産計画を立てることを学びます。生産効率や収益の向上などにより、SHEPを導入する農家の収入は、導入前と比べて倍増しています。

2006 年にケニアで開始されたSHEPは現在、アフリカ23カ国に拡大、農業技術や家計研修を進める普及員は約1,900名、研修を受けた農家の人数は42,468名(2017年3月時点)に上ります。アフリカにとどまらず、エルサルバドルやネパールなど中米、アジア各国でも実施され、今後さらなる広がりが期待されています。

マイクロファイナンスによる女性のエンパワーメントに貢献

JICAは、女性の経済的な自立に向けた支援も行っています。その一つが、2016年に創設された日本ASEAN女性エンパワーメントファンドへの出資です。JICAにとって、女性に焦点を当てたマイクロファイナンス機関(主に貧困層・低所得層を対象とする小規模金融を取り扱う組織)のためのファンドへの出資は初めてです。また、本ファンドにおいては、JICAが民間投資家が負担するリスクを軽減することで、日本の機関投資家による資金動員を実現しています。

本ファンドは、ASEANをはじめとするアジア地域において女性のエンパワーメントを支援するマクロファイナンス機関に対する資金提供を行うことにより、同地域における貧困層の女性をはじめとした顧客の金融サービスへのアクセスを向上させることで女性のエンパワーメントに寄与することを目的としています。