ABEイニシアティブ:修了生が日本との絆を生かし母国で事業拡大

2018年3月29日

ABEイニシアティブ第4期生と企業の活気があふれた2018年3月の東京でのネットワーキングフェア

アフリカ諸国の優秀な若手人材を社会人留学生として受け入れ、修士課程教育と、日本企業でのインターンシップの機会を提供する「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」の開始から3年半が経過し、受け入れ人数は1,000人を超えました。

修了生はプログラムで培った経験やネットワークを生かし、日本や母国で活躍を見せています。

アフリカビジネスの水先案内人が多数 

2014年9月に来日し、プログラムを終えた第1期生は139人(2017年8月末時点)。全体の約2割が自動車メーカーや建設会社をはじめとする日本の企業などに就職し(アフリカ現地法人を含む)、同6割あまりが母国で復職しています。日本の企業などで働く修了生だけでなく、母国の政府機関や民間企業、教育機関に復職・就職した修了生にも、日本とアフリカとの橋渡しの役割が期待されています。

モザンビークの政府職員をインターンとして受け入れた日本の商社は、現地政府との関係づくりにABEイニシアティブが寄与したと手応えを感じています。ケニアの研究所出身者をインターンで受け入れた企業は、「『カイゼン』を実地に体験してもらったので、将来の人材育成にもつながる」と振り返ります。

ケニアでCEOとして活躍する第1期生

帰国後、ケニアでビジネス拡張にいそしむマイタイさん。後ろは設置を終えたソーラーパネル

ケニアでビジネスを拡大させている修了生の1人がクリストファー・マイタイさんです。マイタイさんは2014年、第1期生として来日、宮崎大学で修士号を取得した後、教育分野の課題をITで解決しようとする株式会社教育情報サービス(KJS、本社=宮崎市)でインターンとして働きました。

2年間のプログラムを終えて母国に戻ったマイタイさんは、2人の仲間と共同で創業したアビバ・テクノロジー社の最高経営責任者(CEO)として事業拡大に邁進しています。主な事業は、エンジニアリングやエネルギー関連のコンサルティングで、従業員は7人、契約社員は150人を超え、さらにICTを生かした教育支援も事業の柱として堅実な成長を見せています。そのパートナーとなっているのが、ABEイニシアティブでインターンを経験したKJSです。

インターン先の社長と意気投合して事業拡大

マイタイさんの会社がかかわる電力網拡張事業の現場で

実はマイタイさんは、プログラムでインターンを終える最終報告会の際、KJSのeラーニングサポート事業をケニアで立ち上げる提案をしていました。そのアイデアは、海外事業を拡大したい同社の意向とも見事に一致。荻野次信社長と意気投合し、アビバ社の一事業として、eラーニングツールの販促を担っているのです。

アビバ社では、マイタイさんがABEイニシアティブに参加して築いた縁を生かして、KJS以外にも10以上の日本企業と連携を模索しており、近い将来、新たな協業が生まれるかもしれません。マイタイさんだけでなくアビバ社のメンバー全員が、新しい日本のビジネスパートナーは大歓迎だと言います。

「ケニアおよびアフリカでのビジネスを考えている日本企業とは、ぜひWin-Winの関係を築きたい」と、さらなるネットワーク構築に意欲を見せています。

交流イベントで期待を語る4期生・企業

2018年3月、東京でのネットワーキングフェアで、日本企業の説明を聞くABEイニシアティブ第4期生

ABEイニシアティブでは、昨年、第4期生約280人が来日しました。留学生と日本企業、また留学生同士、企業同士の交流を深めるため、JICAは3月15日、「アフリカビジネスネットワーキングフェア2018」を東京の大田区産業プラザPiOで開催し、留学生約250人と、日本企業約130社の関係者ら、総勢500人を超える参加がありました。会場には、今後の連携への期待があふれました。

長岡技術科学大学大学院(新潟県)で工学を専攻するナイジェリアのビクター・オリセメドゥア・イフェアジカさんは今夏にインターンシップに参加しようと、食品加工会社や商社など約10社のブースを訪問。
「日本の技術は世界一。品質管理などについて学び、自国で食品の製造や加工の仕事に役立てたい」と意気込んでいました。

一方、出展4度目の愛知県の食品加工会社「おとうふ工房いしかわ」は、アフリカへ事業の拡大を計画。専務取締役の北瀬尚之さんは「アフリカは豆腐の原料の大豆が豊富にとれるのに、加工技術が未熟。
私たちが培ってきた技術を活かせるチャンスがある。インターン生を受け入れて知恵をいただき、アフリカ進出を実現させたい」と語っていました。

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