天皇皇后両陛下が帰国したシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアとご懇談

2018年4月12日

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国したシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの代表が3月9日、皇居で天皇皇后両陛下とご懇談の栄を賜りました。

両陛下は、1965年に青年海外協力隊が発足した当初からボランティア事業に関心をお寄せ下さり、1995年までは派遣前の隊員全員と帰国後の隊員の代表が、1996年からは帰国したボランティアの代表が任国での活動をご報告する機会をいただいています。

今回両陛下にお目にかかったのはアジア、大洋州、アフリカ、中東、中南米の国々に派遣されていたシニア海外ボランティア5人と日系社会シニア・ボランティア1人です。
ご懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で北岡伸一理事長と面談しました。

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前列左から藤井さん、石﨑さん、北岡理事長、山下さん、岩佐さん、後列左から清水さん、平野さん、山本青年海外協力隊事務局長

新たな技法や工夫の指導を通じ、鋳造鋳鉄製品の不良率、不適合率の低減に貢献

配属先の実験室にて生砂CP試験法を導入指導(左が平野さん)

平野正さん(職種=金属加工、68歳、新潟県出身)は、インドネシアの東ジャワ州グレシック市の工作機械製造の国営バラタ重工業で、鋳造製品の不良率やコスト低減に対して助言し不良率の低減に貢献した。
安全面、環境配慮、労働衛生に関する日本の取り組み事例の紹介などを行い、日々現場作業者に声をかけ、改善事項をインドネシア語でレポートにして周知した。
その結果、工場内の整理、職場改善にもつながった。

地元の食材を使ったレシピで生活習慣病などの対策を行う

同僚と指導媒体を作成(立っているのが石﨑さん)

石﨑訓子さん(職種=栄養士、69歳、富山県出身)は、ミクロネシアのチューク州ウエノ島の州政府保健局にて活動を行った。
生活習慣病や肥満対策として、栄養改善のために地元の食材を使ったレシピを考案し、健康センターで調理実習を実施。
その結果、配属先の職員が自ら現地のスタイルに合う調理法を考案するようになり、作成された数多くの教材は現地語に訳されて配属先の職員に受け継がれている。

日本技術の導入で質の高い技術者を育てる

サン・フアン・デル・リオ工科大学での機械工学の講義風景(左が清水さん)

清水宏さん(職種=機械工学、71歳、石川県出身)は、メキシコのサン・フアン・デル・リオ市にある公立工業大学で、自動生産システム機材の導入と運用指導を行い、質の高い技術者を育てる基礎を築いた。
国際交流基金の協力を得て、講師の一人として質の高い日本語教育も行い、日本語が話せる人材の輩出にも貢献した。
さらに、現地企業を訪問し、工場勤務経験を生かして企業診断を行い、JETROのデータベース作成を支援して日本企業が現地企業と連携できる環境整備に協力した。

図形の模型や数のブロックを自作し、生徒の理解向上へ

正6角形の分割を使って分数の意味や相等、大小比較を説明する授業(立っているのが藤井さん)

藤井祐一さん(職種=数学教育、69歳、山口県出身)は、2011年から2013年のバヌアツ派遣に続いて二度目の派遣。
南アフリカの首都プレトリアの地域教育事務所に所属し、近隣5校の小学校を巡回して算数教育の向上に取り組んだ。
図形の模型や数のブロックを自作し、生徒の理解向上に努めたほか、間違いが多かった計算方法について新たな筆算の方法を教えることで生徒の成績向上に貢献した。
現地教員に対しても授業後にミーティングを重ねて多くの技術移転を行い、その活動は高い評価を得た。

インゲン豆に関する提案から、市や農民の自主的な活動へと広がる

地産認証取得のため、申請書類に添付するマークを産地の村長、生産者と相談中(左が岩佐さん)

岩佐尚子さん(職種=農産物加工、53歳、大阪府出身)は、トルコのギレスン県にある県食糧農業畜産局で、作業用パンフレットや地産認証登録ロゴ用イラストの作成、インゲン豆の収量調査手順書の策定などを行った。
他部門の職員と積極的に連携し、PR用ビデオでの活動紹介など幅広い活動を実施した結果、農民や市長がインゲン豆の広報活動として自らフェスティバルでの試食会を実施し、農業関連の新聞や雑誌数社に活動成果を投稿するなどの取り組みにつながった。

日系団体の高齢者福祉に対する理解、促進に貢献

健康長寿や認知症予防、箸の使い方を紹介した健康講座を開催(右が山下さん)

山下圭子さん(職種=ソーシャルワーカー、61歳、岐阜県出身)は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス市で、日系人社会の高齢者福祉や日本文化に関わる活動に取り組む日系団体の連合体に配属された。
ここを拠点とし、主に首都近郊の各日系団体、日本語学校などで福祉に関する授業を行った。
出張が多く、体力とコミュニケーション能力が必要とされる活動だったが、自ら積極的に巡回訪問し、各日系団体や配属先から高く評価された。


両陛下とのご懇談後、JICA本部で報告会が行われ、参加者は「参加ボランティアの活動分野が皆異なるにも関わらず、それぞれの報告について、両陛下が大変広範で深い知識をお持ちになっており、熱心に報告を聞いてくださった」、「現地の活動をねぎらう温かく優しいお言葉をいただき、感激した」などと感想を述べました。