【第8回太平洋・島サミット開催】太平洋の島々との連携強化を目指す:Vol.1 再生可能エネルギーの推進

2018年5月7日

ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアに位置する太平洋島嶼(とうしょ)国は、真っ青な海に点在する美しい島々といったイメージでとらえられています。一方で、「国土が狭く分散し、電気や水道などの社会サービスが行き渡らない」「国際市場から遠く、産業が育ちにくい」「自然災害や気候変動に脆弱」といった共通の課題を抱えています。

太平洋島嶼国が直面するさまざまな問題について同じ島国の日本と太平洋島嶼国が意見を交換し、協力関係をつくり上げていくことを目的とした首脳会議「太平洋・島サミット」が5月18日~19日に福島県いわき市で開催されます。

トンガに導入された太陽光発電システム

3年に一度開かれ、8回目となる今回は、「海洋協力」、「自立的かつ持続可能な発展」、「人的交流の活性化」などのテーマについて議論されます。

JICAは、太平洋島嶼国の課題解決を図り、連携強化を目指して、長年、さまざまな分野で協力を続けています。第8回太平洋・島サミット(PALM8)を前に、太平洋の島々で広域に取り組む「再生可能エネルギーの推進」と「人材育成支援」に向けたJICAの協力を2回にわたって紹介します。

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JICAが支援する太平洋島嶼国14カ国

太平洋の島々でハイブリッド・アイランド構想を進める

ツバルの電力関係者との会議に参加した小川専門員(前列中央)

「太平洋島嶼国は、それぞれ小さな島国で電力供給網の規模が小さいため、天候によって供給が不安定になる再生可能エネルギーの導入を進めるだけでは、電力の安定供給は難しいのです」と語るのは、JICAが2017年からフィジー、ツバル、キリバス、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島の5か国を対象に実施する「太平洋地域ハイブリッド発電導入プロジェクト」でチーフアドバイザーを務めるJICAの小川忠之国際協力専門員です。

このプロジェクトは、2015年に開催された第7回太平洋・島サミット(PALM7)でエネルギー分野への新しい支援として日本が発表した「ハイブリッド・アイランド構想」に基づき、実施されています。

フィジーの風力発電設備を視察する小川専門員(中央)

JICAは長らく、太平洋島嶼国別に再エネの普及などに取り組んできましたが、広域でのプロジェクトはこれが初めてです。小川専門員はプロジェクト開始当初から拠点となるフィジーに赴任し、南の島々を飛び回りハイブリッド発電の普及に向け技術指導などを進めています。

例えば、フィジーではフィジー電力公社(現フィジー・エネルギー)からの要請により、太陽光発電導入のためのワークショップをこれまで2回開催、合計30人以上の技術者が参加しました。JICAは、導入計画の策定に向け現場レベルでの支援を続けています。

日本の島嶼型エネルギー技術を生かす

宮古島のメガソーラー実証研究施設を視察した研修参加者と小川専門員(左から3番目)

ハイブリッド・アイランド構想では、日本が沖縄などの離島で再エネ推進に向けて培ってきた島嶼型エネルギー技術と経験が活用されています。今年2月には、プロジェクト対象5か国の電力技術者ら11人が日本での研修に参加し、沖縄の宮古島などを訪問して再エネ導入拡大に向けた取り組みを視察。小川専門員も研修に同行しました。

参加者の一人、フィジー・エネルギーのクリシュニール・プラサドさんは、日本での事例を参考に、自国での太陽光発電導入計画を効率的に進めるため、複数地点での日射量データ取得、発電量の予測手法を検討するなど、今回の研修の成果をさっそく生かしています。また、ツバル電力公社のファトンガ・タラマさんは、帰国後、職場で研修を開催し、日本の離島で導入される技術を取り入れるための活動を開始しました。

太平洋島嶼国で今後蓄積される実績やデータは、日本の島嶼型エネルギー技術の向上にも活用されます。「日本の専門家が一方的に支援するというよりも、共通の課題を抱える太平洋島嶼国とともに学び合いながら、問題解決を図るプロジェクトです」と小川専門員は語ります。

パラオ国際空港に設置された太陽発電システム

JICAの太平洋島嶼国における電力分野の協力は、1990年代のディーゼル発電設備、配電線の整備にさかのぼります。2009年以降は、パラオなどで既存の電力系統に太陽光発電を連系させる取り組みを進め、太平洋島嶼国での太陽光発電システムが広まりました。

これら長年の協力で培われた信頼関係に基づき、再エネの新たな時代に向け、JICAは日本から太平洋島嶼国への技術移転という形から、共に考え、知を結集し、新たな価値を創造して、そこで得た経験、知見を世界の途上国や日本に還元していきます。

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