アフリカに広がる日本流の「カイゼン」:ハンドブック完成間近!

2018年5月31日

JICAが作成したカイゼンハンドブック

高度成長期の日本で、ものづくりの品質や生産性を高めるために培われた「カイゼン」。人口が膨らむアフリカで雇用創出が課題となるなか、日本の品質・生産や人材育成、カイゼンの実践方法などについてまとめた手引書「カイゼンハンドブック」が近く完成します。アフリカ各国に加え、世界各国から100人以上が集まり、7月に南アフリカで開かれる「カイゼン年次会合」で公表される予定です。最近のカイゼンの成果や動きを追いました。

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カイゼンに取り組んでいる国々

エチオピアのプラスチック製造会社、生産性2割アップ!

エチオピアの企業でカイゼンの指導をする酒井専門家

2016年12月、エチオピアでカイゼンに取り組む酒井幸三JICA専門家のもとに、一通のメールが届きました。

「『カイゼン』のおかげで、機械の稼働時間が3割以上も増え、不良品も減り、全体の生産性が2割アップしました」と書かれ、さらに、こんなコメントもありました。「カイゼンを、当たり前にしていきたい」。

このカイゼンの舞台となったのは、エチオピアの首都・アディスアベバで、ポリタンクやバケツなどのプラスチック製品を作るエクセル・プラスチック・ファクトリー社です。

カイゼン前。主力製品を作る機械の状態

同社は創業から約30年になりますが、経営者は以前、「売上は伸び悩み、主力製品を作る機械の稼働率が悪く、不良品ができることも多い」と途方に暮れていました。そのとき、機械は汚れ、配線は絡まり、床は油や排水でべとべと。工場内は、散乱した不良品で足の踏み場がないほどでした。

酒井専門家やエチオピアカイゼン機構(EKI)によるプロジェクトチームは、この会社の従業員全180人に機械メンテナンスの重要性を伝え、製品不良の原因と対策を考えさせる研修を実施しました。

カイゼン後。機械の油汚れなどがなくなり、配線もきちんとまとめられています

カイゼンの基本は「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5S。機械をきれいにする過程では、ボルトの緩みや油漏れが見つかり、配線の絡まりが通電を悪くしていたことも判明。さらに製品不良の原因調査の結果、熱や圧力を加える操作を正しくできていなかったことも分かり、次々とカイゼンがなされました。

酒井専門家は「途上国では中古の機材を使うケースが多い上、日頃の管理が大事だという認識がない。だからこそ、手入れを徹底して既存の設備を最大限に活用するカイゼンが生きる」と話します。EKIの担当者は「働く文化が変わった」と期待を語ります。

広がる取り組み 定着する“カイゼン大会”

カイゼンコンサルタントによるセミナーの様子

今年3月、カメルーン・極北州の貧困地域に、JICAのカイゼンの取り組みで養成されたカメルーン人コンサルタント2人が派遣されました。起業を目指す若者にマーケティングや5Sなどを伝えるセミナーを実施するためです。

この地域は日本人の立ち入りに制約もあったため、カイゼンの“空白地域”でしたが、国連開発計画(UNDP)と連携して雇用創出とカイゼンの推進を図ることになったのです。

セミナーには約30人が参加し、「起業に生かしたい」「実践的な内容だった」などと好評でした。

優勝を喜ぶチームのメンバーたち

カイゼンの成功例を共有するための大会も各国で開かれています。ザンビアで2018年2月に開催されたのは、現地のカイゼン機構とJICAが共催する7回目の大会です。

参加19チームの中で優勝したのは、製造ラインの機器のメンテナンス頻度を上げたことで1日当たりの製造量が38パーセント増えたという包装資材を製造する会社のチームです。

各国大会を勝ち抜いたチームによる世界大会も毎年開かれていて、今年は10月にシンガポールで開かれます。来年はアフリカ各国の首脳が集う「第7回アフリカ開発会議」(TICAD7)が日本で開催される予定になっており、アフリカでのカイゼンの動きはさらに活発になりそうです。

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