JICAが設立を支援したチュニジアの大学で、初の卒業生誕生!:エンジニアとして活躍中

2018年6月19日

チュニジアで、JICAが設立を支援した理工系大学「国立ボルジュ・セドリア応用技術科学学院(ENSTAB)」から初の卒業生が誕生し、企業で活躍しています。チュニジアは大学修了者の失業率が30パーセントを越えるなか、ENSTAB第1期卒業生65名のほぼ8割がエンジニアとして民間企業などに就職をはたし、即戦力となっています。

昨年12月に行われたENSTAB第1期生の卒業式

ENSTABは、JICAが産学連携で質の高い研究をビジネスに直結させるための拠点づくりとして整備を支援してきた「ボルジェ・セドリア・テクノパーク」内にあり、学生はテクノパークの最先端施設も活用しています。

若年層の高い失業率が2011年の「アラブの春」の発火点ともなったチュニジアで、JICAの人材育成と雇用創出に向けた産学連携促進への取り組みに期待が高まります。

第1期生の就職先には同国IT分野のスタートアップ企業も

卒業式で大学教授と記念撮影する リム・ベン・ハミダさん(右)

ENSTABは、エネルギーとクリーンテクノロジー、生産技術の3つの分野を柱とする専門大学。JICAはENSTABで校舎の建設や研究機材の調達などで協力し、高度な研究ができる施設を整備しました。そのような環境のもとで学ぶENSTABの学生たちは、実践的な技術を身につけることができるため、各分野でトップレベルの企業に就職しています。

卒業生の一人、リム・ベン・ハミダさんは、チュニジアにあるフランスの航空機器メーカー、ゾディアックの関連会社で品質管理技術者をしています。「ENSTABで供給網(サプライチェーン)の管理などについて学んだことは、現在の仕事にとても役立っています」と語ります。

モハメド・アジズ・アッタラさん。職場のデスク前で

「チュニジアの技術力を高めることができるような研究に携わることが目標です」と語るのはモハメド・アジズ・アッタラさん。現在、チュニジアのIT系のスタートアップ企業で、人工知能を使った物流管理システムの開発などを手がけています。

ENSTABで学んだ工業システムなどの知識を生かし、需要が高まっているデータ分析の専門家を目指したいと意気込みを示します。

テクノパークで進む産学連携

BCTP内にある国立ボルジュ・セドリア応用技術科学学院(ENSTAB)

ENSTABはチュニジア国内の大学ランキングでも長い歴史を持つ他の大学と肩を並べ、上位にランクインしています。高い評価を生み出した理由に、JICAが2005年から整備を手がけるボルジェ・セドリア・テクノパーク(BCTP)内にあり、学生たちがBCTP内にある研究施設で学べることが挙げられます。BCTPは、チュニジアの経済団体の産業・商業・工芸連盟と提携し、研究機関と民間企業の連携を促進。学生の企業でのインターンや共同研究などがさらに活発になることが期待されます。

水環境、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーの3分野に重点を置くBCTPで、JICAは、大学都市(ENSTABを含む高等学院)や研究パーク(図書館、共用施設)の建設、研究機材の調達をサポートしました。また、チュニジア人学生が科学技術分野に関する博士号を取得するため、日本への留学も支援してきました。

人材育成や産業振興で競争力向上を後押し

JICAチュニジア事務所の江種利文所長は「チュニジアは失業率が高く、とくに若年層の高い失業率が社会不安の要因ともなり、深刻な課題。JICAの支援がその解決への一歩となっていることを実感でき、うれしく思います」と話します。

BCTPでの高度な技術を持つ人材の育成に加え、JICAは、日本がつくりだした作業効率の向上を目指した「カイゼン」手法を企業や大学に指導するカイゼン・コンサルタントなど、製造業の現場で品質改善や生産性向上を指導する人材も育成しています。

BCTP内の研究室では、さまざまな機能性成分の発見に向けた研究が進んでいます。

また、チュニジアの主要産業である農業の付加価値向上に向け、JICAは、世界有数の生産量を誇るオリーブや、この地域特有のハーブ、スパイスなど薬用植物を利用した機能性食品や薬用化粧品の開発も産学連携を通じて支援しています。

筑波大学、京都大学、九州大学の支援を受けて、BCTP内の研究所など6つの研究機関がチュニジア国内の医薬品会社などと共同研究協定を締結。美白、発毛、がん抑制や、生活習慣病予防などさまざまな効能をもった製品の開発や新しい産業の創出に向け研究が進められ、日本企業とのビジネス提携も見込まれます。