「確かな技術」を伝え、周辺諸国の技術者育成の拠点に~ウガンダ・ナカワ職業訓練校へ半世紀の協力

2018年10月31日

JICAが1968年から行ってきたウガンダのナカワ職業訓練校への協力が50周年を迎え、記念式典が2018年10月10日、同校で開催されました。この半世紀の間、内戦によりJICAによる支援はおよそ20年間中断しましたが、1994年に支援を再開しました。これまでに同校はウガンダのみならず周辺国からの留学生を含めて約5,500人以上の卒業生を輩出し、地域の技術者養成の重要な拠点となっています。

入口から校舎へと続く「専門家の木」

ナカワ職業訓練校の入口から校舎へと続く「専門家の木」。専門家が離れるたびに植えられ、約10メートルの高さに成長した木もある

同校は、ウガンダの首都カンパラの市街地から車で10分ほどの郊外にあります。小さな野球場なら2つは入りそうな広いキャンパスには入口から校舎に向かって、一本の並木道が続いています。

1971年にJICAの支援によって開校して以来、多くの専門家が派遣され、日本の高い技術を伝えてきました。専門家の多くは帰国する際に、記念樹を植えていきました。その記念樹は「専門家の木」と呼ばれ、大きなものは高さ約10メートルにまで成長。立派な並木道となり、JICAとナカワの長年の絆を象徴する風景となっています。

内戦を乗り越え、半世紀の支援

40年以上前に供与された機材が今でも大切に使用されている

JICAによる同校への支援は、「ウガンダ職業訓練センター協力」として、学校開校に先立ち1968年にスタートしました。ウガンダがイギリスから独立して6年後のことでした。開校はその3年後の1971年。中小企業振興に必要な技能の向上を目的に、機械(機械加工、機械仕上げ)、電気(電気工事、電気仕上げ)、板金加工、溶接、及び自動車整備の7分野で訓練の実施体制を確立しました。しかし、ウガンダの内戦によって1974年以降、JICAからの支援は中断することになりました。

「JICAは我々の夢をつないでくれている」

1988年、アシスタント・インストラクターとして指導するマサロ氏(中央)

「半世紀の道のりは決して平坦なものではありませんでした。クーデターと内戦による政情不安の時代には、学校運営には多くの困難がありました」と20年にわたり校長を務めたマサロ・ジャスパーさんは語ります。

「1981~86年の内戦の時代は、治安の悪化で一時、閉校を余儀なくされました。校舎内でインストラクターが何者かに殺害されるという悲しい事件も起こりました。1985年、日本が支援再開を約束してくれて、スタッフ一同で大変感動しましたが、
その直後、政権が瓦解し、支援再開は遠のきました」

それでもマサロさんらは、学校を守り、希望を捨てずに待ち続けました。そして1994年、ついにJICAが専門家派遣を再開。「以来、JICAは様々な形でナカワを支援し続け、我々の夢をつないでくれています。そのおかげで、ナカワはウガンダのみならず地域でも最高レベルの設備とプログラムを持つ職業訓練校となっているのです」。

広く地域のための研修拠点へ

同校の役割がより大きなものとなった転機が、2004年に開始された「職業訓練指導員研修プロジェクト」でした。これはウガンダ国内の他の職業訓練校に加え、周辺のケニア、タンザニア、ザンビア、エリトリアの指導員を対象に、ナカワの指導員がそれまで受けた支援の成果を伝えるものでした。他の職業訓練校への支援はその後も続き、国際機関や援助団体との連携、他のアフリカ諸国への協力も実施されました。

産業界との連携も活発となり、2015年には、「産業人材育成体制強化プロジェクト」がスタート。2018年には、自動車と電気の2学科で短大レベルの職業ディプロマコースが開設され、産業界のニーズに応える人材の輩出が期待されています。

日本からの学びは「大きな誇り」と教育・スポーツ大臣

長年にわたる功労者を表彰するムセベニ教育・スポーツ大臣(左は亀田和明駐ウガンダ大使)

2018年10月10日に同校で開かれたウガンダ・ナカワ職業訓練校協力50周年記念式典には、ジャネット・ムセベニ教育・スポーツ大臣をはじめ、多くの関係者が出席しました。

ムセベニ大臣は式辞の中で、この50年間のJICAの支援に感謝を表し、特に、品質管理・生産性向上・改善運動などの日本式の生産現場の考え方を学ぶことは、訓練生にとって「大きな誇り」であると述べました。また、自動車と電気の職業ディプロマコースへの期待も語りました。

深瀬豊JICAウガンダ事務所長は、50年にわたるJICAの協力について、「この協力関係は、インフラ整備、訓練設備の提供、日本人専門家の派遣、ウガンダと日本の両国におけるナカワの指導員訓練という形で実施されてきており、教育・スポーツ省の支援も伴い、ナカワは技術育成の拠点のひとつとして、国内外で高く評価されている」とその意義を語りました。

青年海外協力隊員の配属先の生徒による、よさこい踊りの披露

半世紀前に開始された協力が長年にわたる関係者の尽力により、今、ウガンダの産業界を支えています。次の50年で東アフリカにその効果を波及すべく、関係者の協力が続きます。