天皇皇后両陛下が帰国した青年海外協力隊員、日系社会青年ボランティアとご懇談

2018年11月1日

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国した青年海外協力隊員と日系社会青年ボランティアの代表が9月26日、皇居で天皇皇后両陛下とご懇談の栄を賜りました。

両陛下は、1965年に青年海外協力隊が発足した当初からボランティア事業に関心をお寄せ下さり、1995年までは派遣前の隊員全員と帰国後の隊員の代表が、1996年からは帰国したボランティアの代表が任国での活動をご報告する機会をいただいています。

今回両陛下にお目にかかったのはアジア、大洋州、中南米、アフリカの国々に派遣されていた青年海外協力隊員7人と日系社会青年ボランティア1人です。ご懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で北岡伸一理事長と面談しました。

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前列左から伊波さん、沖田さん、北岡理事長、谷口さん、西口さん、
後列左から松村さん、大西さん、長尾さん、安藤さん、山本青年海外協力隊事務局長

子どもにリハビリテーション実施、ウズベク版母子健康手帳にも携わる

障害をもつ子どもに歩行訓練を行なっている様子

大西海斗さん(職種=理学療法士、29歳、三重県出身)は、ウズベキスタンのフェルガナ市にある児童社会適応センターで初代隊員の理学療法士として活動しました。月50人以上の子どもに対してリハビリテーションを実施し、家族への自宅プログラム導入やさまざまな自助具の作成による成果を見せて、周囲の理解を深めました。また、母子保健分野の現状把握とウズベク版母子健康手帳の作成も行い、出版作業が進められています。

カンボジア水泳連盟ナショナルチームにて選手を指導

プールサイドから泳いでいる選手達に声かけを行っている様子(写真:石川正順)

沖田咲さん(職種=水泳、26歳、埼玉県出身)は、カンボジアのプノンペン市にあるカンボジア水泳連盟に配属されました。ナショナルチームの選手の技量や精神力を分析し、心技両面を少しずつ強化した結果、チームは東南アジア圏内で4位の成績を残すまで成長しました。また、JICAのボランティアの広報活動にも数多く参画し、日本・カンボジアの国民にボランティア活動をアピールしました。

気象観測データを島民へ アプリの導入で天気予報も分かりやすく発信

小学校で防災啓発活動を実施した後に、子どもたちと(紫色の服を着ているのが松村さん)

松村剛志さん(職種=コンピュータ技術、42歳、大分県出身)は、サモアのウポル島にある気象局に配属され、気象データ自動観測システムの保守管理について技術移転を行いました。そのほかにも防災啓発、津波体験アプリ導入、早期災害警報アプリ開発、Facebookページやウェブサイト更新の自動化などを行い、気象局のサービスの質向上と、国民の防災に大きく寄与しました。警報アプリは無料公開しており、多くの人が活用しています。

日本語や三線、移住教育などを通じて日本文化を継承

配属先の学校で低学年に平和教育を行う様子(左から二番目が伊波さん)

伊波さと子さん(職種=小学校教育、36歳、沖縄県出身)は、ボリビアのサンタクルス県オキナワ市に所在する日系移住地の小・中学校において、授業支援、教員間の研究授業や校内研修を通じ、学級経営や授業改善に貢献しました。自治体連携派遣の強みを生かして日本の沖縄県とボリビアのオキナワ移住地の小学校で手紙や写真での交流を実現させ、また、子どもたちのキャリア教育を通じた地域の将来に貢献する活動を実施しました。

啓発活動で防災意識向上を目指す

けが人を毛布担架で搬送する方法を学ぶ様子(左が谷口さん)

谷口稜子さん(職種=コミュニティ開発、30歳、静岡県出身)は、チリのタルカワノ市役所に配属。この市では2010年2月に発生したチリ大地震と津波により住民の80%が家屋損失の被害を受けました。谷口さんは学校や地域住民向けに防災キャンペーンや、チリ地震の写真・エッセイ展示会を実施し、防災意識向上を図りました。また、講習会に加え、地域に合った防災プログラムの構築や改善に取り組みました。

学校行事の楽しい側面のみならず、教育的意義を伝える

運動会開催に向けて、騎馬戦の練習を行っているところ(立っているのが西口さん)

西口記子さん(職種=小学校教育、25歳、大阪府出身)は、ベナン南西部モノ県の市教育委員会が管轄する小学校にて、体育と図工を柱として児童の情操教育に取り組みました。体育は、2校で計3回の運動会を延べ40人の教員と協働して企画・実施し、約1500人の児童が参加しました。図工では、教育分野の隊員らが作成した図工指導補助マニュアルを活用して指導研修会を開催。さまざまな教育的意義のある学校行事を体験する機会をつくりました。

更生施設で体育の授業を実施 業務の質向上にも尽力

体育の授業での準備運動の様子(左から3番目が安藤さん)

安藤洋之さん(職種=青少年活動、33歳、兵庫県出身)は、ケニアのキリニャガ州にある全寮制の男子更生施設にて、軽犯罪を犯した10代の男子生徒を対象に、体育や放課後のスポーツ活動を通じ、子どもたちの社会性を養い、健康な心身の発達を促す支援を行いました。また、職業教育の一環としてキャリアを紹介する掲示物を作成したり、子どもたちの生活の様子を掲示して保護者に紹介したりしたほか、配属先のほかの部門との連携や業務の質の向上にも尽力しました。

日本人移民をテーマに調査研究をする団体で記念誌編纂に貢献

配属先で記念誌編纂会議を行っている様子(右から2番目が長尾さん)

長尾直洋さん(職種=社会学・文化人類学、40歳、愛知県出身)は、日系社会青年ボランティアとして、ブラジルのサンパウロ市にある日本人移民をテーマに調査研究活動を行う公益団体に派遣され、研究所創立50周年史の編集に携わりました。資料収集、分析、執筆、そして校正までの一連の業務を担当し、早い時期に記念誌編纂委員会を開き、各委員の役割分担を明確にするなどの工夫をした結果、任期終了までに記念誌を刊行させることができました。

ご懇談後、JICA本部で報告会が行われ、参加者は「両陛下の幅広いご見識に感銘を受けた」、「活動に対するお優しい労いのお言葉とともに、帰国後の日本での進路についてもご関心を寄せてくださり、大きな励みになった」などと感想を述べました。