「ICT立国」ルワンダの躍進 若手の起業や人材育成などをサポート

2018年11月12日

アフリカ内陸の国で1994年に起きた「ルワンダ虐殺」。民族対立による内戦をきっかけに、わずか3か月間で100万人もの命が奪われた、とも言われており、もともと産業の乏しかったルワンダの経済基盤は崩壊してしまいました。

そのルワンダがいま、「ICT(情報通信技術)立国」を掲げ、急速な発展を見せています。ルワンダ虐殺後に就任したカガメ大統領は、農業や産業、教育など各分野で生産性を高めるICTを成長戦略の要と位置づけ、ビジネス環境の整備も進めています。JICAは起業支援や人材育成などを通じて、同国の経済成長を後押ししています。

首都キガリで起業家を支援するプロジェクト始動

「250 Startups」の最終選考を通過したルワンダの若手起業家たち

首都キガリで5月、ルワンダの若者の起業を支援するプログラム「250 Startups」の最終選考が開かれました。JICAの「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」の一環です。太陽電池を使った自動灌がいシステム、農家向け天気予報アプリなど、起業のための支援を受けた8組が独自の事業計画を発表しました。

JICAが長年支援する同国のトゥンバ高等技術専門学校を卒業したイマニ・ボラさんも、参加者の一人です。ルワンダが卵や鶏肉の大半を輸入に依存している現状を変えようと、わずか3週間のうちに3万個の卵を同時にふ化させる機器の開発に成功しました。スマートフォンなどで遠隔から操作でき、ふ化のモニタリングもできます。応募全28組のうち、ボラさんら5組が最終選考を突破し、JICAはこの5組を含む若手起業家を、起業後も継続して支援していきます。

ボラさんは今年7月に卵ふ化器の製造・販売会社を起業し、「250 Startups」を通じてビジネスに必要な法務や経理、マーケット調査の手法などを学びました。「これまでは技術しか学んでこなかったが、起業や経営について学べた。お金以上に必要な支援を受けた。鶏のふ化をビジネスに育てるソリューションを提供することで、ルワンダの養鶏産業や地方農業を発展させたい」と語ります。

ICT国家戦略作成にアドバイス 日本企業とのマッチングも

K-Labの様子

JICAはルワンダで、ICTをより活用しやすい環境を整えるため、2010年にJICA専門家をルワンダICT省に派遣。ICT政策アドバイザーとして、同国のICT国家戦略の作成や、人材育成などに携わりました。

2012年には、首都キガリの中心部にインキュベーション施設「K-Lab」の設立を支援。今や2,033人のルワンダの若手起業家たちが登録し、ワークショップなどを通じた日本企業とのマッチングなどが行われています。すでにこの施設から、バス用の電子マネーシステムを提供する企業や、アプリでバイクの配車サービスを提供する企業など65社が起業し、中には海外から投資を呼び込むなど、ビジネスが軌道に乗り始めた企業もあります。

日本の大学と連携して人材育成 世界にはばたく修了生たち

授業に取り組む留学生たち

そして日本で、JICAを通じ、ICT分野でルワンダから留学生を受け入れている大学の一つのが、ICT教育を専門にしている神戸情報大学院大学(神戸市)です。

ルワンダがICT分野で躍進していると知った同大学は2013年、JICAを通じて同国から留学生2人を受け入れました。ちょうど同じころ、安倍晋三首相が、アフリカの若者に日本の大学院での教育機会などを提供する「ABEイニシアティブ」を発表。動きは加速し、同大学はこれまでルワンダから30人以上を受け入れてきました。そのうち、15人は現在も学んでいます。

留学生たちと意見交換する福岡副学長

同大学修了生の一人は帰国後、ルワンダ政府ICT省で民間セクター開発部門長に就任し、日本企業の事業展開を支援。メディアコンサルタントとして起業した女性は、今年7月にアントニオ・グテーレス国連事務総長が設けた「デジタル協力に関するハイレベルパネル」のメンバーに選ばれました。日本のIT企業に就職した修了生もいます。

同大の福岡賢二副学長は「留学生の進路は想像以上にさまざまで、日本で培った人のネットワークを生かし、世界に活躍の場を広げています」と手応えを感じています。

アフリカをけん引するイノベーションの中心地を目指す

ICT施策によって起業や経営などがしやすくなるなか、世界銀行がビジネス環境の良さをランク付けした、最新の「Doing Business 2019」(2018年10月発表)で、ルワンダは190ヵ国・地域中29位となり、39位の日本を上回りました。

来年は、「第7回アフリカ開発会議」(TICAD7)が日本で開催される予定です。JICAルワンダ事務所でICTを担当する古川正之職員は「ルワンダは、内戦による混乱を乗り越え、まさに『ICT』が国づくりの原動力となっています。国際社会でも高く評価され、近年はビジネスチャンスをつかむためルワンダを訪れる日本企業が急増しています。ルワンダがアフリカをけん引するイノベーションの中心地になることを目指して、パートナー国としても、さらに協力関係を深めていきます」と語っています。