【TICAD7に向けて~私とアフリカ~:Vol.1】アフリカと信頼でつながる特別なパートナーに:加藤隆一JICAアフリカ部長

2019年1月4日

今年8月、横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開催される予定です。アフリカ各国の首脳らに加え、民間企業や研究者、多くの市民団体も参加し、アフリカへの取り組みなどについてさまざまな角度から議論が交わされます。

加藤隆一JICAアフリカ部長

JICAはアフリカとこれまでどのように向き合い、今後、どう向き合っていくのか、このシリーズ【私とアフリカ】ではTICAD7に向け、「パートナーシップ」「イノベーション」「日本の強み」「長年にわたる取り組み」といったJICAのアフリカ支援に関するキーワードをもとに、アフリカに関わるJICAの職員や専門家、関係者らの声を紹介します。

第1回は、コートジボワール、セネガルに赴任するなど長年アフリカへの支援に携わり、「アフリカにとって日本は信頼関係に基づく特別なパートナーなのです」と話すJICAアフリカ部の加藤隆一部長です。

アフリカ開発の変遷を物語るTICAD

ICT(情報通信技術)立国を掲げるルワンダの若手起業家たち

「アフリカは多様性に富み、さまざまな側面を持っています。『転換期』と呼ばれる2000年以降の変化も大きく、資源の高騰などを背景に『成長しない大陸』と言われていたアフリカが経済成長を始めました。それを機に、TICADでもアフリカを成長のパートナーとしてみる機運が高まっています。とは言え、自然環境、社会民族、資源の有無、経済成長の質など、国によって状況は大きく異なることを踏まえて、丁寧にアプローチをする必要があります」と加藤部長は強調します。

「日本がTICADを初めて開催したのは1993年。冷戦終結により東西のはざまで翻弄されたアフリカに対し、国際社会の関心が薄れていたときでした。日本はアフリカを平等なパートナーとして、貧困削減などに向け一緒に取り組む姿勢を打ち出し、国際社会に大きなインパクトを与えました」。

新たなアフリカ貢献策の鍵は「イノベーション」

2013年に横浜で開催されたTICAD Vでは、民間投資の役割が強調され、3年前にケニアで開催されたTICAD VIでは、官民パートナーシップの重要性が議論されました。この流れを踏まえ、加藤部長は「TICAD7ではアフリカが抱える課題に対する、新たな社会的インパクトを生みだすイノベーティブなアプローチの創出と、それを実現するための民間企業との連携(パートナーシップ)がテーマの一つになるでしょう」と述べます。

さらに、ICT(情報通信技術)を用いた遠隔での医療診断や、過疎地への血液の輸送にドローンを活用するなど、「アフリカで先行しているイノベーティブな取り組みを日本で生かし、アフリカも日本も一緒に豊かになるという形が生まれてくると思います」。

エチオピアでは、日本人専門家(中央)が工場の生産性向上に取り組みます

アフリカ33か国に拠点を有するJICAは、さまざまな分野で活躍する専門家や、地方部に活動領域を広げるJICA協力隊と共に、現場のニーズや課題を把握して民間企業などのパートナーと現場をつなぐ「触媒」として重要な役割を果たしていける存在になっています。

また、今年、日本で6年ぶりに開催されるTICADに向け、加藤部長が注力しているのはアフリカと日本の地方を結ぶ取り組みを進めること。「アフリカの課題を解決できる技術を持った地方の中小企業とのマッチングはアフリカの成長には欠かせません。ABEイニシアティブなど、JICAの留学生事業を通じて日本各地の大学で学ぶアフリカからの学生には、それぞれの地域でアフリカについて伝えてくれることを期待します」。

変わらぬ「JICAならでは」の対話を重ねる姿勢が基本

新しい技術を取り入れるなど時代に合わせて支援の形は変化するものの、その根底にあるのは「相手のニーズに寄り添い、対話を重ねながら支援していく」というTICAD開催当初からのJICAならではの姿勢です。

セネガルで保健人材を育成する日本人専門家(右)

加藤部長は「人材育成やインフラ投資といった分野で、JICAは長年、日本の強みを生かした取り組みをアフリカで続けています。理論を押し付けるのではなく、その国の文化、社会、経済を理解しながら信頼関係を築いていくことが大事です」と語ります。

コートジボワール赴任時に内戦勃発の現場に居合わせた加藤部長。「穏やかに晴れ渡る青い空の下、昨日までの平穏が一転して崩れ去るというアフリカの現実を目の当たりにしました。『厳しい状況に直面しているからこそ、アフリカとしっかり向き合っていかなければならない』と認識した瞬間でした」。その思いを胸に抱き、加藤部長はアフリカとのこれからを見据えます。

加藤 隆一(かとう りゅういち)
JICAアフリカ部部長。1987年国際協力事業団(旧JICA)入団。コートジボワール、セネガルでの勤務を経て、2012年から2016年は事務所長として2回目のセネガル赴任。山形県出身。

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