NPO法 20年:国際協力でも不可欠のパートナーに

2019年1月11日

フィリピン・ケソン市のゴミ集積場のある地区の子どもたちと遊ぶNGOの日本人スタッフ(左)とJICAフィリピン事務所の日本人職員(ICAN実施「パヤタス地区での医療および収入向上支援事業」)(写真:今村健志朗/JICA)

市民らによる公益の増進に資する活動を支えるため、阪神・淡路大震災などをきっかけに特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されて昨年12月で20年を迎えました。この間、JICAは、国際協力を含むさまざまな分野で活動の担い手として定着したNPO(非営利団体)やNGO(非政府組織)と連携を深め、両者は不可欠のパートナーとなりました。この節目にJICAとNGO/NPOとの連携について振り返ります。

国際協力NGOの多くがNPO法人

NPO法の施行前、国際協力に取り組むNGOは、一部の財団法人や社団法人を除き、法人格を持たない任意団体が多く、寄付を集めるにも、団体(法人)として銀行口座を開設することもできませんでした。NPO法の施行により、NGOは相次いで特定非営利活動法人(NPO法人)として法人格を取得し、その活動の幅を広げていきました。

多くのNGOが加盟するネットワーク組織「国際協力NGOセンター」(JANIC)が発行する「NGOデータブック2016」によると、日本で国際協力活動を行うNGOは400余り。このうち、約7割の約300団体がNPO法人として認定されています。

JANICの若林秀樹事務局長は「1990年代に多くのNGOが設立された。NPO法は、そうしたNGO団体やその活動を認知し、NGOが市民権を獲得していくことに貢献した」と話します。

NGO/NPOとの連携事業は当初の4倍超に

NPO法の成立・施行と相前後し、1998年、「NGO-JICA協議会」が設置され、NGO/NPOなどとJICAとの間で定期的な対話が始まりました。

事業面では、1997年度に「開発福祉支援事業」が始まり、2002年には、自治体や大学などとの連携も加えた「草の根技術協力事業」が開始されました。NGO/NPOが主体となる事業は、件数、支出額ともこの15年で4倍以上になっています。

【画像】

セルビアで難民・国内避難民を対象に、草の根技術協力事業として実施された子どもたちへの心理社会支援事業で、NGOスタッフの周りに集まる子どもたち(ACC・希望実施「スメデレボ市ラーリャ地区、ベオグラード市カルジェリッツァ地区の子どもたちへの心理社会支援事業子どもたちへの心理社会支援事業」)(写真:久野真一/JICA)

同時にJANICやJICAは、NGO/NPOスタッフの研修や能力強化のための取り組みも推進しています。

「JICAと対話を始めた当初は、NGO/NPO側には“反政府”というスタンスもみられたが、対話や連携が継続され、それぞれの立場を踏まえて、率直に意見交換するという信頼関係ができてきた。資金面では草の根技術協力事業が大きい」とJANICの若林事務局長は話します。

現場のニーズに沿ったきめ細かい活動などで成果

連携が深まることにより、いくつもの成果が見えてきました。2016年にNGO/NPOとJICAによってまとめられた「草の根技術協力事業10年の振り返りのための分科会報告書」では、成果として、政府間の要請に基づく支援では取り組むことのなかった開発課題やリーチが困難な地域、階層の課題への貢献などが挙げられました。また、地域住民に迅速で直接的な効果をもらたすきめの細かい援助、現地の資源や既存メカニズムを活用した援助などの成果も示されました。

シェアの東ティモールでの活動で、スタッフ(左)と談笑する、検診に来ていた親子(写真:久野真一/JICA)

例えば、2004年から東ティモールで実施されたシェア=国際保健協力市民の会との協力による活動は、独立直後の現地政府が機能しない状況での現地のニーズに沿った活動として例示されています。この活動では、山岳地帯の保健・教育行政を対象に保健教育のできる人材を育成し、行政の保健スタッフの能力強化を図りました。

DPI日本会議のブラジルでの取り組み。知的障害者とのワークショップ。手を動かしながら自己紹介

また、2008年からブラジルでは、DPI(障害者インターナショナル)日本会議との協力によって非識字障害者のHIV/AIDS対策が実施されました。この活動では、現地のろう者団体の能力強化と州保健省との連携を促進しながら、非識字者層のための教材づくりや、障害者自身がHIV/AIDS ワーカーとなるための研修などが行われました。

当時、JICAによるブラジル支援の中に、障害者自身による社会参加を促進するものはありませんでした。NGOとの連携により日本からの支援の幅が広がりました。

地域での取り組みが世界とつながる

LEAFによる海外からの研修員の受け入れ

近年は、日本国内の福祉や地域おこしなどに取り組むNPOとの連携も定着しています。

兵庫県西宮市のこども環境活動支援協会(LEAF)も、そうした団体の一つ。環境学習や地域ごとのゴミ減量などを通じて持続可能な地域づくりを続ける中、世界各国から廃棄物に関する研修員を受け入れています。その経験と縁を生かし、2014年からは、ソロモン諸島で草の根技術協力事業を実践しています。地域での取り組みが、より直接的に、途上国で生かされることになったのです。

より多くの担い手たちとともに

国際協力の担い手としては、企業の存在感も大きくなってきました。JANICの若林事務局長は「組織形態で分けるのではなく、だれとだれが結びつくことで課題が解決するかを考えることが重要。また、高齢化や防災、環境問題など、国内の課題に目を向けることで、そのノウハウが世界にも生きるので、国内と海外をあまり区別し過ぎない方がよい」と話します。

NPO法施行から20年が経ち、国際協力でも、より多様な人・組織との協力が必要とされるようになっています。JICAは引き続き、さまざまな担い手との連携の強化・拡大を図っていきます。