楽しみながら防災を世界へ、次世代へ~1月27日に神戸で10年目の「イザ!美かえる大キャラバン!」

2019年1月15日

「イザ!美かえる大キャラバン!2018」の「BOSAIキッチン」でポリ袋調理に挑戦する参加者

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から間もなく24年。震災の教訓を生かし、楽しみながら学ぶことを目的に、JICA関西などが毎年開催している防災イベント「イザ!美かえる大キャラバン!」が今年も1月27日に行われます(注1)。多くの団体が参加し、すっかり定着したイベントは今回が10回目。JICA関西での研修や取り組みもあり、楽しみながら防災を学ぶ取り組みが、世界約20ヵ国に広がっています。

防災文化の継承めざし関係団体が一堂に

水消火器でカエルの的を狙い、振り返らせるゲーム。消火器の使用手順を身に着ける=2010年1月の「イザ!カエル大キャラバン!in HAT神戸」

「イザ!カエルキャラバン!」(以後、「カエルキャラバン」)は、使わなくなったおもちゃを持参したり、防災体験に参加したりすることで「カエルポイント」がたまり、他のおもちゃと交換することができるイベント。2005年4月、震災10周年の記念イベントとして、NPO法人プラス・アーツが神戸市などと連携して実施したのが最初です。

一方、「イザ!美かえる大キャラバン!」(以後、「大キャラバン」)は、カエルキャラバンと、防災や復興支援に取り組む兵庫県内などの大学や高校、NPO、研究機関など20~30団体による体験ブースなどを組み合わせたイベントです。震災15周年の2010年1月、JICA関西/DRLC(注2)と、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター、兵庫県立美術館、公益財団法人兵庫県国際交流協会の共催で始まりました。「防災文化の継承」をテーマに、プラス・アーツの協力を得て、各地で実施されてきた震災関連イベントや防災訓練を集約する形で企画されました(注3)。

第1回は、新聞紙を使った紙食器づくりや、水消火器でカエルを狙う的あてゲーム、毛布を活用した担架にカエル人形を乗せて走る競争のほか、神戸市消防局によるロープワーク体験や、兵庫県立舞子高校の環境防災科による地震に負けない建物を考える展示などがありました。

「イザ!美かえる大キャラバン!2018」で、参加した子どもたちにマスクの作り方を教える各国からの研修員たち

2018年1月の大キャラバンでは、以前に続き、神戸市消防局および中央消防署による消防車の見学と消防服着用体験、JICA関西/DRLCで防災を学ぶ研修員による「災害時に役立つ工作教室」などが実施されました。また、普段の食材を災害時にも活用する「BOSAIキッチン」(協力=生活協同組合コープこうべ)が初めて行われ、好評でした。

インドネシアは小鹿キャラバン、毛布代わりに民族衣装で

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世界に広がるカエルキャラバン(出典:プラス・アーツ)

大キャラバンの成果の一つが、神戸発の防災の海外展開への貢献です。

JICA関西/DRLCの防災分野の研修コースで学ぶ世界各国の研修員が、防災教育・啓発の取り組みの一つとして大キャラバンを学び、自らも参加します。別の時期の研修で学んだ研修員の活動や現地での研修、プラス・アーツ自身の取り組みなどもあり、インドネシア、タイ、フィリピン、チリ、パナマなど、世界約20ヵ国に、カエルキャラバンの要素を取り入れた、楽しみながら防災を学ぶ取り組みが広がりました。

インドネシアでは、竹の棒と伝統的な巻きスカート「サルン」で作った担架でのけが人の搬送訓練。載せているのは、現地のシンボルキャラクターの小鹿の人間(出典:イザ!カエルキャラバン!公式ページ「世界に広がるBOSAIの輪」)

帰国した研修員らは各国で、それぞれ文化や風習に合わせた工夫をしています。インドネシアでは、伝統的な巻きスカート「サルン」を使った担架に、現地のシンボルキャラクターの小鹿の人形を載せます。災害時の食器は、新聞紙ではなくバナナの葉。キャラクターは、フィリピンではサル、トルコではクマ、イランではカメが使われています。

新たな防災の担い手を神戸から

国際緊急援助隊について学ぶ親子。子どもが動くと周囲の大人や地域も変わる=2010年1月の「イザ!カエル大キャラバン!in HAT神戸」

震災10周年イベントの相談を受けたとき、プラス・アーツの永田理事長は「元気が出るイベント」が期待されていると感じました。しかし、「震災に触れない訳にはいかない。未来を向いて、神戸発の新しい防災のやり方を立ち上げ、人を助けられる人を育てたい」とカエルキャラバンを発案しました。

国際協力との接点は、2006年、インドネシアを襲ったジャワ中部地震。現地の復興に関わっていたプラス・アーツの理事の大学教授から「耐震性のない住宅が再建されている。防災教育も避難訓練もない」と指摘を受け、被災地でカエルキャラバンを開催しました。その後、JICA関西(注4)との協働が始まり、2017年からはネパールで防災のシステムをつくるプロジェクト(注5)も進めています。

新聞紙ではなく、バナナの葉を災害時の食器にするインドネシアでの訓練(出典:イザ!カエルキャラバン!公式ページ「世界に広がるBOSAIの輪」)

「毎年恒例となった『イザ!美かえる大キャラバン!』を目標に、地元の高校生や大学生たちが新しい防災のプログラムを考えている。人材育成、交流の場であり、防災の担い手を生み出している」と永田理事長。一方、海外では、「現地化で、彼らのものになっている。キャラクターが現地オリジナルのものに変わったら、支援は終了、これ以上は現地に赴かなくていいというサイン」と話します。

阪神・淡路大震災の被災地で生まれ、災害のたびに見直されてきた防災の教訓が世界にも次世代にも広がっています。

今年の大キャラバンは、1月27日(日)13時から16時までJICA関西と人と防災未来センターで開催。10年目を迎える今回も、身近なものを使って災害時に役立つものを作る「BOSAI図工室」や、災害時の“食”について考える「BOSAIキッチン」などが実施されます。海外からの研修員は、全世界から32ヵ国45名が参加予定です。事前連携イベントは1月25日(金)まで開催中です。詳細はこちらをご覧ください。

関連リンク:

(注1、注4)2012年3月まではJICA兵庫としての取り組み。同年4月、JICA兵庫とJICA大阪が統合してJICA関西と改称。

(注2)DRLC(国際防災研修センター、Disaster Reduction Learning Center)は、開発途上国で防災に携わる人材をより効果的に育成する拠点として、2007年4月にJICAと兵庫県がJICA兵庫(当時)内に設立。

(注3)2010年1月の第1回に先立ち、同じ共催の枠組みで2008年1月に「HAT神戸+防災EXPO」、2009年1月の「ひょうご安全の日1.17連携防災イベント」が開催され、大キャラバンにつながった。HAT神戸は、震災後、神戸市復興計画でシンボルプロジェクトの一つとして位置づけられた同市の東部新都心。大キャラバン共催のJICA関西/DRLC、人と防災未来センター、兵庫県立美術館、兵庫県国際交流協会のいずれもHAT神戸に拠点を構える。

(注5)「教職員を対象とした持続可能な防災教育人材育成と教材開発に向けた研修」、「学校における防災をテーマとしたクラブ活動の推進支援事業」