天皇皇后両陛下が帰国したシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアとご懇談

2019年3月19日

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国したシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの代表が2月18日、皇居で天皇皇后両陛下とご懇談の栄を賜りました。

両陛下は、1965年に青年海外協力隊が発足した当初からボランティア事業に関心をお寄せ下さり、1995年までは派遣前の隊員全員と帰国後の隊員の代表が、1996年からは帰国したボランティアの代表が任国での活動をご報告する機会をいただいています。

今回両陛下にお目にかかったのはアジア、アフリカ、欧州、中南米の国々に派遣されていたシニア海外ボランティア4人と日系社会シニア・ボランティア1人です。ご懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で北岡伸一理事長と面談しました。

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前列左から桑原秀輔さん、北岡理事長、佐藤節子さん、後列左から黒岩春地さん、塩崎良次さん、岩永幸夫さん、山本青年海外協力隊事務局長

自身の経験を生かした商品開発やマーケティングの授業を実施

配属先の学生たちにマーケティングについて指導している様子(右が塩崎さん)

塩崎良次さん(職種=経営管理、69歳、長野県出身)は、ウズベキスタンの首都タシケントにある企業統治研究教育センターで、企業の幹部、経済関係官僚たちを対象に経営学修士(MBA)を付与する活動に関わりました。マーケティングの授業では、顧客志向の考え方と実践を紹介。日本の事例を用い、マーケティング戦略、市場/顧客調査、商品開発、宣伝・販売活動などをまとめた資料を作成しました。

視覚障害者の自立支援や同協会の資金調達促進に尽力

寄付集めでオリジナルノートを買ってくれた子どもたちと(左が黒岩さん)

黒岩春地さん(職種=コミュニティ開発、62歳、佐賀県出身)は、セントルシアの首都カストリーズにある視覚障害者協会で活動を行いました。教育・クリニック・リハビリの各部門への協力だけでなく、収入向上のために視覚障害者が日本式の鍼灸・指圧の技術を学べる「セントルシア指圧研修センター」設立プロジェクトを計画。ニカラグアの東洋医学大学の指圧講座を視察した知見も生かしました。2019年5月には同センターが開校する予定です。

建設機械の研修コースを設立 研修講師の養成も

モータ・グレーダ運転訓練コース開講式の記念写真(前列右端が桑原さん)

桑原秀輔さん(職種=建設機械、73歳、神奈川県出身)は、ケニアの首都ナイロビにあるトヨタ・ケニア・アカデミーで、建設機械を扱う地元協力企業や団体と連携し、それぞれの配属先に合った訓練コースの立ち上げに尽力しました。桑原さんは研修コース設計や教材作成、建設機械の調達、研修会場の手配および協力企業、政府機関との交渉に中心となって取り組み、現地企業が自分たちだけでフォークリフト研修を実施できるようになるなどの成果を上げました。

学生の関心や身近な題材を取り入れ、学習意欲や学力向上に貢献

4年生の卒業前の最後の授業で寄せ書きをいただきました(前列右が佐藤さん)

佐藤節子さん(職種=日本語教育、66歳、宮城県出身)は、セルビアの首都ベオグラードにある語学高等専門学校で日本語を指導しました。ゲームやインターネットを使ってさまざまな場面の会話練習などを採り入れ、楽しみながら学べる授業を提供。指導した学生がスピーチ大会で上位入賞を果たしたり、日本語能力試験の最難関レベルに合格したりしたほか、卒業生の中から初めて留学生試験の合格者が出ました。

脳の健康教室で音読や計算のトレーニングを実施

脳の健康教室(認知症予防)を開催している様子(右奥が岩永さん)

岩永幸夫さん(職種=高齢者介護、63歳、鹿児島出身)は、ボリビアのサンタクルス県サンフアン市の日本ボリビア協会に配属し、高齢者施設で認知症予防の「脳の健康教室」を開いたり、広報誌の発刊を始めたりしました。また、移住地で初の試みとなる日系1世への戸別訪問調査を実施し、調査結果をもとに日系人医師による健康相談が始まりました。いずれもサンフアン日系社会に根付いた活動となり、現在も高齢者の健康増進に大きく貢献しています。

両陛下とのご懇談後、JICA本部で報告会が行われ、参加者は「両陛下が我々の話を寄り添って聞かれる姿に感動した」「緊張の中にも和やかにお話でき、両陛下の博識の深さとお優しい心遣いを感じることができた」「光栄な機会を賜り、家族がとても喜んでくれた。滞在中の健康についてねぎらいの言葉をくださり、感無量だった」などと感想を述べました。