2019世界柔道選手権東京大会に青年海外協力隊員が指導する選手が続々と出場!

2019年8月23日

2019世界柔道選手権東京大会が8月25日から始まります。今大会には、カザフスタンやブータンなどに派遣された8名の青年海外協力隊員(※1)が指導する選手、合計26名が参加します。

現在、1,600名以上(※2)のJICA海外協力隊隊員のうち、女性4名を含む28名が柔道隊員として計25ヵ国で活動しています。隊員たちは、それぞれの国で柔道の技術指導に力を注ぎながら、国際大会を目指す選手のサポートにも取り組んでいます。

※1:2名の元隊員を含む
※2:2019年6月30日現在:青年海外協力隊/シニア海外協力隊

国際試合で活躍できる選手を増やしたい

他の隊員と一緒に地元の学校で出張柔道教室を実施

今回の大会に参加する柔道隊員のうち、サモア選手団を指導するのが上林航平隊員です。小学1年生から柔道を始めた上林隊員は大学時代、当時、ペルーから帰国した先輩柔道隊員から、その体験談を聞き、自分も海外で柔道の指導をしてみたいという気持ちから隊員を目指しました。現在、サモア柔道協会の職員として柔道の普及にあたるほか、教員として派遣されている協力隊員と連携し、学校での出張柔道教室なども開催しています。現地で活動して1年6ヵ月、「小さい島国であるせいか、住民たちが皆家族であるかのように仲がよく、自分のこともすぐに受け入れてくれた」と話します。

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サモア唯一の柔道場で協会職員として指導にあたる上林柔道隊員(前列向かって右から2人目)

今回の大会には、サモアからは、デレック・スア選手、ペニアミナ・パーシバル選手、ウィリアム・タイティン選手の3名が参戦し、上林隊員はコーチとして参加します。選手はいずれも、国際大会に出場経験のある実力者ですが、まずは初戦突破が目標です。彼らの活躍が、今後サモア柔道の発展に貢献してくれると上林隊員は期待します。

サモアでの地元開催となったパシフィックゲーム2019では男子団体戦で銅メダル獲得。上林隊員の指導者デビューとなった大会で「多くの道場生とメダルを分かち合えてよかったです!」と感激

ラグビーが国民的スポーツであるサモアでは、柔道人口はまだまだ多くありません。柔道のできる道場も、上林隊員が指導しているサモア柔道協会1ヶ所のみ。できるだけ多くの人に柔道を知ってもらい、そこで生まれる絆や勝つことの喜び、仲間の大切さなどを広めていきたいと言う上林隊員。「国際試合で活躍できる選手を増やすことによって、サモアでの柔道の知名度を上げたい」と今後の抱負を述べました。

2020東京オリンピックに向けて膨らむ期待 

JICAのボランティア事業と柔道の歴史は古く、昭和40年度1次隊としてカンボジアに派遣されたのが始まりです。1964年(昭和39年)の東京オリンピックの翌年に青年海外協力隊が発足して間もない頃でした。それから約50年、これまでに柔道隊員(青年海外協力隊/シニア海外協力隊/日系社会・短期含む)は計60ヵ国へ500名以上が派遣されており、開発途上国での柔道文化発展の核となってきました。近年では視覚障害者柔道を指導する隊員も増えています。

オリンピック出場を目指す選手を指導する隊員も増えており、前回2016年リオデジャネイロ五輪では5ヵ国(モンゴル・ラオス・サモア・タンザニア・チリ)から柔道隊員がサポートした選手が出場しました。2020年の東京オリンピックには、現在のところ、元バングラデシュ柔道隊員/現カザフスタンナショナルコーチを務める協力隊経験者が指導する選手が出場する予定です。

今週末から始まる2019世界柔道選手権東京大会では、東京オリンピックに向け、全力で立ち向かう選手たちと彼らを支えるJICA青年海外協力隊の柔道隊員の活躍が期待されます。

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