人気少女漫画家がタイの人身取引問題を描きました!

2020年2月5日

タイの片田舎に住む17歳の少女シリラットに襲い掛かる人身取引のわな、シリラットのその後はいかに…。そんな人身取引の実態を描いた漫画「わたしをとりまく世界の話」が(全16ページ)、本日2月5日発売の小学館女性コミック誌「姉系プチコミック」 3月号に掲載されました。

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主人公シリラットが知り合いの女性から首都バンコクでの仕事を紹介してもらうシーンから物語が始まります

決して他人事ではない人身取引の問題

人身取引とは、暴力や脅迫、誘拐、詐欺などの手段で、弱い立場にある人を別の国や場所に移動させ、売春や強制労働などの目的で搾取すること。その被害者の約7割が女性(成人および子ども)と言われています。

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レストランの仕事を紹介されたシリラットですが、連れてこられたのは売春宿でした

JICAはタイで、十分な教育や就労の機会に恵まれず、より良い生活を求めて国外での出稼ぎで子どもや家族を養おうとしたものの、だまされ、つらい経験をした女性たちの保護や自立に向けたサポートを10年以上にわたり続けています。

実は、この人身取引の被害は日本でも起こっています。決して他人事ではないこの問題を多くの人に伝えることができればと、JICAは小学館と協働して、この人身取引をテーマにした漫画を制作しました。

現状に無関心にならないで

漫画を執筆したのは、「深夜のダメ恋図鑑」などの作品で人気の少女漫画家尾崎衣良さん。「今回の漫画を通して、恐怖でも怒りでも悲しみでも、何かしら感じてもらえることを願っています。世界中で自分と同じ立場の同じ人間が奴隷のように扱われている現状に無関心でいないで、知識をしっかり持っていてもらえたらと思います」と語ります。

また、漫画の制作にあたり、尾崎さんが話を聞いたのは、JICAの専門家としてタイで被害者女性たちをサポートしてきた松野文香さんです。「今回の漫画では女性が被害に遭うケースを取り上げましたが、男性が被害に遭うケースもあります。遠く離れた異国の自分とは関係の薄い犯罪というのではなく、自分も巻き込まれる可能性のある身近な犯罪として、読者の皆さんには人身取引の問題を考えてもらいたいです」とこの漫画をきっかけに、多くの方々が人身取引について知ってもらえればと期待します。

JICAのウェブサイトでも本日から同時公開! ぜひご覧ください。

わたしをとりまく世界の話

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被害者女性たちの自立に向け、JICAがサポートする具体的な取り組みも紹介されています