JICA国際協力 中学生・高校生エッセイコンテスト2019の受賞者が決定!

2020年3月25日

「JICA国際協力 中学生・高校生エッセイコンテスト2019」の受賞者が決定しました。このコンテストは、次世代を担う学生たちに、貧困や紛争、差別、環境汚染など世界に存在する問題・課題を知ってもらい、よりよい世界にしていくためには自分たち一人ひとりがどのように行動していくべきか、考えてもらうことを目的としています。

ヤンゴン日本人学校(現在、休校中)で唐澤雅幸JICAミャンマー事務所所長から表彰状を受ける中学部2年生の野中優那さん。兄との生活から障害に対するバリア(偏見)に焦点を当て、社会的障壁をなくすにはどうするべきかを考えたエッセイ「ボーダーのない社会」で「国際協力特別賞」を受賞しました。

※JICA地球ひろばで予定していた表彰式は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて中止となりました。

中学生の部は24回目、高校生の部は58回目と回を重ねた今年のテーマは「よりよい世界の未来を目指して ~私たちから始まる一歩~」。中学生の部に27,320点、高校の部に28,141点の作品が寄せられました。その中から選ばれた最優秀賞(6人)、優秀賞(6人)の受賞者には、副賞として海外研修が贈られます。

海外での体験から学んだ多くのことを題材に 

「大切なのは、何かを作り出すような知識や技術を持つ人を育てること」と語る高橋麗さん(中学の部JICA理事長賞:秋田県・秋田大学教育文化学部附属中学校)

学生の部で、JICA理事長賞を受賞した髙橋麗さん(秋田県・秋田大学教育文化学部附属中学校)は、「私の手」と題したエッセイの中で、少年少女国連大使として、フィリピンのマニラにあるスラム街、スモーキーマウンテンを訪問した時のことを綴りました。

そこで出会った子どもたちとの経験から、本当に必要な支援は、その子たちに品物を与えることではなく、何かを作り出すような知識や技術を持つ人を育てることだと考えるようになったとのことです。エッセイの最後では、「手を差し出し、いつの日か世界の人々と手を取り合い、笑い合える私の手でありたい」と述べています。

受賞後、髙橋さんは、「『世界中のみんなで協力しよう』の『皆』は一人ひとり、つまり私のことであり、『協力』は他者に関心を持つこと、その他者に寄り添うことだと気が付くことができました」とコメントしています。

「動かなければ何も変わらない。その一歩には大きな可能性が秘められている」と語る大塚悠未さん(高校の部:JICA理事長賞:長野県・学校法人聖啓学園佐久長聖中学・高等学校)

高校生の部で、JICA理事長賞を受賞したのは、大塚悠未さん(長野県・学校法人聖啓学園佐久長聖中学・高等学校)です。大塚さんは「私を変えたその『一歩』〜私が変われば世界も変わる〜」と題し、学校で自らの企画で古本回収をしたこと、そして、ボランティアとしてカンボジアに行った時のことをエッセイにまとめました。これらの経験から、大塚さんは「後悔しないために、自分の成長のために、さあ! その一歩を踏み出そう」と、語りかけるように文章を結んでいます。

「私のエッセイが、かつての私のように、考えがあってもなかなか行動に移すことができない、そんな人たちの背中を押すことができたら、こんなにうれしいことはありません」と大塚さんは語りました。

よりよい世界の実現に向け、一歩ずつ進んでほしい  

中学生の部審査員長の尾木直樹さん

中学生の部の審査員長を務めた、教育評論家で法政大学名誉教授の尾木直樹さんは、「環境問題や貧困問題など多様な角度からみなさん独自の視点で書きあげられた作品は、どれもとても読み応えがあった」とした上で、「この行動力と提案力で多くの人を巻き込み、よりよい世界の実現に向けて一歩ずつ、歩を進めて行ってほしい」とコメントしました。

高校生の部審査員長の星野知子さん

また、高校生の部で審査員長を務めた、女優でエッセイストの星野知子さんは、「入賞作文はどれも完結していない面白さがある。ひとつのことに満足して終わることなく『次』に進もうとする勢いが作文に力を与える」と述べ、理事長賞を受賞した作品については、「誰かのためになりながら『自分の成長のため』次に何をしてくれるのかが楽しみ」との言葉を寄せました。