【ネットを通じて伝えるJICA最前線 その1】 就職戦線真っ只中 対面が難しいなら、ウェブ座談会で大展開!

2020年3月27日

「JICAは国の機関であり、もっと堅いイメージがあったが、質問しやすい雰囲気で魅力的だった」「ウェブサイトの職員紹介だけではわからない業務上の苦労やキャリアパスの展望などをざっくばらんに話してくれた」

就活生からの質問に本音で答えるなか、JICAで仕事をする職員の姿がみえてきます

新型コロナの影響で対面の座談会や面談は難しくなっていますが、ウェブ座談会であれば、就活生も、JICA職員も、どこからでも参加できます。就職戦線真っ盛りの今、ウェブを活用した取り組みを始める企業が増えているなか、JICAも組織が一体化して大々的なウェブ展開に踏み切きりました。対面ならではの緊張感を取り払い、JICAってどんな業務をやっているの? 仕事は大変?など、就活生からの質問にJICA職員が本音トークで答えています。

国際協力の仕事は、途上国の人々と肩を並べて一緒に取り組む、いわば「人」と「人」がつながって初めて成り立つ仕事です。どこでもどんな状況でも頭をひねって新しい取り組みを展開するJICAの「人財」が【ネットを通じて伝えるJICA最前線】を2回にわたり紹介します。第1回は、ウェブ座談会「JICAfe」の現場レポートです。

就活生向けウェブ座談会「JICAfe」を4月17日まで開催中

JICAに興味を持つ就活生向けに、例年実施しているJICA職員との座談会「JICAfe」。今年は3月9日から4月17日にかけて、ウェブ上で午前・午後の1日2回(1回約2時間)、合計26回(3月9日と30日は午後のみ)開催しています(注)。

東・中央アジア部の田中真理子職員は「担当しているタジキスタンとトルクメニスタンの課題って何ですかと聞かれたのが印象深く、国際協力に関心があっても馴染みのない人に中央アジアのニッチな国を知ってもらう良いきっかけにもなりました」と言います

JICAfeは例年、JICA本部(東京都千代田区)で行われ、就活生は1回の座談会で3名の年齢や経歴も異なる職員から代わる代わる話を聞くことができるスタイル。今年は新型コロナの影響で対面形式から、ウェブ版に挑戦しています。

どんな形式かというと、ウェブ上で設定された約10人の就活生が集まるグループに、3名の職員が順番に30分間ずつ訪問します。1回の座談会で5グループが設定されるので、1回あたりの参加者は約50名。つまり延べ約1300名の就活生がどこからでもJICAfeに参加することができます。

海外駐在時のエピソードや自分自身の就活経験を紹介

「JICA事業の中心は、東南アジアやアフリカ諸国のような印象があるかもしれませんが、中所得国や中進国、また紛争影響国に対する支援も、国の発展段階や課題に応じて行っています」と説明するアフリカ部の苗村職員

JICA本部の一室で、5人の職員がヘッドフォンを付け、パソコンに向かって自己紹介しながら質問を受け付けます。アフリカ部の苗村真喜子職員は、ルワンダの国づくりに関するさまざまなプロジェクトに携わるなか、「時には毎月のようにルワンダに出張しています」と仕事ぶりについて紹介しました。

「就活時代のJICAのイメージはどちらかというと『泥臭いかも』、『在外事務所での勤務は不安だな』と思っていました。でも、入構して自分が一番やりがいと喜びを感じたのが在外事務所での仕事。入構前は想像できていなかったです」と言う北松職員

「JICAは政府の人とやり取りすることが多いと思うが、村々で生活する人々の意見はどうやって聞き取るのですか?住民も、リーダー格くらいの人とは会えると思うが、本当の暮らしは見えないのでは?」と鋭い質問を受けたのは社会基盤部の北松祐香職員。現在は文化財保存や都市計画事業を担当しています。

そんな質問に、北松職員はネパール駐在時のエピソードを紹介。農業事業を担当している際、中央省庁の担当官と一緒に地域の農業事務所を訪問し、住民グループに話を聞き、農家に立ち寄って村の人の生の声を聞いたことで自信をもって業務に取り組めたと答えました。

土本職員は座談会が自分自身を振り返るきっかけになったと言います。「JICAを志した理由は座談会でも必ず聞かれる質問。採用面接以来、改めて口に出して誰かに伝える機会はあまりないので、今回、初心を思い出し、一歩引いた視点から冷静にキャリアを見つめ直す機会になりました」

国際協力人材部で外部人材向けの研修などを担当する土本周職員は、「面接のためにどんな準備が必要なのか心配している方が多かったです」と述べます。自分自身の採用面接時に「なぜJICAなのか、外務省や民間企業でもやりたいことは実現できるのでは?」と聞かれた自分自身の経験談を学生たちに語ります。

北海道から九州まで、遠くはイギリスからの参加者も

「イギリスからの参加者もいて、住んでいる場所を問わずに参加でき、学生にとって極めて大きなメリットがあると感じました。自宅から参加できるので移動時間も節約できます」と座談会後に感想を語るのは、在宅勤務しながら座談会に参加した総務課の今井裕明職員です。今回参加した5人の職員は口をそろえて「自分の就活時にもこんな座談会があれば…」と言います。

ウェブ座談会に参加した職員ら。全員口をそろえて「自分たちの就活時にもウェブ座談会やってほしかった」と言います。

就活生からも「少人数でのウェブ座談会をやっている企業はあまりなく、とても貴重な機会だった」「支度や移動に時間を取られず、聞きたいことを整理することに集中できた」との声も多くあがりました。その一方で、「当日話を聞く職員の方が実際にどんな業務をしているかなど事前にプロフィールを教えてもらえれば、より具体的な質問ができる」といった感想も寄せられました。

採用を担当する人事部の角田和之職員は、「ウェブ版の座談会は初めての取り組みで試行錯誤の連続ですが、効率よくJICAの職員と接し、JICAを知ってもらういい機会になっているので、ぜひ多くの方に参加してほしいです」と次回の座談会開催に向け奮闘中です。