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インドネシアと共にパレスチナの国づくりを支援

−パレスチナ向け起業支援セミナー開催−

2012年01月12日

2011年12月19〜22日、JICAは、ヨルダンのアンマンでパレスチナ向けの起業支援セミナー「インドネシアによるインキュベーション・ワークショップ」をインドネシア政府と共催した。

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起業支援セミナーは、インドネシアにとって国外で研修を行う初の試みともなった

日本政府は、2010年11月の菅直人首相(当時)とパレスチナ自治政府のサラーム・ファイヤード首相との首脳会談で、国家建設に向けた協力として、東アジア諸国と連携し研修員の受け入れや専門家派遣などを通じて、行政制度の整備や人材育成を支援する構想を提案している。この構想を実現するため、JICAは、2011年7月、パレスチナ自治政府高官のインドネシア訪問を支援。パレスチナを支援するには、イスラエルを経由して入国しなければならないが、インドネシアとイスラエルは国交がないため、JICAのような第三者の協力が必要だからだ。

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三角協力のイメージ図

パレスチナ自治政府高官のインドネシア訪問によって「中小企業振興」「農業」「保健」の3分野で日本とインドネシアが連携してパレスチナを支援する三角協力(注1)の実施が決定。今回のセミナーは、イスラム教というパレスチナと同じ社会・文化的背景を持つインドネシアの熱意によって実現した、三角協力によるパレスチナ支援の第1弾だ。

インドネシア人専門家による熱のこもった起業家育成支援

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インドネシア人専門家(左奥)と活発に意見を交換するパレスチナ人参加者

セミナーには、パレスチナ側から国民経済庁、工業団地を管轄するパレスチナ工業団地フリーゾーン庁、商工会議所、女性企業家支援団体、大学などに所属する17人が参加。インドネシアのボゴール農科大学教授ら12人のインドネシア人専門家が講師を務めた。

セミナーの内容は、アグリビジネスにおける技術革新や起業戦略などについての解説やプレゼンテーションなど。参加者からは、「パレスチナにはよいアイデアを持ちながら、それをビジネスにつなげられずにいる人がたくさんいる。そういった人たちをどのように支援して起業に結びつければよいか、実例を基に理解することができた。研修で得た知識を生かし、起業をより推進したい」「パレスチナの置かれている状況にはさまざまな障害があり、インキュベーター(注2)の理論をそのまま適用するのは難しい」といった声が寄せられた。

一方、インドネシア側からは「インドネシアでは極めて小規模なことから始めて、大きなビジネスチャンスにつながった事例もあり、今回の研修を通じて、そのような起業支援のノウハウを習得してもらえたと思う。(研修員から聞いた話では)パレスチナの状況はインドネシアとかなり異なっているということだが、まず、それを中東の地で理解する機会を持てたことがよかった」といった意見があった。

東アジア諸国の経済発展の経験をパレスチナと共有

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パレスチナは、もともと土壌が豊かで農業に適した土地が多い

現在、日本、パレスチナとの三角協力に合意している東アジアの国には、インドネシアのほかにマレーシアとシンガポールがある。インドネシアと同様、パレスチナ自治政府とマレーシアとの間でも具体的な協議が進んでおり、「国家開発計画」「国民経済」「農業(加工技術、マーケティング)」「財政」「汚職防止」の5分野での支援が検討されている。

東アジアと連携したパレスチナ支援は、驚異的な経済発展を遂げた東アジア諸国の経験をパレスチナと共有することにより、パレスチナの国づくりを支援することを目的としている。また、日本が長年実施してきたパレスチナ支援のリソースを東アジアと共有、拡大することにより、東アジア諸国のドナー化を促進するとともに、中東和平プロセスの進展に貢献するアクターの増加も期待される。

インドネシアとマレーシアは、パレスチナと同じくイスラム教徒が多数を占めており、その文化的土壌を生かした支援が期待される。今回のセミナーでも、参加者が「パレスチナの問題をインドネシアの人たちが理解しようとしてくれる姿勢に感謝したい」と述べており、東アジアのイスラム教国とのパートナーシップの深化に対する期待が示された。

JICAは、今後も東アジアの国々との連携をさらに深め、パレスチナの国づくりを支援していく。

(注1)先進国や国際機関と支援を行う途上国が連携し、支援を受ける途上国の発展・開発のための共通の案件目標を設定し実施する国際協力の形態。
(注2)資金調達や法律、マーケティングなどの面からベンチャー企業の起業を支援する組織。