日本、ブラジル、モザンビークで官民合同ミッション

−ナカラ回廊への農業投資促進を目指す−

2012年5月14日

リシンガの農場を視察する参加者たち。プロサバンナへの期待は大きい

4月16〜20日、日本、ブラジル、モザンビークの3ヵ国による官民合同ミッションが、モザンビークで実施された。JICAはモザンビーク北部の玄関口であるナカラ港から、マラウイ、ザンビアに至る「ナカラ回廊」の周辺地域で、2009年からブラジルと共に、「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱帯農業開発プログラム(ProSAVANA-JBM:プロサバンナ)」を展開し、モザンビークの熱帯サバンナ農業開発を支援しているが、今回の官民合同ミッションは、日本とブラジルの民間企業によるナカラ回廊への農業投資を促進することを主目的としている。

日本とブラジルの企業が自らの目で潜在力を確認

官民合同ミッションに参加したのは、日本からJICAアフリカ部の乾英二部長を団長に、民間企業8社と農林水産省、経済産業省、外務省の19人、ブラジルからはルイス・ニシモリ連邦下院議員を団長に農業生産者や農業機械メーカーなどの17人、モザンビークからは農業省など複数の省庁・機関の18人。さらに、サポートスタッフも含め約65人のミッションとなった。モザンビークの首都マプト、ナンプラ州、ニアッサ州を訪問し、農業試験場や農業生産活動などを視察するとともに、州知事、民間企業やアグリビジネス企業、農家などと積極的に意見交換を行った。 ナカラ回廊周辺地域には、日本の耕地面積の約3倍の1,400万ヘクタール以上の農業適地が存在しているとされており、スケールの大きな農業開発を通じ、地域経済の発展に寄与することが期待されている。開発に当たっては、民間からの農業投資を呼び込みながら大農と小農が適切な形で共存していくことが重要であるという考え方に基づき、モザンビーク政府としても民間投資の受け入れに非常に力を入れている。一方で、海外資本による収奪などが起こらないよう、地域住民に確実に役立つ持続可能な農業開発を行うことが不可欠であり、日本が掲げる責任ある農業投資の原則に基づく事業の実施が期待されている。

早期の農業開発実現へ期待

リシンガ郊外にある大豆畑。ブラジル人技術者が運営管理を行っている

今回の官民合同ミッションでの大きな収穫は、土壌、気候、水資源、植生などの要素が、農業投資を通じた地域開発を促す潜在力を持つと確認できたことだ。加えて、国を挙げての開発への意欲の高さやコミットメント、日本とブラジルが持つ経験・技術、アジア、ヨーロッパへのアクセスのよさ、豊富な労働力などについても確認するまたとない機会となった。 一方で、包括的な開発計画の欠如や、農業技術の普及制度、農民組織の整備の遅れ、また事業実施段階へ本格移行するためのコーディネーション力の強化やインフラ改善、人材育成の必要性が挙げられるなど、取り組むべき課題も明らかになった。こうした課題は、現在、プロサバンナで実施している「ナカラ回廊農業研究能力・技術移転能力向上プロジェクト」や、今後実施予定の「ナカラ回廊農業普及・実証調査能力向上プロジェクト(仮題)」などを通じて解決を目指す。

3ヵ国の官民の協働で相互利益を

参加した日本企業からは、「通常では参入が容易ではない大きなプログラムだが、いろいろな条件が揃っていて、すでにいくつかの決め手となる事業も実施されている。夢のあるプログラムだと思う。ぜひ成功させ、日本の底力を見せたい」という声が挙がった。また、ブラジルのニシモリ議員は、「このプログラムは、日本、モザンビーク、ブラジルの強いコミットメントにより、21世紀の最も素晴らしい開発事業になり得る。引き続き、3ヵ国で連携し、スピード感を持って取り組みたい」と意気込みを述べた。

報告会では活発に意見が交わされた

最終日の報告会では、日本とブラジルが合同で、モザンビークのアイレス・ボニファシオ・アリ首相に対し、官民合同ミッションの実施結果を報告。アリ首相は「このプログラムはモザンビーク政府として優先的に実施している事業であり、3ヵ国のWin-Win-Winの関係をつくれるよう努力を継続していきたい」と力強く語った。 今回のミッションへの参加を通じ、日本、ブラジル、モザンビークの関係者が同じ意識を持って役割分担をしながら開発に参加していくビジョンが共有された。ナカラ回廊地域農業開発への関心・注目がさらに高まる中、今後も3ヵ国の官民の協働で事業の推進が図られていく。