ごみ減量は市民、企業、行政の三位一体で 

−ベトナム・ホイアンでJICA、那覇市、サントリーが廃棄物ワークショップを開催−

2012年9月20日

ベトナム中部に位置するホイアン市は、旧市街地がユネスコ世界文化遺産に指定されるなど、ベトナムを代表する観光都市だ。しかし、急激な経済成長と都市化に伴い同市のごみは増加。2008年の1日当たり45トンから2010年には56トンと増え続けるごみに、埋め立て処理を行うカムハー最終処分場の容量は限界に近づいており、ごみの減量が喫緊の課題となっている。

那覇モデルでごみ減量に挑む

ホイアン市の代表的建物である「日本橋」。橋のかかる運河も生活排水で汚染されている

かつてホイアン市と同様のごみ問題を抱えていた、沖縄県那覇市。観光が主な産業であることや温暖な気候などの面でも、両者の共通点は多い。そこで那覇市と、同市で草の根でリサイクル運動を推進してきた沖縄リサイクル運動市民の会が、JICA沖縄と連携して草の根技術協力事業「固形廃棄物3R啓発活動推進プログラム(那覇モデル)の企画・運営」を、ホイアン市で実施。研修員の受け入れや、専門家の派遣を通じ、3R (Reduce:廃棄物発生抑制、Reuse:再使用、Recycle:再資源化)推進にかかわる人材育成を行ってきた。

ホイアン市のカムハー最終処分場。既に満杯の状態

2011年のプログラムの終了後、那覇市と沖縄リサイクル運動市民の会は、自身の経験から、行政と市民のさらなる協働が重要であり、市民自らがごみ減量の取り組みに参画するための基盤をつくり、市民リーダーを育てることが必要であると考えていた。そこで両者は、市民や企業を巻き込みながら、ごみ減量に向けた課題と解決策を検討し「ごみ減量計画」を策定することを目的に、2012年8月から、再びJICA沖縄と草の根技術協力事業「ホイアン・那覇モデルのごみ減量プロジェクト」を開始した。

12年間で27パーセントのごみ削減に成功した那覇市

8月25日、ホイアン市で「廃棄物管理ワークショップ−市民・企業・行政による協力−」が、ホイアン市、那覇市、JICA、サントリーホールディングス株式会社の共催により開かれ、ホイアン市民や同市の関係者90人余りが参加した。ワークショップでは、那覇市の翁長雄志(おなが・たけし)市長と、沖縄リサイクル運動市民の会の古我知浩(こがち・ひろし)代表から、市民、企業、行政の協働による那覇市のごみ減量への取り組みが紹介された。また、自社社員が環境保全分野の青年海外協力隊員としてホイアン市で活動するサントリーホールディングスから、自然との共生という企業理念のほか、3Rや水環境保全などに関する活動が紹介された。

基調講演で那覇市のごみ減量への取り組みを説明する翁長市長

「島嶼(しょ)県」である沖縄では、ごみ処理は特に深刻な問題だ。那覇市は、1998年に翁長市長が就任した当時、1年後には最終処分場が満杯になることが明らかだった。翁長市長は、「集めて燃やして埋める」というそれまでのごみ政策を見直し、まずは市民や事業者が、当事者としてごみ問題を自覚し、ごみを出さないライフサイクルを推進するべく、3R運動(注)やごみ袋の有料化、事業系ごみの手数料負担増、環境教育、マイバッグ運動などを推進。その結果、12年間でごみの排出量を27パーセント削減することに成功した。

ワークショップに参加していたホイアン市人民委員会のリ・ヴァン・ザン委員長が、ごみ減量による処理コスト削減やごみ袋有料化の取り組みに関心を示したほか、他の参加者からは「ホイアン市の4倍も人口があり、経済活動規模が大きい那覇市が、どのようにしてこんなにもごみが減らせたのか」「自分はホテル経営をしているが、持続可能な経営はどのようにしているのか」などの質問が寄せられた。

整備前の那覇市のごみ最終処分場(写真提供:那覇市)

翁長市長はこれらの質問に対し、「市長に就任後、ごみ問題に関して、自ら先頭に立って最終処分場でごみ分別の検査を行い、それをマスコミが取り上げたことで、市民とのごみ問題に関する危機意識の共有が図られ、市民の意識の向上に効果があった。加えて、古我知代表のように、ごみ減量を主張し、実践するNGOや市民リーダーの存在が大きかった」と答えた。また、「ごみ減量を行った結果、ごみ処理費用が年間3億円程度減り、教育などほかの事業に予算を振り分けることが可能になった。誰もが問題意識を持ち、ごみ減量を徹底すれば、他の行政施策にも好影響を与えることをすべての市民に理解してもらうことが重要」と締めくくった。

いつまでも美しくあるために

翁長市長(左から4人目)を囲んで(左端が阿部隊員、右から3人目が好田隊員)

このワークショップには、ホイアン市天然資源環境局に派遣されている青年海外協力隊員の好田(こうだ)果奈さんと阿部誠さんも運営スタッフとして参加した。阿部さんは、サントリーホールディングスから青年海外協力隊に参加している。

ホイアン市は、観光地としての人気が高く、街の代表的建築物の「日本橋」があることから、日本との関係も深い。ベトナム内外から多くの観光客が来訪し、「エコシティー」を掲げるホイアン市にとって、ごみの減量は重要課題。JICAは、ユネスコ世界文化遺産の首里城を有する那覇市との協働事業を通じ、いつまでも美しい街並みが保たれるよう、協力を続けていく。



(注)那覇市は現在、3Rに「Refuse; リフューズ=いらないものは断る」を加えた「4R」を市の環境政策として取り入れている。