日本ラグビー協会とがっちりスクラム

−ワールドカップ日本開催に向け、アジア諸国にJICAボランティアを派遣−

2013年7月19日

世界のラグビー競技人口は約550万人。トップは英国の約200万人で、日本は約12万人といわれている。アジアの人口は世界の6割を占めるが、ラグビー人口に占める割合は1割に過ぎず、2019年のアジア初となる日本でのラグビーワールドカップ大会(RWC)開催に向け、アジアラグビー全体の底上げが急務となっている。

アジアラグビーの底上げと各国の協力体制構築を目指す

5月11日に行われたHSBCアジアファイブネイションズ・ディビジョンIVの最終戦で奮闘するラオス・ナショナルチーム

これを受け、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(JRFU)とJICAが連携し、ラグビーを職種とするボランティアを派遣する「JICA−JRFUスクラムプロジェクト」を立ち上げた。7月12日には、JICA本部(東京都千代田区)で連携合意書署名式を行い、スリランカとラオスにラグビー指導者として派遣されていた、青年海外協力隊員3人の帰国報告会も開催した。

JRFUは、アジアラグビーへの貢献活動として2012年1月から「アジアンスクラムプロジェクト」を開始した。このプロジェクトでは、2019年RWC開催国としての理念「アジアのためのワールドカップ」を実現するため、また、アジアのラグビーの普及発展のために、指導者派遣や練習用具の寄付、ユースや女子チームとの交流などを実施している。

その一環として、2013年3月から青年海外協力隊員としてラグビー指導者3人をスリランカとラオスに派遣。さらに、JICAとJRFUのさらなる連携を促進するため「JICA−JRFUスクラムプロジェクト」を立ち上げた。今後、アジア諸国にラグビーを職種とする青年海外協力隊員やシニア海外ボランティアを派遣し、対象国のラグビー競技の発展を目的に、地域レベルでの青少年を対象にした普及活動や、クラブチーム、ナショナルチームなどの競技能力向上に向けた技術指導、また、現地のコーチやスタッフに対する指導者育成活動などを行う。

共同作業による新たな交流の形に期待

「JICAとの連携は非常に心強い」と語る徳増事務局長

帰国報告会の冒頭、あいさつに立ったRWC2019組織委員会の徳増浩司事務局長は、JICAとの連携について「RWCに向けた私たちのビジョン『ラグビーワールドカップ2019大会ビジョン−成功に導くための4つの柱−』の中で、アジア地域でのラグビー普及とレベルアップを図るものとして、『アジアにおけるグローバルスポーツの発展に貢献しよう』とうたっています。このビジョンを掲げたRWCの6年後の開催を控え、JICAと共同作業ができることを非常に心強く思っています。これから実績を挙げることでアジアの力も上がり、また、世界各地の人が日本にRWCを観戦に来ることで、さまざまな形の交流が始まると思います」と語った。

JICAボランティアとして派遣された白馬さん、高濱さん、古川さん(左から)

これに続いて、スリランカで中高生に対する普及活動や経験者に対する強化指導などを行った白馬悠(はくば・ゆう)さん(茨城県出身)が報告を行った。「『また来てほしい』と現地の人に言われたことで、国際貢献への意識がより高まりました。さらに自己を成長させ、今後も国際貢献活動に取り組みたい」と抱負を語った。同じくスリランカに派遣された古川新一さん(静岡県出身)の活動内容は、20歳以下の選手とコーチへのラグビー指導。日本人ならではの「心・技・体」を柱に指導した結果、選手の練習に対する姿勢も変わり、20歳以下のスリランカ学校対抗ラグビーリーグで、チームの順位を9位から4位へと導く成果を出した。

また、ラオスに派遣された高濱丈輔(たかはま・じょうすけ)さん(京都府出身)は、ラグビーラオス代表選手の強化などを行った。JRFUの「アジアンスクラムプロジェクト」で、マレーシアやインドでのラグビー普及と強化を行ってきた高濱さんは、今回の派遣であらめてスポーツを通した国際協力の意義を感じたという。今後も継続的な国際協力をしていきたいと、決意を述べた。

【画像】

指導したラオス・ナショナルチームのメンバーと(中央黒いシャツが高濱さん)

JRFUとJICAがスクラムを組んで貢献活動を

「日本の若者たちから、アジアにラグビーの精神や神髄などを伝えてほしい」と語る矢部専務理事

報告会の後には、連携合意書署名式が行われ、矢部達三JRFU専務理事と武下悌治JICA青年海外協力隊事務局長が合意書に署名。合意書を交換し、固い握手を交わした。

矢部専務理事は「JICAの使命である『スポーツを通じての国際貢献』と、JRFUの意図する『ラグビーを通じての国際貢献』が合致し、アジアにおけるラグビー指導のリーダーシップをとるという目標に、JICAから大きな支援をいただけることに感謝します」と述べ、「この素晴らしい連携の継続的な実施が最も大切であることが3人の発表でも確認できました。これからも密に連携しながら、JRFUとJICAが一体となってアジアへの貢献を進展させたい」と今後について語った。

署名後に握手を交わす、矢部専務理事(左)と武下事務局長

武下事務局長は、今年4月、開発途上国での野球・ソフトボールの普及にJICAボランティアが貢献したとして、JICAが国際野球連盟から表彰を受けたことを挙げ、「数年後、数十年後には『ラグビーでのJICAボランティアの貢献』が伝えられるように、この連携の進展を願っています。それが今回の署名の『夢』の一つです」と、プロジェクトへの展望を語り、「オリンピックをはじめ、WBCなどでもコーチやトレーナーとして活躍するJICAボランティアがいるように、ラグビーでも世界に通用するコーチや監督を育てるきっかけの一つになってほしいと思っています」と締めくくった。