言語圏を超えた壮大な域内統合へ(ブルキナファソ)

−西アフリカ税関協力ハイレベル会合開催−

2013年7月26日

「年々巧妙になる不正な取り引きを取り締まるにはどうしたらいいのか」「西アフリカ地域の貿易を円滑にし、経済統合を促進するためには、国境管理能力をどのように強化したらいいのか」。6月11日、ブルキナファソの首都ワガドゥグで開かれた西アフリカ税関協力会合では、西アフリカ各国が抱える税関行政の共通の課題、そして近代化について熱い議論が交わされた。

西アフリカの税関行政ネットワークを構築

ワガドゥグ市内アザライホテルでのオープニングには100人以上が集まった

西アフリカ税関協力会合は、JICA、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)(注1)、日本の財務省関税局の三者が共催。UEMOAの加盟8ヵ国 (ギニアビサウ、コートジボワール、セネガル、トーゴ、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン、マリ) と西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)(注2)加盟国のガーナ、ナイジェリアの関税局代表のほか、世界税関機構(WCO)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、アフリカ開発銀行(AfDB)など国際機関の関係者が参加した。

税関行政にかかわる各国のキーパーソンが一堂に会してのハイレベルな会合は、西アフリカでは過去にあまり例がない。UEMOA各国はいずれもフランス語圏で通貨も共通であるのに対し、ガーナやナイジェリアは英語圏で通貨も異なるため、共通の経済圏としての意識が希薄だったせいもある。しかし、言語圏を超えて西アフリカの域内経済統合を推進すべきという声は域内で高まっており、UEMOAとECOWASの協調も進んでいる。UEMOA地域市場・通商・協調・協力局(DMRC)のクリストフ=ジョゼフ=マリー・ダビレ担当理事は、「今回、UEMOA加盟各国だけでなくECOWASからも出席し、税関をテーマにした議論をしたことは非常に意義深い」と述べる。

会合の開催に当たっては、ブルキナファソ経済財政省関税総局から人員と資金の協力もあった。ブルキナファソは世界最貧国の一つだが、開催地のワガドゥグがUEMOA本部の所在地で、西アフリカの経済統合の実現に向けた政策とアクションの発信地でもあることから、「わが国に域内経済を司る重要な税関関係者が集まるのであれば、しっかりとおもてなしをしなくてはならない」と申し出てくれた。

アフリカ域内の貿易円滑化を支援

アフリカ大陸は、世界で最も経済統合が遅れており、世界貿易に占める割合はわずか3パーセント、域内貿易はアフリカ全貿易量の12パーセントにすぎない。貿易の促進が持続的な経済成長の鍵を握るといわれる中で、運輸インフラの整備と域内貿易の円滑化は喫緊の課題となっている。そうした中、JICAは2007年からアフリカ地域の税関分野の支援を実施。第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で採択された「横浜行動計画」に基づき、まずは東部・南部アフリカ地域の広域運輸インフラの整備と貿易の円滑化に取り組んできた。

ケニア−タンザニア間のナマンガ国境。域内と北のエチオピア、南のマラウイを結ぶ

取り組みの一つが、国境での輸出入手続きを効率的に行うワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)(注3)の導入だ。JICAはこの取り組みを推進するため、国境施設や機材の整備、法的枠組みや手続きの近代化、税関職員や通関業者の能力向上など、ハードとソフトの両面で支援を展開。東部アフリカ共同体5ヵ国では、ケニア−タンザニア間のナマンガ国境(注4)とタンザニア−ルワンダ間のルスモ国境(注5)でOSBP施設の建設とOSBPを推進するための技術協力を、南部アフリカ地域では、ボツワナ−ナミビア間のマムノ・トランスカラハリ国境で、OSBP化を目指す技術協力を進めている。

東部・南部の経験を西アフリカに生かす

さらに、東部・南部アフリカでの実績や経験を西アフリカ地域の貿易の効率化に生かすため、JICAは西アフリカ地域でも同様の支援を開始した。その第一歩が、冒頭の会合だ。

宮川専門家によるプレゼンテーション

税関政策アドバイザーとして、2012年10月からUEMOA・DMRCに赴任しているJICAの宮川裕之専門家(青森県出身)は、会合のプレゼンテーションの中で、「われわれの任務は税関行政の近代化、税関職員の能力強化、そしてUEMOA域内の税関手続きの改善に大きく貢献すること」と述べ、「UEMOA加盟国のみならず、西アフリカ全域が抱える共通課題を認識し、共同で取り組むことが重要」と提言した。

フランス語圏と英語圏、異なる言語圏の国々と協調し、西アフリカ全体の貿易の円滑化をどのように進めていくか。今回の会合を弾みに、JICAはUEMOAでの活動を加速化させていく。



(注1)コートジボワール、ニジェール、ブルキナファソ、マリなど8ヵ国が加盟。統一通貨は西アフリカ諸国中央銀行が発行するCFAフラン。
(注2)ガーナ、ナイジェリアなど西アフリカの15ヵ国が参加する地域経済協力機関。UEMOA各国も参加。
(注3)通常は国境で輸出側と輸入側の計2回行う輸出入手続きを、1回(ワン・ストップ)にすることで、国境手続きの円滑化・効率化を図り、物流の促進に貢献する取り組み。
(注4)アルーシャ・ナマンガ・アティ川間道路改良計画(有償資金協力)
(注5)ルスモ国際橋及び国境手続円滑化施設整備計画(無償資金協力)