アフリカ開発会議から1年、OSBPを通じた支援を報告(カメルーン)

−「TICAD V第1回閣僚会合」でサイドイベントを開催−

2014年6月4日

2013年6月1〜3日、神奈川県横浜市に、アフリカ各国政府、日本政府、先進国、アジア諸国、国際機関、地域機関、民間セクター、市民社会などから約4,500人が集まり、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催された。安倍晋三首相は記者会見で、「21世紀半ばにかけ、アフリカは間違いなく成長の中心になる。今投資しないで、いつ投資するのか」と述べ、2017年を目標年とする『横浜宣言2013』および『横浜行動計画2013-2017』(注)を採択して会議は閉幕した。

1年の時を経て

第1回閣僚会合では、57の国・機関から、617に上る取り組みが提案された

それから1年。その熱気は今もなお、日本で、そしてアフリカで燃え盛っている。5月4〜5日、カメルーンで開催された「TICAD V第1回閣僚会合」には、約800人の関係者が集まり、TICAD Vの熱気と合意をどのように具体的な行動に移していくか、再び熱い議論を交わした。57の国・機関から、617に上る取り組みが提案され、2017年の目標年に向けて着実に実施していくことで合意した 。

この1年、JICAはTICAD Vで交わされた約束を着実に実行してきた。TICAD Vで安倍首相が発表した「ABE (Africa Business Education) イニシアチブ」は、2017年までに1,000人のアフリカ人留学生を日本に受け入れるとともに、民間企業でのインターンシップを通じて、日本とアフリカのビジネスパートナーシップの懸け橋となる人材を育成するプログラムだ。第1回目の募集では、150人の受け入れ目標に対し、8ヵ国から675人の応募があり、日本全国の58大学114研究科が受け入れに名乗りを上げるなど、順調なスタートを切っている。TICAD Vの熱気は、アフリカの若者たちと日本国内の大学にも確実に伝わっていた。

アフリカ諸国をリードするOSBPの取り組み

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左から、JICAの加藤理事、内藤康司アフリカ部審議役、NEPADのジョン・タンビ氏、AfDBのジャンヴィエ・ケー・リッツェ氏、EACのフィリップ・ワンブグ氏、ケニア歳入庁のカマウ・ヴェルナード・ンガンガ氏、TMEAのテオ・リモ氏、UEMOAのアブバカール・ノマオ氏、神津健専門家、藤光基裕専門家、徳織智美専門家

JICA主催のサイドイベントには250人の参加者が集まった

JICAは、道路や港湾などのハードインフラの支援とともに、インフラの効率的な運用に関するソフト面の支援も行っている。その代表例がワンストップ・ボーダーポスト(One Stop Border Post: OSBP)だ。閣僚会合の前日、JICAは、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)、アフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)、アフリカ開発銀行(AfDB)との共催で、OSBPへの取り組みを紹介するイベントを開催し、ベナンのナシル・バコ・アリファリ外務大臣など4人の閣僚を含む250人の参加者が集まった。JICAは、加藤宏理事がモデレーターを務めるとともに、アフリカ・インフラ・コンソーシアム、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)に派遣中のJICA専門家3人が、OSBPの取り組みについて説明を行った。

アフリカは多くの国に分かれているが、トラックや貨物列車が国境を越えるたびに、出入国審査、税関、検疫などの手続きを、出国側と入国側で2回行う(Two Stop)ことが一般的だった。それぞれの国の職員が、異なる書式・基準に基づいてそれぞれの職場で手続きを行うため、国境を越えるのに2〜3日要することも多く、非効率的だった。いくらお金をかけて国と国をつなぐ道路をきれいに舗装しても、途中で2〜3日も足止めされては、クロスボーダー・インフラ整備の効果は十分に発揮できなくなってしまう。

とてつもなく大きなインパクト

ルワンダとタンザニアの国境で渋滞するトラックの列(写真:久野武志)

OSBPは、これらの手続きを共通の書式・基準・手続きに集約し、IT化の助けも借りて1ヵ所で行い、国境通過手続きの抜本的な合理化・迅速化を図ろうとするものだ。実施に際しては、施設建設、法整備、職員研修など、広い範囲で見直しや改善の積み重ねが必要であり、地道だが複雑で解決すべき課題が山積している。しかし、既にOSBPが設けられたケニア−ウガンダ国境を例にとると、平均で2〜3日かかっていたトラックの国境通過手続きが、わずか2〜3時間に短縮され、年間7,000万ドルもの輸送コストの削減効果が報告されている。さらに、輸送や貿易の増加も加えれば、OSBPの経済的なインパクトはとてつもなく大きい。JICAの取り組みに対するイベント参加者の関心は非常に高く、期待の高さをひしひしと感じるものとなった。

JICAは、OSBPをはじめとする、現場重視の取り組みを通じ、インフラ整備、人材育成、民間連携、農業、教育、保健、環境、防災、平和構築、復興支援など、アフリカ開発のあらゆる局面で、現場のニーズに応え真にアフリカの利益になる支援を目指して、1993年の第1回からこれまでTICADでの約束を着実に形あるものにしてきた。そのことが、TICAD Vの成功と、アフリカでの日本への信頼と期待につながっている。


(注)2017年まで5年間のアフリカ開発の方向性として、「強固で持続的な経済成長」「包摂的で強靭(じん)な社会開発」「平和と安定」の3本柱の下、(1)民間セクター主導の成長、(2)成長基盤整備の加速化、(3)農業従事者のエンパワメント、(4)持続可能かつ強靭な成長の促進、(5)万人が成長の恩恵を受ける社会開発、(6)平和と安定、グッドガバナンスの定着の六つの戦略的取り組み課題が掲げられた。