天皇皇后両陛下が帰国したシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアにご接見

2014年6月19日

前列左から小柳さん、山本さん、田中理事長、本多さん、後列左から小川登志夫JICA青年海外協力隊事務局長、近藤さん、井澤さん、柏木さん

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国したシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの代表6人が5月27日、皇居で天皇皇后両陛下にご接見を賜った。

両陛下にお目にかかったのはアジア、中東、アフリカ、中南米の国々に派遣されていたシニア海外ボランティア5人と日系社会シニア・ボランティア1人。

ご接見に先立ち6人は、JICA本部で田中明彦理事長と面談し、現地での活動を一人ひとり報告した。

廃棄物処分場で同僚と調査を行う柏木さん(右)

【廃棄物処分場の地滑り対策を提案】

柏木昭雄さん(69歳、埼玉県出身)は、ブータンの首都ティンプー市の市役所環境部廃棄物課に配属され、ブータン式3R(Reduce、Reuse、Recycle)活動の定着を目指した。また廃棄物処分場の地滑り対策や、日本のNGOなど複数の外部組織と連携して処分場改善を提案するなど幅広い活動を行った。

開発演習成果を発表する、井澤さんが指導した生徒たち

【即戦力IT技術者の育成】

井澤孝次さん(65歳、奈良県出身)は、ネパールの技術専門学校ITコースで、産業界が求める即戦力技術者の育成に向け、アプリケーション開発演習による実践的教育の強化に当たった。また政府機関やIT企業との関係構築を積極的に行い、IT企業での採用を前提としたインターンシップ開拓にも実績を上げた。

用具がなくてもできるストレッチ体操を教える本多さん

【体育教育で協調性を養う】

本多須美子さん(長崎県出身)は、ヨルダンのパレスチナ難民局に配属され、国連パレスチナ難民救済機構(UNRWA)が運営する小中学校で体育を教え、生徒の協調性を養うことを目指した指導内容への変革に取り組んだ。周辺学校での体育の巡回授業のほか、UNRWAの学校で体育指導の中心的役割を果たした。

巡回先の学校で校長や子どもたちと(中央右が山本さん)

【情操教育の理解を促進】

山本文子さん(64歳、神奈川県出身)は、カメルーンの初等教育省の県事務所に配属され、情操教育(図工、音楽、体育)の理解促進に取り組んだ。毎週15校を回り、具体的な授業手法を紹介したほか、教員対象のセミナーやワークショップも開いた。巡回先の学校が合同で開催した運動会やセミナーは現地テレビでも放映された。

保護して成長したヒナの初泳ぎを試みる近藤さん

【ペンギンの人工孵化を指導】

近藤鉄也さん(46歳、愛知県出身)は、チリの首都サンティアゴにあるメトロポリタン動物園で絶滅の危機に瀕(ひん)しているフンボルトペンギンの飼育と人工孵(ふ)化指導を行った。基本的な飼育方法を指導したほか、特別保護区で産卵の調査などを行った。親鳥が放棄した卵を保護し動物園で孵化させたヒナ6羽は、現在も動物園で飼育されており、今後の繁殖が期待される。

日系高齢者へ健康講話の後、体操を指導する小柳さん

【日系高齢者の健康維持に貢献】

小柳清美さん(61歳、兵庫県出身)は、ドミニカ共和国への高齢者福祉分野の初代ボランティアとして首都サントドミンゴの日系人協会に派遣された。日系社会における高齢者対策の方向性を示し、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」(注)で建設された高齢者福祉施設の効果的な活用について提案を行うなど日系高齢者の健康維持に貢献した。

ご接見後、JICA本部で報告会が行われ、6人は「両陛下は各国の事情に精通され、幅広い分野の知識をお持ちだった」「活動や生活の様子などに関心を寄せてくださり光栄だった」などと感想を述べた。

現在は、それぞれの地元に戻り、ボランティア経験を後進の育成に生かしている人、勤務先の職員向け新聞にボランティアに関する記事を定期的に投稿している人がいるほか、あらたに途上国でのボランティア活動を考えているとの声もあり、充実した2年間の活動がうかがえた。

(注)外務省が1989年に導入した制度。途上国の地方公共団体や教育・医療機関、途上国で活動するNGOなどが現地で実施する比較的小規模なプロジェクトに対して資金協力を行うもの。