各国で築いた絆が世界との懸け橋に

−帰国したボランティアへの外務大臣感謝状授与式−

2014年6月30日

2年間の任期を終えて帰国したJICAボランティア(注)94人への外務大臣感謝状授与式が6月25日、JICA市ヶ谷ビル(東京都新宿区)で行われ、木原誠二外務大臣政務官より外務大臣感謝状が授与された。

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JICAボランティアはそれぞれの派遣国の衣装などを身に付け、授与式に臨んだ

式には「日本の国際協力−特に青年海外協力隊の活動−を支援する国会議員の会(JICA議連)」の三原朝彦衆議院議員(幹事長)、船田元(はじめ)衆議院議員、櫻田義孝衆議院議員、谷公一衆議院議員、平口洋衆議院議員、牧山ひろえ参議院議員、菅野さちこ衆議院議員、黄川田仁志衆議院議員、桜井宏衆議院議員、國場幸之助衆議院議員のほか、今津寛衆議院議員の秘書が来賓として出席した。また、帰国ボランティアの所属先企業の富士通株式会社、特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会、JICAボランティア事業を支援する株式会社アンジェロセック、NTCインターナショナル株式会社、ヤマト運輸株式会社の代表者も参列した。

現場で流した汗が「顔の見える外交」につながった

「多くの国々からの信頼と友情は皆さんの汗が築いてきたもの」と語る木原政務官

冒頭、あいさつに立った木原政務官は、JICAボランティアの労をねぎらった後、先月カメルーンで開かれた「TICAD V閣僚会議」で多くの国からJICAボランティアへの感謝が伝えられたことを紹介。「顔の見える外交」として国内外から高い評価を得ていることに謝意を示した。また、今年は日本のODAが開始されてから60年という節目の年であることから、国際環境や時流の変化を取り入れたODA大綱の見直しが行われているが、そうした変化の中でも決して変わらないものがあると強調。「皆さん一人ひとりが現場で流した汗である『現場力』を、私たちも大切にしていきたい」と述べ、「今後は、それぞれの立場でJICAボランティア経験を存分に生かし、活躍してほしい」と激励した後、一人ひとりに感謝状を手渡した。

JICAボランティアとしての活動はこれからも続く

「支えてくれた多くの人たちへの感謝の気持ちでいっぱいです」と梅津さん

続いて、JICAボランティアを代表して、ウズベキスタンの柔道連盟で柔道の指導を行った梅津哲也さん(宮城県出身)があいさつをした。心の面の教育を重視し、日本の指導法を押しつけるのではなく、現地の柔道の長所を認めた上で指導することで、梅津さんは同僚や学生から厚い信頼を得た。派遣されていた2年の間には、言葉の壁や文化の違いに戸惑い、活動がうまくいかなかったこともあったが、「家族や友人、日本からエールを送ってくれた人たち、青年海外協力隊の仲間、何より現地の人の支えがあり、活動を無事終えることができました」と感謝の気持ちを表した。そして、「青年海外協力隊の活動はこれで終わりではありません。国内への還元はもちろん、グローバル社会の今こそ、活動を通じてできた絆を大切にし、世界との懸け橋になりたい」と今後の抱負を述べた。

「気づき」という最高の経験

「皆さんの活動や心意気をぜひ多くの人に伝えてほしい」と話す船田議員(上)と、帰国隊員たちを激励する谷議員(下)

授与式に続いて行われた懇談会の冒頭では、長年JICAボランティア事業を支えてきた船田議員があいさつ。「今日ここで皆さんの明るい笑顔と輝く目を見て、充実した活動をされたのだと実感しました。日本は内向き思考だといわれて久しいですが、わが国は世界にもっと貢献できる力と能力を持っています。皆さんがその先兵だと思います。これからも国際協力や各国との友好のために、皆さん自身がそれぞれ大使としてがんばってほしい」と激励した。

また、復興庁副大臣の谷議員は、「現在、復興庁の職員として東北3県の20を超える自治体で約80人のJICAボランティア経験者が活躍していますが、経験者らは粘り強く、謙虚で礼儀正しいという、地元からのたくさんの称賛の声を聞いています。われこそはと思う方はぜひ力を貸していただきたい」と伝えた。

「日本では簡単なことも、マラウイでは青息吐息だった」と報告する藤澤さん

続いて、マラウイの国営放送局に配属された藤澤佑介さん(山口県出身)が活動を報告。藤澤さんは人材育成を目指し、番組制作や放送に関する指導と並行して、同国の社会問題を扱う番組を制作し、放送を通じた啓発活動にも取り組んだ。赴任当初は、放送倫理などに関する意見の違いから同僚と衝突することも多かったが、その原因は「無意識に『私が教える側の立場』と傲慢(ごうまん)な考えを持っていたこと」にあったという。しかし、向上心の高い上司と宗教観や人生観を議論する中で、「学ばせてもらっているのは私だ」と気づいた。また、限られた設備で工夫をこらし、いつも笑って前に進もうとする同僚といると、「これまで自分の力で成し遂げたと思っていたことは、誰かが作った設備や技術のおかげだった」ということにも気づいた。自分の思い上がりを恥じる藤澤さんを、同僚は笑って受け入れてくれたという。

藤澤さんはJICAボランティア経験をぜいたくな2年間だったと振り返り、「これで完結させることなく、引き続き国際社会でこの経験を磨いていきたい」と決意を語った。

日系社会は日本の財産

飯塚さんは「関係者の皆さんの支援のおかげで達成感のある活動ができた」と語った

活動報告の二人目は、日系社会青年ボランティアとして、アルゼンチンの日系人団体で青少年活動を行った飯塚美穂さん(群馬県出身)。現在、アルゼンチンには3万人以上の規模の日系社会があり、各地に日本人会や日本語学校がある。飯塚さんは、それらの学校約20校を巡回し、子どもたちの情操教育支援や日本文化紹介などを行った。現地の人とJICAボランティアが一丸となって取り組んだ「2020年東京五輪招致応援」では、絵画コンテストを催し日本文化を紹介。多くの関係者の支援があってそれらの活動ができたことへの感謝を述べた。

活動を通して、私たち日本人が思っている以上に、中南米の日系社会は日本への思いを強く抱いていることを感じ、日系社会は日本の非常に大きな財産と再認識したという飯島さん。「これからも日系社会を応援していきたい」と、報告を締めくくった。

活動報告の後の懇談の際には、国会議員や外務省関係者がJICAボランティアの活動や現地での生活の話に耳を傾け、またボランティアも国会議員の国外での活動を尋ねるなど、会場は和やかな雰囲気に包まれた。


(注)これまで、延べ3万8,987人の青年海外協力隊員が88ヵ国に、延べ5,416人のシニア海外ボランティアが72ヵ国に、延べ1,162人の日系社会青年ボランティアが9ヵ国に、延べ442人の日系社会シニア・ボランティアが10ヵ国に派遣された。現在も2,177人が80ヵ国で活動している(2014年5月31日現在)。