皇太子殿下が帰国した青年海外協力隊員にご接見

2014年9月22日

皇太子殿下にご接見を賜る青年協力隊員

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国した青年海外協力隊員の代表8人が7月11日、東宮御所で皇太子殿下にご接見を賜った。

殿下にお目にかかったのはアジア、大洋州、中東、アフリカ、中南米の国々に派遣されていた青年海外協力隊員8人。

ご接見に先立ち8人は、JICA本部で小川登志夫JICA青年海外協力隊事務局長と歓談し、現地での活動を一人ひとり報告した。

【画像】

前列から東郷さん、藤沼さん、赤塚さん、井上さん、後列左から藤井さん、熊谷さん、小川事務局長、河野さん、新美さん

医療キャラバンで病院スタッフに実演を交えて感染管理の講義をする井上さん(左)

【疾病予防と健康増進を目的に巡回指導】
井上守江さん(32歳、茨城県出身)は、ウズベキスタンのヌクス市の保健局に配属にされ、疾病予防と健康増進を目的に同僚スタッフと共に各地を巡回し、地域住民に対する啓発活動を行った。リーフレットの作成、他地域で活動する医療系協力隊員と連携し各地を巡回しながら衛生指導を行う「医療キャラバン」の立ち上げにも指導的役割を果たした。

配属先の訓練生に「児童中心の授業」のワークショップを行う赤塚さん

【児童中心の授業を目指し活動】
赤塚梢さん(35歳、岐阜県出身)は、バングラデシュの西部、ジョソール県にある教員を育成する初等教育訓練機関に派遣され、子どもの理解を優先した「児童中心の授業」を目指し、同僚のインストラクターや訓練生に対し授業法を指導。協力隊員が派遣されていない初等教員訓練機関への巡回指導を実施したほか、協力隊員の立場から教育政策への提言も行った。

魚の習性を利用し沿岸部に魚が集まりやすくするために造った施設「浮き漁礁」の上で作業する藤井さん(中央赤い帽子)

【漁業協同組合を設立】
藤井裕士さん(29歳、京都府出身)は、パプアニューギニアの漁業水産資源局で漁業協同組合を設立し、漁獲高の向上や販売促進を目指し活動を行った。冷凍設備を修理し、漁師から適正価格で魚を買い付け、加工から卸まで中間流通を発展させるという活動成果を残した。また、市場価格の高い海産物にシフトするなど、関係者の意識向上に寄与した。

日本語を学ぶペルー人学生の通訳で、現地小学生と日本人学生が交流しながら、学校に飾る看板を作成(後列中央左寄りに熊谷さん)

【座学以外の学びの場を設ける】
熊谷雄さん(37歳、北海道出身)は、ペルー日系人協会クスコ支部に配属され、同協会が運営する日本語学校で、学生の指導や日本語教師の育成に当たった。学校の運営管理や広報支援など多岐にわたって活躍し、日本語の観光ガイドの育成や、座学以外の学びの場を積極的に設けた結果、学習者の増加、日本語教育の推進に貢献した。

市場調査を行ったビーズ職人の村で。前方にあるのがビーズの原料となるガラスの入った袋(左端が東郷さん)

【自立支援NGOの職場環境整備に貢献】
東郷知沙さん(30歳、大阪府出身)は、ガーナの女性の自立支援を目的に設立されたNGOに派遣され、ガラスビーズを使用したアクセサリーの生産と品質管理の向上に取り組んだ。受注、生産管理方法を見直し、ロスやミスの軽減、さらに倉庫に放置された機材を修理し生産工程を自前で賄えるようにするなど、職場環境の整備に貢献した。

情報通信技術・郵便・クーリエサービス省事務次官(右)と握手を交わす新美さん

【情報セキュリティの強化】
新美融(にいみ・とおる)さん(33歳、愛知県出身)は、ジンバブエの首都ハラレの情報通信技術・郵便・クーリエサービス省で情報セキュリティポリシーや事業継続計画の策定、IT監査などを行った。また、個人情報保護法などの法整備やサイバー攻撃に対する国防方針の検討にも加わり、配属先のみならずジンバブエ全土に裨(ひ)益する活動を行い、高い評価を得た。

ナイルティラピア親魚の選別や受精卵の取り出し作業を指導(中央が藤沼さん)

【水産教育訓練校で自助努力を引き出す活動】
藤沼浄子(きよこ)さん(29歳、茨城県出身)は、タンザニアの水産教育訓練校で授業と実習を中心に活動した。自ら提案した「アンドロジェンホルモンを利用したティラピア全雄集団の作成」実験の成功が認められ、費用すべてを配属先が負担するなど、タンザニア側の自助努力をうまく引き出し活動を展開。卒業生が養殖の現場で実験を再現し収入改善につながるなど、直接的な成果に結びついている。

スポーツイベントに他校の体育教員を招待し、リレーのバトンパスを実演する河野さん(バトンを受け取った側)

【体育授業の運営・指導法の質的向上に貢献】
河野惇史さん(26歳、埼玉県出身)は、ヨルダンのパレスチナ難民居住地区の中学校に配属され、生徒の体力増進や運動能力の向上につながるように、大縄跳びやリレー、攻守混合型の独自のボールゲームなど、多種目の運動を導入した。同僚教師や他の体育隊員と協力し、複数校の生徒が参加する合同体育大会などの開催を通じ体育授業の運営、指導法などの質的向上にも貢献した。

ご接見後、JICA本部で事務局長を含め行った歓談の際には、「殿下は報告者の目を見て熱心に話を聞いてくださった。活動の内容にも興味を持って聞いてくださり、国の事情や産物にもお詳しく驚いた」「子どもに関する話を非常に興味を持って聞いてくださった」などと感想を述べた。

帰国後もボランティア調整員として再度派遣が決定している人、大学院に進学し、教員免許の取得中と研鑽(さん)を続けている人もおり、2年間の活動の成果を新しいステップにつなげていく様子がうかがわれた。