海外投融資の本格再開

−途上国で事業を実施する企業への資金協力を通じて、途上国と日本の発展に貢献−

2013年2月15日

2013年1月30日、海外投融資の本格再開後、初のインフラ案件に対する融資承諾が実現した。海外投融資は、ODAの支援スキームの一つだが、開発途上国の政府ではなく、現地で事業を実施する民間企業等に出資または融資(低利、長期)を行うことで開発途上国の発展をサポートするのが特徴だ。

海外投融資とは?

ODAのスキームのうち、円借款(注1)や無償資金協力(注2)は、開発途上国政府向けの資金提供である。一方、今回、再開した「海外投融資」は、途上国の民間セクターの活動に直接資金を提供することで活性化させ、その国の経済・社会発展を促すものだ。

一言でいうならば、開発途上国で事業を実施する企業等に資金を提供するスキームだ。日本企業に限らず、現地の企業等が実施する事業に対する出資や融資も可能だ。民間の金融機関ではなかなか融資できない地域や国のプロジェクトであっても、JICAがリスクを取りつつ支援を行うことで、開発途上国の事業を実現可能にする。

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海外投融資と円借款の概要比較

本格再開に至る経緯は?

海外投融資による支援は、1970年代にさかのぼる。日本は海外投融資により1970年代には資源開発案件などの途上国の大型プロジェクトを数多く手掛け、途上国の開発と日本企業の海外展開を支援してきた。その後も1980~90年代に事業を展開してきたが、2001年に行政改革の一環で、新規事業に対する海外投融資はいったん廃止された。

2000年以降は、途上国開発における民間セクターの役割が大きく拡大し、新興国や途上国に流入する民間資金が急速に拡大したことを背景に、他国ドナーや国際機関は民間セクター向けの援助を次々に開始、本格化させた。この時期、日本国内でも、途上国の成長を、日本経済の活性化に取り込むべきとの声が高まってきた。

そうした世界的潮流や日本国内からの要望を受け、海外投融資の事業実施体制の検証などを行う導入期間を経て、2012年10月に、政府により本格再開が決定された。

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世界の新興国、途上国への資金の流れ(出典:OECDデータベース)

海外投融資の対象事業は?

対象となるのは、開発途上国の(1)インフラ整備・成長加速、(2)貧困削減、(3)気候変動対策の三つの分野に貢献する事業だ。海外投融資の再開後、これまで3件の契約が締結されている。ベトナムの人材育成事業、パキスタンのマイクロファイナンス事業、そしてベトナムの環境配慮型工業団地関連事業だ。

いずれも、既存の金融機関では対応できず、海外投融資による長期の安定的な資金提供で初めて事業化が可能となった。また、JICAがこれまでのODAで培ってきた相手国政府などとの信頼関係や、事業化調査支援、事業実施段階での技術協力を併用することによって事業リスクを低減し、事業化が進んだ案件だ。

JICAは今後も、これまでのODA実績によって蓄積された有形・無形の資産やネットワークを活用しつつ、現在、協力準備調査(PPPインフラ事業)(注3)で進められている案件を含め、積極的に海外投融資による事業化を進めていく予定だ。特に、PPP事業や途上国への事業展開といった時代のフロンティアに挑む日本企業と共に、さまざまなステークホルダーと連携しながら途上国、日本の双方に貢献する支援を展開していく。


(注1)開発途上国政府向けに行う開発資金(円貨)の貸し付け。
(注2)返済義務を課さずに開発資金を提供する協力の形態。
(注3)行政(官)と民間企業(民)が連携して実施する事業を指し、主に民間企業がその資金やノウハウを活用してインフラを整備し、公共サービスを一般市民などに提供する事業形態。