緑のラテンアメリカ

【画像】図司令子

元青年海外協力隊
図司令子

前回のシリアへ派遣された中嶋さんと同時期にホンジュラスで活動をしていた図司さん。青少年活動隊員として携わった地域開発を進めるプロジェクトは、大人ではなく「子どもたち」を中心とした活動でした。地域開発をどうして子どもたちと進めていく必要があるのでしょうか。

南北2つのアメリカ大陸を結ぶ地域のちょうど真ん中。ここに日本の約3分の1程度の大きさの国があります。それがホンジュラス。私はこの国に青少年活動隊員として派遣されていました。

ホンジュラスはカリブ海と太平洋に面していますが、国土の大部分は山に覆われています。海に行ってもすぐ後ろには巨大な山が見えますし、大きな町に行くには山を越えないと辿り着けません。国民の主食であるとうもろこしや輸出品ともなるバナナ・コーヒーも山の中で栽培されています。ホンジュラスは山がどこまでも連なる、緑の深い国なのです。

私が活動していたサンタ・バルバラは、西部の盆地に位置する地方都市です。都市といっても人口約3万人、学校、病院、商店がある程度で、日本の都市とはかなり異なります。町の中心にはカトリック教会と公園があり、そこから町が広がっています。しかし、町を囲むように山が迫っているので中心地はとても狭く、人々の多くは山の斜面に建てた家に住んでいます。

ホンジュラスでは、都市部に暮らせばあまり不自由なく生活をすることができます。しかし、山を行けば行くほど生活は厳しいものになっていきます。電気や水道がないのはもちろん、買い物や病院に行くのに山を越えなければなりません。道路の整備もなされていないところが多く、移動に大きな負担がかかります。

このように、地理的な条件も加わってホンジュラスでは地域ごとの貧困が存在しています。私の配属先であったNGOは、こうした貧困を少しでもなくすために地域開発プロジェクトを実施していました。団体の理念は、子どもたちとともに地域開発を進めること。これは子どもたちが地域発展の担い手として自立していくことを目標としています。しかし、子どもたちを巻き込んだ活動を展開するには、まず子どもたちに他人と協調して働くということを覚えさせなければなりません。そこで私は同僚と一緒に各地域を訪問して「子ども参加グループ」を結成し、その活動をサポートしてきました。

グループとの会合では、子どもたちに子どもの権利や価値観について話をし、同時に彼らの自尊心が高まるよう努めました。子どもたちの関心を引くために、ゲームをしたり遠足をしたりと皆が楽しめる企画も用意しました。なかなか子どもたちが話を聞いてくれず苦労したこともありましたが、子どもの権利を啓蒙するポスターを作製するなど自ら行動に移してくるグループも出てくるようになり、子どもたちの成長ぶりに活動を続けてきてよかったと思えました。

私の活動は決して一人でできたものではありません。子どもたち、そして彼らの親である地域住民の協力があってこそ、続けられたものでした。地域の主役はそこに暮らす人々で、外部から来たボランティアは一歩下がった立場から地域の発展のお手伝いができるのみです。子どもたちが「自分たちが地域をよくしていくんだ」という意識を持って今後も活動を続けていくことを、任期を終えた今も願っています。

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首都テグシガルパ。首都も盆地、山の傾斜に家が建てられています。

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サンタ・バルバラからバスで1時間の村の風景。

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子どもグループとの会合。「参加」について話し、子どもたちはワークシートで内容を確認。

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子どもグループが世界エイズデーのイベントに参加。サンタ・バルバラ市内を行進。

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子どもグループと遠足に行った時の一枚。