一研究途上者の想い

【画像】杉山博信

JICA筑波研修指導者
杉山博信

決して大きいとはいえない体から絶えずみなぎるパワーを放ち、満面の笑みで教壇に立ち、研修員をクギ付けにする杉山指導者。研修指導に秘められた想いとは。

「授業法へのこだわり」

私が目指している「よい授業」とは、「双方向の授業」を基盤とした「受講生をワクワクさせられる授業」である。この流儀は大学に在職中に、よき師や印象深い講義との出会いに強く影響を受けていると思える。
私が担当している「水文学」の授業では、風土や文化の異なる諸外国から来ている研修員の理解を深めるために、適宜、今日的な話題を取り上げて解説し、あわせて例題を提示して、研修員に解答を板書させ、説明させるスタイルをとっている。授業の組み立てと教材の作成にかなりの時間を要するが、研修員の満足した顔を見ると、嬉しい限りである。
社会のあらゆる分野での活動の基盤は学問であって、その学問には国境がないので、あらゆる分野でグローバル化が加速している。大事なことは、学問を担う場は大学だけではなく、他の機関にも求められていることを認識することである。私は、その「他の機関」を「JICA筑波」と捉えている。このような想いが背景にあって、授業中に研修員を「知の世界」に誘えれば、教育・研究者としては無上の喜びである。

「何が研修員の心を動かしたのか」

数ヶ月ほど前、ある研修コースのアフリカからの研修員が、私の授業受講の翌日に尋ねてきた。カナダの大学院受験を希望しているので推薦書を書いてくれとのことであった。聞くところによると、その研修コースでは8割程の研修員が、日本の大学院への入学を希望しているとのことである。大学院入学を希望する研修員の多くは、日本での研修コース課程を履修している最中に決意したとのことである。研修プログラムの編成と授業担当の諸先生方の真摯な姿勢が、研修員の向学心を高揚させたのかもしれない。教育の活性化効果が現れたことの証であって、喜ばしいことである。
 多くの研修員は10年以上、農業用水及び水資源の管理に携わってきた中央・地方政府の学士を有する灌漑技術者である。現場での種々の問題を整理して、浮き彫りにし、自国での現代的課題を見出して、それに対応できる問題解決能力を高めようとする確かな意気込みが読み取れる。
 大学での36年間の在職中に研究指導した中国留学生の博士課程論文指導やタイ国研究者の論文博士取得指導、等々の研究指導経験を存分に生かして、この芽を結実させたいものである。
この想いに向けた「新たな探求のたび」は、始まったばかりである。

【画像】

授業の一コマ その1

【画像】

授業の一コマ その2