JICAとの出会い、研究を通じた人材育成に携わって

【画像】半田啓二

独立行政法人 産業技術総合研究所 国際部門
半田啓二

筑波研究学園都市に位置する(独)産業技術総合研究所で、研究を通じた人材育成を目的としたJICA研修コースを10年以上に亘って担当している半田さん。JICAとの出会い、JICA研修員との出会いについて伺いました。

JICAとの出会い

 亡くなった私の父が、1970年代にJICA長期派遣専門家として、「視聴覚教育(1年間)」、そして「人口問題対策(3年間)」のためインドネシアのジャカルタに赴任していました。最初の勤務は、カウンターパートの教育文化省の方と文字通り「視聴覚教育に関する学習」を行うことであり、2回目は、「人口問題対策」に視聴覚機器をどのように有効に利用するか…というプロジェクトでの勤務でした。そのとき、私は、東京都北区に所在していた通商産業省工業技術院(当時)傘下の研究所に勤務していましたので、休日には、父の関連するプロジェクトでカウンターパート研修として日本に派遣された研修員を東京・市ヶ谷や幡ヶ谷のJICAセンターに訪ね、東京都内の案内をした経験があり、それが私にとってのJICAとの最初の出会いでした。
 その後、私の勤務する研究所は筑波研究学園都市に移転し(当時、筑波郡谷田部町)、「石炭鉱山保安」や「産業公害防止」、「産業技術研究」に関連するJICA集団研修の実施機関となり、これら3コースがそれぞれ3カ月、4カ月、6カ月の期間で実施されることとなりました。この当時は、私自身の研究テーマがこれらの課題とまったく別な分野でしたので、直接研修に関与することはありませんでしたが、研修開始時そして終了時の研修員のプレゼンテーションには時間をみてよく出席し、これが2回目の出会いでした。
 そして、1995年12月からは研究室を離れ、国際研究協力室に異動。研究所で受け入れるJICA集団研修や個別研修の窓口を担うこととなり、これが3回目の出会いとなりました。その後、2001年4月からは、現在の独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)国際部門で、引き続き、JICA集団研修や個別研修を含む技術研修に係る業務に従事し、その3回目の出会いが続いている次第です。

研究分野での協力

 2007年度は、産総研では次のJICA関連研修を実施してきました。
(1)集団研修
1.1環境調和技術[Research on Environment Technology](産総研での研修期間:7ヵ月)
1.2バイオマス有効利用技術[Research on Biomass Technology](産総研での研修期間:10ヵ月)
1.3産業・社会知的基盤技術
[Research on Standards, Measurements, Evaluation and Geosciences for Industry](産総研での研修期間:5ヵ月)
1.4アジア太平洋法定計量システム[Asia Pacific Legal Metrology System](産総研での研修期間:3ヵ月)
(2)個別研修
・「日墨交流計画」[Japan-Mexico Exchange Program]に係る研修:自動加工技術[AUTOMATEDMACHINING](産総研での研修期間:6ヵ月)など
(3)プロジェクト技術協力
・タイ国家計量標準機関(NIMT)プロジェクト
[National Institute of Metrology(Thailand) Project]

 これらのうち、(1)1.4と(3)を除く研修について、私が所属する国際部門で担当しています。筑波に移転当初に研究所で受け入れた集団研修時代(私のJICAとの出会い2回目の初期)には、応募要項(General Information)に、「研究に係る研修です」「応募資格は研究者に限ります」と、太字・下線付きで記載しても、研究現場で実際に研究活動をしていない管理者や研究活動にはまったく関与していない事務担当者が来所し、「自分のためにこの仕事は誰が行ってくれるの?」と真顔でのたまう研修員も登場し、笑い話のような、相互にunhappyな事態もあった、とお聞きしていますが、さすがに現在では、そのような極端な事態は生じておりません。それは、昨今のインターネット時代故、事前にホスト研究者と研修員との間で、E-mailを通じて研修(研究)の進め方を十分に討議しての来日が可能となったためと思います。でも、時折思惑が多少異なることも散見され、事前のコンタクトの重要性を改めて認識しているところです。
 現在、産総研ではJICA研修(集団研修/個別研修)を広く人材育成、そして研修員が所属する研究機関と産総研との研究協力のキックオフ、現在研究協力が行われている場合はその有効な展開の場としても位置づけております。実際、これまでの研修員受入れに端を発し、その後の人材育成(日本の大学院入学のための再来日)や研究協力に展開している例、これからの展開が期待できる例など、数多くの報告が私ども窓口担当にも寄せられており、嬉しい限りです。
 JICAでも、研修について日本滞在中のみならず、来日前や帰国後にもそれぞれ十分コミュニケーションを取るようなシステムを取り入れることとなりましたが、研修をより有効にするために、特に研究関連の研修では必要かつ重要なことでしょう。
 このようなシステムを含め、来日前/日本での研修中/帰国後のすべての期間に研修員自身、研修員の所属研究機関、研修実施機関(産総研)、そしてホスト研究者が、ともにwin-win(関係者がともに利得を享受すること)の関係を築くことができるような、より有効なそしてより効率的な研修システムが構築されるよう、それに向けた努力が今後とも進められていくことを期待しています。

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2007年度 環境調和技術コース研修員たち(一部)

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2007年度 バイオマス有効利用技術コース研修員たち(一部)

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2007年度 産業・社会知的基盤技術コース研修員たち(一部)

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研修員らとの食事の様子