いばらきからエチオピア、そしてパレスチナへ(JICAパレスチナ事務所 企画調査員 岩瀬 英明)

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私は現在、JICAパレスチナ事務所で企画調査員として国際協力の仕事に携わっています。企画調査員の仕事は、主に新しいプロジェクトを企画したり、実際に開始されたプロジェクトの実施管理をしたりすることです。

いばらきにて、子どもの頃の憧れ

私は、茨城県土浦市(旧新治村)出身で、幼い頃から農村の豊かな自然の恵みを受け育ちました。子どもの頃から漠然と海外に憧れていたようです。小学校5年生の時、つくば科学万博で書いた21世紀の自分へ宛てた葉書には、「21世紀の僕はどこにいるのかな?」と記されており、実際にその葉書が実家に届いた2001年1月に私はエチオピアで生活していました。高校時代は、つくば市内の高校へ片道約12kmの道のりを毎日自転車で通学していました。思えば、このトレーニング(?)のおかげで、途上国での生活を乗り切る体力を養うことができたのかもしれません。

青年海外協力隊でエチオピアへ

大学卒業後、民間企業での勤務を経て、2000年末、ずっと海外で仕事をしたいと思い続けてきたことを実現すべく、青年海外協力隊に参加しました。2年間、エチオピアの技術学校で建築製図の授業を担当しました。私の赴任先の学校には、学生たちの寮が併設されていましたが、水道も電話線もありませんでした。最寄りの町からは歩けば1時間もかかるような辺ぴな土地の学校です。学生たちは厳しい生活の中で、勉学に励んでいました。製図の道具も教科書も満足にない中での活動は、私にとっては過酷でした。しかし、学生たちは、もっと厳しい状況で、いつも笑顔で私に接してくれました。学校の同僚たちも一緒です。私は、同僚たちや学生たちに、本当に支えられながら、一緒に授業を進められたと思っています。

エチオピアから帰国して

帰国後、協力隊の2年間の活動を少しでも多くの人に感じてもらおうと思い、地元茨城県内で、3回ほど出前講座と呼ばれる協力隊活動の講演をさせていただきました。普段なかなか耳にすることのない、開発途上国の話に興味深く耳を傾ける学生たちの姿が印象的でした。もっともっと多くの日本人が、世界は繋がっているという意識を持てるような環境があればいいなぁと思っています。

パレスチナへ

協力隊での2年間の途上国の経験がきっかけとなり、その後の仕事を開発途上国のために働くという方向へ転換しました。イギリスの大学院で、開発途上国における都市計画を学んだ後、ベトナムで1年間建設関係の業務に従事し、その後、JICAのジュニア専門員制度(注)により、JICA本部で1年勤務した後にパレスチナに企画調査員として赴任しました。国内勤務中は、ペルー、バングラデシュに出張する機会を得ました。2007年当時、ペルーでは大規模な地震が発生し、バングラデシュではサイクロンが襲来したことを受け、これらの災害復興を目的とした無償資金協力案件の調査団に参団したのです。この1年間の経験は、現在のパレスチナでの業務のベースとなっています。

パレスチナに赴任してすでに2年以上が経過しますが、そんな私も、国際協力の世界ではまだまだ駆け出しです。国際協力と一言で言っても、国が違えば、仕事のやり方も全く異なり、過去の好事例が、必ずしも別の地域や国では当てはまらないことが難しい点です。確固とした正解がないのです。むしろ、正解は、相手国の人たちと一緒に作り上げていくものだと思います。また、援助の潮流も変わってきています。より効率的な援助、成果の出る援助を、被援助国自らが主導権をとって各援助機関を統率しようという動きです。時代の動きに敏感についていかなくてはいけません。さらに景気の低迷により、日本のODA予算は減少していくばかりです。少ない投入で、より効果的な援助が求められており、この仕事は、ますます難易度が高くなってきています。しかし、だからこそ、もっともっと成長し、世界に通用する人材にならなければとプレッシャーを感じています。

国際協力の仕事は、困難な土地で、日本の常識がそのままでは通用しない中で、言葉も文化も人種も違う人々と一緒に業務を進めていくため、難しい壁にぶつかることが多々あります。しかし、皆で力を合わせ、国造りの一端を担う偉業に、微力ながら貢献できるこの仕事に携わることは、私にとって大きな喜びです。例えば、日本国内での研修に参加した帰国研修員から、「日本の技術、制度、仕事のやり方は、素晴らしい!難しいことだが、是非、自分の国でも実践してみたい!」という言葉を聞くと、私たちの仕事が現地に響いていることを感じます。

今後の目標

私は、いつか地図に残るような仕事をしたいと思って、建築や都市計画を学んできました。しかし、この国際協力の仕事というのは、さらに一歩進んで、人の心に残る仕事だと思っています。一人でも多くの人の心に残る仕事、そんな大きな夢を見ながら、日々の小さな一歩を少しずつ、しかし確実に進めていきたいと思っています。

(注)ジュニア専門員制度は、開発途上国・地域等における開発援助の専門知識と一定の活動経験を有し、将来にわたり国際協力業務に従事することを志望する若手人材を対象に、国内及び海外においてJICA事業の実務研修(On the Job Training (OJT))の機会を提供するものです。それにより、国際協力に関する実践的な計画策定、運営管理といった技術協力手法等についての能力の向上を図り、様々な援助現場で即戦力として活躍できる人材を養成することを目的とします。

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エチオピアの学生たちと

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エチオピアで建築製図の授業中

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エチオピアで学生の卒業制作を指導

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バングラデシュへ出張。サイクロン後の復興支援を担当

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帰国した研修員への支援としてパレスチナ国民経済庁に食品検査機材を供与。写真は機材の引渡し式