心に国際協力の種を植えたい

【画像】武田記代子

JICA筑波 市民参加協力調整員
武田記代子

青年海外協力隊に参加し、チュニジアで手工芸隊員として活動。
帰国後は、JICA筑波で市民参加協力調整員として活躍中の武田さん。
青年海外協力隊に応募した動機や国際協力にかける思い、今後の抱負を聞きました。

青年海外協力隊への道

小さい頃から物を作るのが好きだった武田さんは、茨城県つくば市の出身で大学卒業まで地元で過ごしました。自宅がJICA筑波の近所に位置していたため、JICAの存在は学生時代から知っており、いつか自分も世界の人のためにボランティアができればいいなという漠然とした思いはありました。
大学では英米文学を専攻し、卒業後は英語関係の仕事に就くか、物を作って手に職を付けるか悩んだ末、後者を選択し、手作りカバンの会社に就職しました。
会社では、オーダーメイドカバンの制作に3年間携わり充実した日々を過ごしていました。
そんなある日、会社の同僚から「JICAボランティア説明会に一緒に行かないか?」と誘われ、協力隊OB・OGの体験談を聞いているうちに「私もカバン作りでボランティアができるかもしれない」と思い一気に夢が膨らみました。世界にはカバンを手にしたことすらない人がたくさんいるのだろう、自分の縫製技術を必要としている人が世界のどこかにいるのではないだろうかと考え始めたのが、そもそものきっかけです。

手工芸隊員としてチュニジアへ

首都チュニスから550km南下したサハラ砂漠の入口の都市ドゥーズに位置するろう者のための職業訓練センターで、15歳から19歳までの生徒7人を対象とした皮革工芸クラスを担当することになりました。いざ行ってみると、教室とは名ばかりの倉庫のような場所で、ミシンは壊れていて使用できず、道具もない状況の中、まずは環境を整えることからのスタートとなりました。活動を通じて最も苦労した点は、手話で技術を伝えるところでした。日本で手話の経験は全くなかったため、生徒たちとのコミュニケーションを通して手話を体得しました。皮革工芸初心者の子どもたちは、ただ作ることで精一杯。デザインや質、使い勝手の良さなどを考えずに、店頭に並んでいるデザインを真似て雑に作ってしまい、どうして丁寧に作らなければならないのかわからない様子でした。そこで武田さんは、生徒たちに自分で作って使ってみることを提案。生徒たちは、自分たちで作った作品を使用していくうちに、糸のほつれやボンドがはみ出たまま固まり、その部分が引っかかったり、もろくて使い勝手が悪いことに気付き始めました。ちょうどその頃、障がい者が制作した作品の展覧会が首都で開催されることになり、生徒たちは丈夫で使い勝手がいいものを作ろうと気持ちをひとつにして取り組みました。その結果、たくさんの作品が売れ、生徒たちは「自分たちが作った物にお金を出して買ってくれる人がいる」と自信につながっていきました。
様々な試行錯誤を繰り返し軌道に乗ってきたのは、チュニジアに渡ってから一年後のことでした。その後一年間は、生徒たちと考えたデザインの小銭入れが大変好評を得て、注文が入るようになり、制作に忙しい毎日を過ごしました。

厳しい環境の中、困難の多かった活動で途方に暮れることも多々ありましたが、学校が一番好き!と言って毎日通ってくる生徒たちがいてくれたからこそ、二年間の活動を続けることができました。障がいを持っていても、それを感じさせないほど明るく活動に直向な彼らの眼差しにたくさんのことを教えられました。
家は貧しいけれど、心は誰よりも豊かで、健聴者の私以上に人の気持ちを察し温かい心を持つ子どもたち。今日もサハラの空の下で元気に笑いながらたくましく生きているのだろうと思うだけで、力がわいてきます。

市民の皆さんの心に国際協力の種を植えたい

帰国後は、JICA筑波で市民参加協力調整員として活動しています。
市民参加協力調整員とは、市民の皆さんに国際協力に参加するきっかけを作る仕事です。具体的には、JICA筑波に来訪された小学生から大学生、一般の方々に開発途上国が抱える問題や課題をお伝えしたり、JICA筑波で研修中の研修員を学校に派遣し、児童や生徒との交流会を開催したり、JICAと市民の皆さんの橋渡しをしています。

“Think global, act local”「地球全体のことを考え、身近なところで行動する」この合言葉を胸に、開発教育事業を通じて、国際協力の必要性をたくさんの人たちに伝えることが私の使命です。
今後の目標は、たくさんの方々に国際協力の入口を作り、行動に移していけるプログラムを開催することです。そして、これらのプログラムを通して、皆さんと一緒に国際協力をしていきたいと思っています。

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サハラ砂漠

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手(魔除け)をモチーフにした小銭入れ

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キーケース

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私の生徒たち

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活動風景