Higher23高校陸上部の成長

(派遣国:エチオピア 職種:体育)平成22年度1次隊
鈴木聡志

ミーティングの様子

練習中の様子

総合優勝カップと

11月19日、20日、アジスアベバ市内で行われたクロスカントリーレース(4km学生の部)で上位入賞を占めた我々Higher23高校陸上部はチームとして総合優勝を果たした。

昨年9月に体育隊員として本校に赴任した私は初めての同僚とのミーティングで「陸上部を創りたい」と提案した。協力隊に参加しようと決めた時からの目標だったからだ。しかし、同僚の反応は「そんなモノ創ってどうする?」だった。

エチオピアでは陸上競技、特に長距離は「国技」と言われる程盛んである。が、しかしそれは一部のランナーのみであり一般の市民、学生が参加しようとは考えないようだった。同僚の反対を押し切りながらも告知、勧誘を始め2010年10月27日。初めて陸上部としてのミーティングを行うことができた。

集まったのは10名。「来る者なんていない」と同僚に言われていた私はこの人数に驚いていた。予想以上に多かったからだ。嬉しくて嬉しくて、始めの挨拶で「君達に会えて僕は幸せだ!」と言ったことを今でも覚えている。

競技力だけでなく社会性も育てようと目標をたてた。日本でもそうしてきたし、エチオピアの子供たちに必要なことだと思ったからだ。
○時間厳守
○報告する
○挨拶をする
の3つの約束を決め、もし破った時には叱り、時には罰した。

練習にではなくルールについて来られず、辞める生徒も多くいた。ルールについては何度も言い合い、何度もぶつかった。ただ、「競技を教えるのはエチオピア人でもできる。エチオピア人に欠けているモノを教えるのは外国人の自分だからこそできる」と考えている私は譲ることはできなかった。

そうして少しずつ子供達も変わり始めた。遅刻がなくなり、欠席するときも必ず連絡してくるようになってきた。子供達だけのミーティングで嬉しい言葉がでた。「コーチは僕達の成績だけを見ているわけじゃない、生き方を教えている」とっても嬉しくて心が温かくなった出来事だ。

我々の目標は「アジスアベバNO1チーム」競技面だけではなくチームワークでもだ。

我々のチームには我が校以外の生徒または、学校に行かないで働いている選手もいる。学生の大会に彼らが出場することはできない。ただそんな彼が高い交通費を払い応援に来てくれたことがあった。
さらに、そんな彼に『俺らで彼の交通費を払おう』と選手達が自らお金を出し合い彼に渡していた。その光景は大会の結果以上の大きな成果に見えた。

チームワークも確実に育っている。そんな彼らを私は誇りに思っている。
そうしているうちにも競技面での結果も出始めた。こなせる練習量が増え、時々行うタイム計測でも自己記録を更新し始めた。

そして創部2年目が始まり今回の結果を残すことができた。

                           昨年度    今年度
一週間(練習3回)の走行距離              約29KM    約45KM
クロスカントリー大会(4km)の上位3名平均タイム  13分30秒   13分01秒

エチオピア陸上界はクラブチームが牽引している。学生が競い合ったり、学生を育てる制度は少ない。現在、我々のチームとクラブチームとの差はまだまだ大きい。正直、クラブチームと同レベルの走力をつけるには自分の任期では時間が足りないだろう。しかし私は2年目の彼らの成長に大きく期待している。競技面でも、もちろんチームワークでも。

そして、将来彼らがエチオピアの子供たちに陸上競技や本当のスポーツの大切さ、楽しさを教えてくれる様になってくれることを望んでいる。