【大学生・大学院生向け国際協力理解講座】全講座を終えて

2017年10月19日

■2017年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」が終了しました。

2017年度は、「No.1 国際協力実務講座」「No.2 稲作技術向上」「No.3野菜栽培技術」「No.4 アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)」「No.5 陸稲栽培・種子生産及び品種選定技術」および「No.6 小規模農家用適正農機具開発・普及研修」の6つのコースを実施し、16大学から56名の大学生および大学院生の方が参加されました。

No.1 国際協力実務(8月21日(月)〜8月26日(土))

【研修員とワークショップの打合せ】

【世界銀行の職員の方からスカイプで講義してもらいました】

【国際協力のプロから直に農村開発の現状を聞きました】

【国際協力の現場では欠かせないPCM手法を学んでいます】

【PCMの成果品を各グループで発表中】

【集合写真】

内容:JICA事業およびODAについて(国際的な開発援助の潮流と日本のODA、国際協力を担う多様なODAのアクターとの連携、国際協力の仕事について、JICA技術協力プロジェクト、JICAボランティア事業)、途上国での生活改善アプローチ(ノウハウ)の展開、日本の多国間援助と世銀、民間企業の海外展開支援、開発コンサルタントによる協力事業、PCM研修(PCM概要と手順、参加者分析、問題分析、モニタリング・評価)

本コースは、国際協力に高い関心のある大学生・大学院生を対象に、JICA職員や、開発コンサルタント、国際機関、民間企業、NPOの職員など、国際協力の現場で働く外部講師による講義を通じ、国際協力の基礎知識を養いながら、学びを深め、自身のキャリアを考える機会となることを目指しています。

6日間の本コースの中で、実際に国際協力の現場で働く講師から日頃聞くことができない講義に真剣に聞き入る様子や、今回取り入れた英語を交えたPCM研修に苦戦しながらも自身の考えていることを頑張って伝えようとしている姿、そして最終日に行われた開発途上国の課題について研修員と真剣に議論を進めるなど、受講生の積極的な姿勢と参加意識の高さがとても印象的でした。

受講生の皆さんにとって、今回の講座が自身の国際協力への参加のきっかけとなったことを願うと共に、今後の学業・研究活動や、ご自身の将来に向けた活動で、より一層活躍していけるように願っています。

国際協力理解講座 農業コース(No.2 〜No.6)

内容:JICA筑波が実施している課題別研修の農業・農村開発分野コース(研修員受入事業)の中で、「稲作技術向上コース」「小農の生計向上のための野菜生産技術」「アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)」「陸稲栽培・種子生産及び品種選定技術コース」「小規模農家用適正農機具開発・普及研修コース」に、農業・農村開発を学ぶ大学生・大学院生が参加し、JICA研修員と共に各プログラムの専門的知識や技術を学び、日本国内における国際協力の現場を体験する。

No.2 稲作技術向上(8月28日(月)〜9月1日(金))

【コンバインでの収穫を体験】

【圃場で研修員と収量調査】

【刈り取ったサンプル株の整理】

内容:稲の収量調査方法(全収量推察のためのサンプリング株の刈取り収量および収量構成要素の算出、品種ごとの比較検討(コース概要;稲作技術普及員および研究者を対象とした稲作(水稲)技術、基本的試験手法、普及技術・手法の習得を目的)

本コースの実習では、実際にコンバインでの収穫、収量調査の刈り取りなど、受講生も日頃体験したことがないような作業がたくさんありました。また、収量構成要素の比較検討などの実験を通し、研修員との交流もできたようです。1日の研修が終わった後も、稲作について担当講師や研修員と議論する様子が見られ、また研修員からは、受講生に対する激励の言葉もいただきました。受講生はもちろん、研修員にとっても有意義な5日間となったようです。

受講生の声:
「諸外国からの研修員と接することで、国境や文化を超えたコミュニケーションの難しさ、またその楽しさを少しでも感じ取ることができたのは、非常に大きな経験でした。」
「コンバインでの収穫は初めてだったので良い経験となりました。」

No.3野菜栽培技術コース(7月31日(月)〜 8月4日(金))

【小さなニンジンの種を採取】

【顕微鏡で土壌中の病原菌を観察】

【種を取るためトマトを切断】

【研修員の個別実験にアドバイス中】

【肥料の計量】

内容:夏秋野菜の種蒔きから苗づくり、栽培中の管理手法など(コース概要;野菜栽培に携わる若手の農業普及員や研究員を対象とした野菜栽培の基礎技術の習得を目指したコース。実習を中心とした野菜栽培技術の習得を目的)

本コースでは、播種、採取、肥料つくり、バンカープランツ(作物を病害虫から守るための天敵を涵養してくれる作物)観察など、幅広い作業・実習を行いました。研修員の出身国は、東南アジア、中央アジア、大洋州と様々で、研修員との会話を通じ、受講生も各国の野菜栽培事情を学べたようです。暑い日が続きましたが、研修員と共に汗をかきながら、農業分野の国際協力を体験できたことは、受講生にとって大きな学びの経験となったようです。
受講生の声:
「研修員の自国での仕事や農業問題、食糧問題について聞けたのは、とても有意義であった。」
「現場目線での野菜の栽培技術や採種技術を学ぶことができた。」
「各国でどのような農業が行われているのかについて聞くことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができたと思います。」
「私の周りには発展途上国から農業を勉強しに来ている学生が多くいるので、彼らに今回学んだ情報を積極的に発信していきたいです。」

No 4 アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)コース(7月18日(火)、19日(水)、25日(火)、26日(水))

【トマトを品質ごとに選別】

【研修員と圃場のトマトを収穫(1)】

【研修員と圃場のトマトを収穫(2)】

【メロンの食味試験】

内容:農作物の収穫作業から、マーケットへの出荷時の鮮度比較など(収穫調査・果実調査・食味試験)

研修コースの特性上、研修員はすべてアフリカ地域からの参加で、受講生はアフリカの農業事情を研修員から聞き日本との違いに驚いていたようでした。ニンジンの収穫、カボチャの出荷実習、メロンの食味試験など実習も多く、実際に作物に触りながら研修員と行った実習は、非常に良い経験になったと思います。また、プログラムには含まれていない早朝の青果市場見学に自主的に参加した受講生もおり、受講生の高い意欲が伺えました。
受講生の声:
「農業に関してさらに深く学びたいと思うようになりました。」
「品種や収穫の仕方、生産状況から市場までの過程を学んだことで、何気なく食べていた栽培作物の背景まで考えるようになったと感じています。」
「アフリカ地域における「食べるための農業」から「ビジネスとしての農業」への転換の難しさを知りました。」
「アフリカの国々について知る機会が少なく、知識があまりかったのですが、今回の講座を得てとても興味を持ちました。」
「今回の講座に参加を経験し更にアフリカ全体への興味が広がりました。」

No. 5 陸稲栽培・種子生産及び品種選定技術コース(8月28日(月)〜9月1日(金))

【研修員の個別実験補助(イネの高さを計測)】

【研修員の個別実験補助(穂や茎の数をカウント)】

【研修員の個別実験補助(穂や茎の長さを計測)】

【研修員の個別実験補助(実の数をカウント)】

内容:陸稲の品種ごとの収量の比較調査、JICAが実施した海外の稲作プロジェクトの紹介と普及事例、品種登録システムに関する講義、ネリカ種を中心とした稲品種の形態特性調査の実際、アジア・アフリカ各国の作付体系に関する意見交換(コース概要;陸稲の増産と適正品種の普及に携わる研究者・技術者を対象に、実践的陸稲の栽培技術と種子生産技術、及び品種選定技術までを体系的に習得を目的)

本コースは、収量調査法・品種登録・JICA実施の稲作プロジェクトに関する講義と研修員の個別実験など、講義と実習の両方を通じて、陸稲栽培を通した国際協力について学びました。特に研修員の個別実験では、受講生が各研修員の実験グループに配置され、それぞれの実験の補助作業を行いました。研修員が自国に帰っても使える技術を共に学ぶことで、開発途上国の稲作の現状や問題を知る機会となったようです。
受講生の声:
「本当に現地のためになることをするためには、相手目線が必要であり、自分目線から脱するためには、自分の現地に対するイメージをひとまず置いておき、現地に住む人々の声を聞いたり、実際にその土地を訪れたりすることが重要であると気づきました。」
「本講座の講義や実験を通じて、NERICA についての多くの知識を学ぶことができ、さらにNERICA への興味が深まった。」
「将来、就職する前に外国に出て、農業普及の現状や異なる文化にもっと触れたいと思った。」
「相手の話をよく聞くことももちろんだが、自分の質問に丁寧に答えてくれた研修員や先生達のように、相手に親切に分かりやすく説明するよう心がけたいし、その技術も身につけたい。」

No. 6 小規模農家用適正農機具開発・普及研修コース(8月14日(月)〜8月18日(金))

【溶接を用いた脱穀機内部部分の製作】

【部品となる鉄板の計測】

【鉄板の穿孔(穴あけ)準備】

【各部品の組み立て】

内容:研修員による農業経営計画発表(中間)、実習用脱穀機の製作、脱穀機の機能試験法及び改良

研修の5日間を通じて、研修員と受講生が全員で1台の投げ入れ式脱穀機を製作しました。プログラム中、グループに分かれて製作した脱穀機のパーツが、実際に組み合わせると寸法が異なるなど、開発途上国での現場を連想させるようなハプニングもありましたが、研修員と受講生が協力し、最終的には無事に試運転ができるレベル試作品が完成しました。開発途上国に導入が出来るような脱穀機を研修員と共に製作したことは、受講生にとって貴重な経験になりました。
受講生の声:
「日頃生活をしている中で、農家でない限りは触れないモノ・コトというものに多く出会えた。」
「技術の習得だけではなく、大学での活動だけでは体験できない開発途上国からの研修員と活動が出来て国際協力理解講座に参加して良かったと思っています。」
「私は青年海外協力隊(農業機械)としてウガンダに派遣されます。今回の講座での経験を協力隊の活動に生かしたいと思います。」