【大学生・大学院生向け国際協力理解講座】全講座実施報告

2019年3月5日

◆2018年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」実施報告です。

2018年度は、「No.1 国際協力実務講座(初級編)」、「No.2 稲作技術向上」「No.3小農の生計向上のための野菜生産技術」、「No.4 アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)」、「No.5 陸稲栽培・種子生産及び品種選定技術」、「No.6 小規模農家向け農機具の利用促進コース」の6つのコース(実務コース1、農業コース5)を実施し、12大学から39名の大学生および大学院生が参加しました。

【実務コース】(No.1)は、国際協力に関心のある学生から広く希望者を募り、国際協力の現場で働くJICA職員や開発コンサルタント、民間企業やNGOの職員などの講師による講義、ならびにグループワークを通じて、国際協力の基礎知識を養いながら、更なる学びや進路へのきっかけづくりを目指しています。
【農業コース】(No.2~No.6)は、農業・農村開発を学ぶ技術研修員受入のコースに大学生・大学院生も一緒に参加し、JICA研修員と共に各プログラムの専門的知識や技術を学び、日本国内における国際協力の現場を体験します。

◆「No.1 国際協力実務講座(初級編)」 参加者:32名(8/20〜8/24)

JICA職員との交流会

PCM研修:カードを眺めながら議論中

内容:国際協力概論(日本のODAとJICA事業概要、国際的な開発援助の潮流、JICAの農業・農村開発分野の実践例)、ODAがつなぐ多様なアクター(民間企業の海外展開、NGOとの連携)、案件形成ツール(PCM手法)、国際協力分野におけるキャリア開発 など

【参加者の声】
●実際に国際協力に携わる人に求められているものを知ることができた。今回の講座を通じて、出会う方々皆さん自分の仕事に楽しみを抱き、生き生きしているように思った。求められる力として挙げられた、構想力と実行力、忍耐力、顧客志向などは他のどの職種に就いたとしても必要なことである。これから就職するまでにこのようなことを少しでも自分の身につけておきたい。
●今回、ディスカッションや発表などを多く行って自分の未熟さを痛感した。今までこのようなことをほとんどしたことなかったし、するときも黙って端にいるような感じだった。しかし、今回、周りはみんな自分の意見を言えているし、自分も聞かれることが度々あった。回数や時間を重ねるたびに自分の思っていることを少しずつ言おうという意識に変わっていった。もし間違っていたら周りが訂正してくれる、安直な意見だったとしても言わないよりはいいと考えられるようになった。これからディスカッションや発表する機会は必ずくるが、少しずつ積極性を身につけて行きたいと感じた。
●日本国内だけでも様々な問題を抱えている中で開発途上国への支援を行う理由として、日本に輸入する物資や環境問題、感染症の抑制、国際社会における日本の立場向上のためだけでなく、日本の地方創生や人材育成においても意義があることを学ぶことができた。
●開発コンサルタントの方やJICA筑波のスタッフの方、協力隊の方が国際協力を目指すきっかけをお話ししてくださり、「人と人のつながり、それぞれの出会いを大切にすること」が国際協力を築き上げると感じた。

◆「No.2 稲作技術向上」 参加者:1名(8/27〜8/31)

場外圃場で稲の生育具合を確認

穂の観察

内容:収量および収量構成要素の比較検討、坪刈り・五斜線法による収量調査、バインダーやコンバインによる収穫作業、報告発表

【参加者の声】
●講座の主な内容であった収量構成要素は、それぞれどのような関係性があるのか、受講前は十分理解していなかったが、実際計算など行うことで理解することが出来た。今後、卒業論文の執筆にあたり、データ収集の際に活かしたいと考える。収量調査を行う際は研修員と交流することが出来、互いに第2外国語で会話する難しさを経験できたため、今後どのような伝え方が良いのか考えていきたい。これらを通じ国際協力の現場で戦力になる人材になりたい。

◆「No.3小農の生計向上のための野菜生産技術」 参加者:4名(7/30〜8/3)

ニンジンの種の選別

ブロッコリーの種を植えているところ

内容:採種(ニンジン・F1トマト)、病原菌の観察、醗酵有機肥料(ボカシ肥)作り、栽培計画の作成、天敵養生とナス栽培、練り床育苗、播種(キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー)、報告発表

【参加者の声】
●今回のプログラムを通して農業について学ぶことが出来たことはもちろん、研修員の方々との交流を通していろんな国の事情についても知ることが出来た。とても短い期間だったため、野菜栽培についてはほんの一部分しか学ぶことはできなかったと思う。しかし、今後農業、畜産分野で開発コンサルタントとして国際協力活動を行いたいと考えている私にとって、今の自分に何が足りないのか、そして何をやらなければいけないのか、などをより明確にすることが出来た。
●今回、研修生そして他の大学の学生と交流でき、経験や目標を聞き、刺激をもらった。この刺激を自分の目標への推進力に変えたいと感じた。

◆「No.4 アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)」 参加者:5名(7/17,18,24,25ほか1日)

240-No.4 トマトの鮮度保持試験の準備

収穫したカボチャとニンジンの出荷準備完了!

内容:トマト鮮度保持試験、土壌消毒試験、ニンジン・カボチャ収穫・出荷実習、鮮度保持試験まとめ、メロン品種比較試験(収穫調査・果実調査・食味試験)、報告発表

【参加者の声】
●これまで外国の方とディスカッションする機会はあまり経験がなかった私にとって、今回、日本人とは違った考えが飛び交う場で過ごせたことは興味深い時間だった。また、専攻が農学ではない方もいたので、農学とは違った視点での問題解決があったので面白かった。
●この講座に参加する前から発展途上国の方の生活環境を整備したいという思いがあった。その整備のアプローチも私の専門である農学からアプローチできればいいなと考えていた。今回の講義で、アフリカにおける農業の現状把握が以前ははっきりとしていなかったが、研修生との交流、講義を通して理解が深まった。そして、アフリカの農業発展を担うであろう研修生の意識や姿勢も感じることができた。
●これまで自らの研究および興味は、農業の「生産」に関してばかり焦点を絞っていたが、本講座で学んだ生産物の出荷、消費の過程についても考慮することで、生産現場に求められていることの把握、生産技術の改善案の発想につながると考えられた。特にアフリカの市場について学べたため、本講座の経験を基盤に、今後、途上国援助に関わることがあれば活用したい。

◆「No.5 陸稲栽培・種子生産及び品種選定技術」 参加者:2名(8/27~8/31)

講義は和やかに真剣に

報告発表では研修員に向けて短歌のプレゼント

内容:稲の収量と終了構成要素、収量調査、品種登録システム、研修員の各自実験中間報告の聴講、報告発表

【参加者の声】
●本コースは研究者である研修員が多く、会話を通して、とても専門的な知識を教授してもらう場面が多くあった。これらの知識は、大学院の授業での理論的な学びと比べ、実践的で学習意欲を掻き立てられるものだった。国を問わず、積極的に専門家と接触する経験を持つべきだと感じた。
●アフリカの研究員の方々との5日間の交流を通じ、彼らとの距離が現実感を持って一気に縮まったと感じる。共通の目標である対象作物の成長促進・収率向上に向けて、どこの国のどんな立場の人とも会話していく勇気をいただいた。

◆「No.6 小規模農家向け農機具の利用促進コース」 参加者:1名(8/13~8/17)

研修員と協力して脱穀機の部品を作ります

設計図を確認しながら議論中

内容:実習用脱穀機の製作、脱穀機の機能・性能試験及び改良、報告発表

【参加者の声】
●卒業後の自分にも本経験は活きてくると考えている。農業機械の製作技術等を活用できる職業を選択するかは分からないが、共同作業によって得られた問題解決能力や、作業開始前(今回は設計図を目にした時点)にその作業の全体図や完成図などを把握する能力は、どのような職業においても共通して重要な能力だと言える。
●本来は農業機械に主眼を置くプログラムではあるが、私のように農業経営を専攻していても農業機械の知識や経験を自身の専攻に活かすことができる場合も多いと感じた。