『SDGs×中小企業海外展開』をテーマにセミナー(2月12日)を開催しました

JICA筑波では2月12日に、ジェトロ・アジア経済研究所およびジェトロ栃木貿易情報センターとの共催のもと、栃木県那須塩原市において「中小企業海外展開×SDGs」をテーマとしたセミナーを開催しました。当日は35名の参加があり、海外展開を検討中の企業、企業の海外展開を支援する行政や金融機関等の皆さまをはじめ、SDGsへの取り組みに関心のある大学、市民団体等からも参加がありました。

2020年2月28日

セミナー開催主旨

基調講演 佐藤 寛先生

今回のセミナーは、「中小企業海外展開支援」としてJICA及びJETROの海外展開支援事業について栃木県県北地域を中心とする企業の方々に知っていただくことはもちろん、少子高齢化や経済成長の停滞といった日本社会が抱える地域の課題解決にJICAも一緒になって取り組んでいきたいという思いより、海外でのビジネス展開に関心をお持ちの方、日本国内の人手不足に対応し外国人材の雇用をお考えの方、また2030年を目標年として持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であるSDGsに関心をお持ちの方など、幅広い関心にお応えするためのプログラムを企画し、栃木県庁、那須塩原市、栃木県国際交流協会、足利銀行、栃木銀行からも後援をいただき実施しました。

プログラム

基調講演 佐藤 寛先生

主催者挨拶、そして那須塩原市の渡辺美知太郎市長よりご挨拶をいただき、セミナーがスタートしました。

基調講演:「日本の中小企業とSDGs~逆風なのか追い風なのか~」
講師にジェトロ・アジア経済研究所・上席主任調査研究員 佐藤 寛先生を迎え、「日本の中小企業とSDGs~逆風なのか追い風なのか~」と題し、お話し頂きました。「誰がSDGsの主役なのか?」という問いを切り口に、行政・企業・大学・消費者等の各アクターの役割について掘りさげてご説明いただき、SDGs時代における「パートナーシップ」という言葉を実感する機会となりました。


【基調講演への感想】
・SDGsに関する取り組みの考え方がわかった。
・SDGsの考え方が企業のビジネスチャンスにつながることがわかった。
・SDGsについて一歩踏み込んだ内容であり、且つ佐藤先生のお話しがわかりやすかった。
・SDGs17のゴールについて、それぞれ事例をまじえてご説明頂き大変参考になりました。今後の当社の事業に活かしていきます。
・講師の方の説明も分かりやすく、要点や具体事例などが組み込まれており、まだまだお話を伺えれば..!と思ってしまうくらいで。貴重な時間でした。

ジェトロ海外展開支援事業紹介

ジェトロ海外展開支援事業紹介 ジェトロ栃木 川崎所長

栃木貿易情報センターの川崎所長より、ジェトロ栃木の概要及び海外展開支援事業についてご説明頂きました。海外展開に関心を持つ中堅・中小企業へのワンストップの支援サービスを提供する「新輸出コンソーシアム」の他、貿易投資相談や海外ブリーフィングサービス、各種セミナーのご案内等役立つ支援情報をご紹介頂きました。

JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業制度説明 ・採択企業による活用事例紹介

JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業制度説明後、那須町の関東農産様、さくら市のシンテックス様から活用事例をご紹介頂きました(採択事業詳細は下記に記載)。

【活用事例紹介】

株式会社関東農産 代表取締役社長の郡司氏、営業本部長 真鍋氏による発表

株式会社関東農産 

2019年度第1回公示(2019年4月) 案件化調査採択
案件名:タイ王国品質と生産性を向上させる園芸用有機育苗培土の現地製造に係る案件化調査
 
 対象国: タイ
 分野 : 農業

株式会社関東農産は2019年8月に事業採択となり、2020年春に調査開始予定です。事例紹介では、代表取締役社長の郡司氏、営業本部長の真鍋氏より、採択事業概要の他、自社の海外展開計画の中でどのようにJICA事業を活用したか、また企画書作成等の応募にかかる準備についてお話し頂きました。「JICAと聞くと、援助を行う事業というイメージがあったが、この中小企業・SDGsビジネス支援事業は企業のビジネスとして考え企画提案することが大事である。」とご応募を検討されている企業へのアドバイスも頂きました。

シンテックス株式会社 代表取締役の八木澤氏による実施中の調査事業進捗紹介

シンテックス株式会社

2018年度第2回公示 (2018年9月) 案件化調査採択
案件名:高齢者・障害者向けいす式階段昇降機・段差解消機事業の案件化調査
 
 対象国:ベトナム
 分野 :福祉

シンテックス株式会社は2019年1月に事業採択となり2019年6月の契約締結後、これまで4回の現地調査を実施、11月にはハノイ駅、ハノイ整形リハビリ病院に、同社の段差解消機が設置され実証試験が行われています。事例発表では、代表取締役の八木澤氏より、2020年1月に実施したベトナム政府の方々の日本研修の内容を含め、実際に調査事業をどのようにすすめているか、進捗状況をご報告頂きました。日本研修では、同社の段差解消機が設置されている栃木県庁への訪問及び福祉事業にかかる担当部署からの講義、国際医療福祉大学(大田原キャンパス)への視察を行う等、地域のリソースも活用、協働し研修を行ったとの説明がありました。
 「実際に現地調査を進めると、相手方であるベトナム労働傷病兵社会福祉省・建設省に大変良くご対応いただき、驚いた。本事業を活用していなければこのような対応はなかったと思う」 との事業活用の感想も述べられました。


2社の事例発表後の質疑応答では、「民間企業が“ビジネス”としてODA事業に参画するメリットがあるか」等、多くの質問があがり、事例紹介いただいた企業より実際の経験も踏まえて回答をして頂きました。

企業向け外国人材相談窓口の紹介

(公財)栃木県国際交流協会の小林局長及び堀江コーディネータによる企業向け外国人材相談窓口の紹介

(公財)栃木県国際交流協会の小林事務局長より、増加する栃木県内の外国人住民数にふれながら、とちぎ外国人相談サポートセンター等を含む「多文化共生の地域づくり」にかかる事業概要や外国人材を雇用している、または雇用を検討している企業向けの外国人材雇用等相談窓口についてご紹介頂きました。また、同協会で
外国人材コーディネータを務める堀江氏からは「日本国内の人手不足に対応し、これからますます外国人材の活用が進むとともに、国際的、また日本国内においても外国人材の獲得競争も激しくなることが予想される。外国の方々にとって住みやすい、働きやすい多文化共生の環境を整えるとともに、栃木県が誇る産業技術等を海外に発信していくことによって、外国人材の方々に栃木で働きたいと思ってもらう『選ばれる栃木』を目指して、地域、行政、企業関係者一同取り組んでいきましょう。」との言葉があり、会場の一体感も高まりました。

今回は「中小企業海外展開×SDGs」をテーマのもと、企業・金融機関の方々だけではなく、大学の先生方、市民団体等、地域の多くのアクターの方々にご参加頂き、各セッションの質疑応答では様々な視点での質問があがり、参加者の皆さんによってセミナーの内容を深めて頂く結果となりました。JICA筑波では皆様にとってより有意義な場を設けられるよう改善を図りながら、今後も同様のセミナーを開催して参ります。

セミナーへの感想

・海外展開含め、SDGsについては興味があるものの、自社でどのようなところから関わるべきなのか?という悩みがあったので、具体的な事例を紹介頂きながら、とても分かりやすくご説明頂けて良かった。
・採択企業の取り組みを聞くことができ、大変役に立つ内容でした。
・海外展開を考えている企業とのコネクションづくりができた。※大学関係者
・案件化調査の実際の話がきけ、満足度が高かったです。
・案件化調査について活用企業様の生の声が非常に参考になった。自社の応募の際に参考にさせてもらいたい。
・海外展開の具体的な事例が聞けて良かった。
・JICAの提供しているサービスが理解できた。