【報告】ネパール教師海外研修・実践授業訪問

2020年3月9日

今年度、JICA筑波「教師海外研修」に参加した教員は、帰国後、ネパールを題材にした指導案を作成し、9月から12月の期間、各学校にて実践授業を行いました。 参加教員がネパールで五感を使って感じたこと、考えたこと、体験したことは、授業の中でどのように生徒たちに伝えられたのでしょうか? 先生方の実践授業の様子をお伝えします。

高萩市立高萩小学校 宮本幸奈先生

ネパールの家について意見交換

宮本先生は「ネパールの家ってこんな家! 家のつくりについて整理しよう」が公開授業のテーマでした。ネパールの家の写真を見て、生徒から「動物と暮らせていいな」「ごはんは何で作っているのかな」と意見や疑問がたくさん出ました。

ネパールの家について「寝るところは離れているけれど心はつながっている家」と表現している生徒もいました。生徒が元気いっぱい、興味津々で授業に臨んでいました。「今までに習った世界の家で、みんなはどの家に住みたい?」という先生の質問に「ネパール」と答えた生徒が一番多かったのも素敵でした。

取手市立寺原小学校 山本貴之先生

「SDGsとのつながりを考えよう」

山本先生は、ネパールからSDGsへとテーマをつなげ、「世界の子どものくらしをSDGsと関連付けて考え、自分の生活を見つめ直す」をねらいに授業を実践されました。

児童はネパールを含む世界各国の子どものストーリーが書かれているシートを読んでSDGsと関連する箇所を探しました。次に、自分の生活を振り返ってSDGsと関連する箇所を話し合いました。食べ物を残すことや電気の消し忘れ、性別による生活上の違いなど、身近なことからSDGsにつながる課題を見つけて議論している小学生の姿が印象的でした。

宇都宮市立宮の原中学校 森戸千浩先生

ネパールの食事の様子を説明

森戸先生は、「ネパールはこんなところ」というタイトルで、道徳の授業を行いました。授業のねらいは、「異文化に出会う上で大切なことは何かを考える」です。

ネパールには手で食事をする文化があります。現地の人と一緒に手で食事をしたこと、その時に先生自身が感じたことを伝えながら、違う文化と出会った時に必要となる姿勢や態度について生徒に考えさせていました。生徒はロールプレイを通じて「手で食べること」と「はしで食べること」を学び、意見を出し合って異文化と出会ったときにどうすればいいか、考えていました。

聖徳大学付属取手聖徳女子中学高等学校 西浦公子先生

先生の熱い語り

西浦先生は、世界で活躍されている方の英文スピーチとネパールで出会ったJICA海外協力隊やJICA職員のインタビュー動画を授業で使い、「私たちにできることは何だろう」と生徒に問いかけました。ネパールの視察を通じて知った環境教育や生徒と同世代の人が環境保護活動に参加している事例から、変化を起こす重要性を理解してもらいたいとのねらいです。
公開授業では、生徒がネパールの女の子を取り巻く問題点を出し合い、どの点を解決することが改善につながるのか、問題点同士の因果関係はどうなっているのか、熱心に意見交換し、グループでより良いと思われる解決策を検討していました。

茨城県立太田第一高校 屋代恵子先生

ネパールクイズ

屋代先生はネパールでの経験やJICAが実施している国際協力の活動、SDGsについて授業を実践してきました。その集大成となる公開授業では、生徒が自ら設定した世界の課題についてプレゼンテーションをしました。

生徒は「ネパールの教育について」「日本とネパールの医療事情の違い」「ネパールの福祉について」などのテーマについて、現状や問題点を調査し、解決策や「私たちにできること」を提案していました。生徒の視点がネパールから世界に広がっていることを感じる授業でした。