【海外協力隊の国内研修報告】「笑顔で住み続けたいまち」茨城県なめがた市で待機中隊員が地方行政・農業の現場を体験!

2020年8月19日

2020年8月5日(水)~7日(金)の3日間、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で派遣待機・一時帰国している海外協力隊員10名が、「『笑顔で住み続けたいまち 茨城県なめがた市』地方行政(ローカル・ガバナンス)&農業実習研修」に参加。農業実習や民間施設、JA等の視察などを通じて、開発途上国の現場での活動のヒントとなる様々な気づき、学びを得ました。

研修の概要

行方市職員・地域おこし協力隊の皆さん

この研修は、人手不足の課題を抱える農家の支援、民間企業や自治体が一丸となったコミュニティーづくりなどに取組む茨城県行方(なめがた)市の全面的なご協力を得て実施されました。
隊員たちが行方市内で農業実習や民間施設、JA等の視察を行うことを通じ、開発途上国の現場での活動に活かす気づき、学びを得ることを目的としています。

体験型農業施設「なめがたファーマーズビレッジ」視察

なめがたファーマーズ・ビレッジでの説明

晴天に恵まれた研修第1日目、参加隊員は、行方市の主力産業である農業と、民間企業×地元自治体×農協等の連携について学びました。

2015年10月オープンの日本初のさつまいものテーマパーク「なめがたファーマーズ・ビレッジ」を訪れ、同施設が掲げる「ステキな農業」「12次産業化」の取組みについて、「(同施設は)農業のディズニーランドを目指している」という講師の木下氏の説明を聞きました。

「JAなめがたしおさい」視察

JAなめがたしおさいのサツマイモ貯蔵庫見学の様子

行方市は、霞ヶ浦と北浦の2つの湖に挟まれた肥沃な土地を有し、年間60品目以上の野菜が採れる野菜王国です。参加隊員は、主要作物のサツマイモの貯蔵庫を見学し、農業のバリューチェン及び貯蔵法の活用などの取組を学びました。

農業実習研修

農業実習:技能実習生から水菜の選定・梱包を学ぶ隊員たち

研修2日目も晴天。この日は、行方市で活躍する地域おこし協力隊3名の皆さんと一緒に、行方市内の7軒の農家で農業実習を行いました。
参加隊員たちは、早朝から夕方まで、農作物の収穫や出荷作業などで汗を流し作業するなかで、普段何気なく買っている野菜が、農家の皆さんによって大切に育てられている、という事を改めて実感。
地域おこし協力隊の皆さんからは、「JICA協力隊の皆さんが、たった2日間という短い期間で、行方市の魅力をたくさん見つけてくれている。自分たちも、行方市をもっと積極的にPRしていきたいと思った。JICAの皆さんとの交流は、とてもいい刺激となった」と感想が寄せられました。

意見交換会

意見交換会にて(前列:受入農家の皆さん・鈴木市長(中央))

研修2日目の夜は、隊員による任国紹介や受け入れ農家の皆さんとの意見交換会を行いました。冒頭、歓迎のご挨拶をいただいた行方市の鈴木市長は、全国でも有数の農業生産地である行方の農業事情や、農業がSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の「貧困」や「飢餓」をなくすために貢献できる可能性などについて述べられました。
参加隊員からは、2日間の研修での気づき、学びとして、「収穫や出荷作業を経験することで、普段口にしている野菜がどのような過程をたどり自分たちの食卓に届くか(を実感)」、「消費者が求めるレベルの高い品質管理が、多くの外国人技能実習生によって支えられている現実」、「日本の農業技術を自身の派遣国で役立てられないか」といったコメントが出されました。
受け入れ農家の皆さんからは、「久しぶりに志が高い若者と会話することができ、いい経験だった」「単なる労働力ではなく、同じコロナに立ち向かう同士としてぜひまた行方に戻ってきてほしい」とのお言葉が。互いに有意義な交流の機会になったことが、参加者の表情からも伺えました。

日本や行方市の農業が抱える現状と課題、それを克服するための取り組みが、隊員たちの任国での活動を通じて活かされ、途上国のSDGsへの貢献につながるよう、JICA筑波もお手伝いをしてきたいと思います。